◆(たてやま清隆議員) 日本共産党市議団を代表して、ただいま上程されました十五議案のうち、三議案について反対討論を行います。
 初めに、第二二号議案 鹿児島市個人番号の利用に関する条例の一部を改正する条例一部改正の件について、反対の理由を申し上げます。
 本条例改正案は、マイナンバー制度に基づき庁内の各課の情報連携を行うために独自利用の事務内容を条例に定め、法に定める利用範囲内で職員が市民との同意なく市民の個人番号を利用できるようにするための条例改正ですが、次のような理由から反対いたします。
 第一の理由として、本条例改正案は、私立幼稚園就園奨励費の支給事務において、ひとり親世帯等に対する幼稚園保育料等の負担軽減措置が設けられたことに伴い、同事務に必要な特定個人情報を追加するものであり、市民は税証明等の添付書類を省略できるとのことですが、当局も認められたように、従前の対応でも負担軽減措置を受けることができることから、人為的な情報漏えいにつながるリスクを冒してまで条例改正を行うことは問題であります。
 第二の理由として、独自利用事務の拡大利用は今後市民に周知されるとのことですが、行政当局が個人番号を所有する市民との同意なく情報連携を構築できるということは問題であります。
 第三の理由として、条例改正による独自利用の拡大が行われるごとに関係担当課での情報管理の徹底が必要と問題提起いたしましたが、今後、情報連携が進めば進むほど、職員による利用範囲外の使用や業務目的外の不正使用による情報漏えいのリスクも大きくなることから問題であります。
 マイナンバー制度のセキュリティーがどんなに向上しても、ヒューマンエラーを避けることはできません。また、住基ネットワークシステムでも職員による不正使用の問題が全国で発生しました。マイナンバー制度においても今後職員による利用範囲外での使用や業務上目的外の不正使用が発生する懸念を払拭することはできません。
 したがって、本条例改正案には、以上の三つの問題点が含まれることから、第二二号議案に反対いたします。
 次に、第三二号議案 鹿児島市税条例等一部改正の件について、反対の理由を申し上げます。
 本条例改正案は、WHO(世界保健機関)では、自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当すると定義されているセルフメディケーションの理念に基づく、市民の自己判断による自主服薬を推進するための条例改正であります。具体的には、感冒薬、胃腸薬、目薬などの中で使用実績のある医薬品の中から、一般用医薬品として認可されたスイッチOTC医薬品の購入費用のうち、年間一万二千円を超える額について、最大八万八千円まで所得控除の対象とし、平成二十九年一月一日から平成三十三年十二月三十一日までの五年間の特例措置として行う条例改正ですが、次のような理由から反対いたします。
 第一の理由として、従来は医師の処方箋によらなければ使用できなかった指定医薬品の中から一般用医薬品として認可されたものがスイッチOTC医薬品ですが、市民の自己判断でセルフメディケーション税制の対象となるスイッチOTC医薬品を購入し、服用を続けることは、必要な受診のおくれや副作用、症状悪化につながるリスクがあり、これを税制面から優遇し、推進する条例改正は問題であります。
 消費者庁は、平成二十七年四月八日、平成二十一年度から平成二十五年度までの五年間に一般用医薬品の副作用報告数が合計一千二百二十五例あり、このうち副作用で死に至った症例が十五例、後遺症が残った症例が十五例あり、一般用医薬品の副作用でも極めて重篤な状態に陥ることを警告しています。
 また、日本医師会の平成二十六年の調査報告では、四八%の医師が、一般用医薬品を原因とする副作用が発生した患者を診察したことがあると回答しています。そして、スイッチOTC医薬品の中に高血圧症治療薬が認められたことについて、生活習慣病のように長期にわたる疾病の治療薬をスイッチOTC医薬品として認可することに対し六〇・八%の医師が反対をしています。消費者庁や日本医師会の調査結果が示しているように、セルフメディケーション自主服薬は、市民の健康被害の拡大につながるリスクがあることは明らかではないでしょうか。
 第二の理由として、セルフメディケーション・自主服薬の対象となるスイッチOTC医薬品は全額自己負担で購入する医薬品であり、類似の医薬品の保険診療の負担よりも重くなる場合もあり、必ずしも税制面の優遇措置により市民の負担軽減が図られるとは言えないからであります。
 当局は、セルフメディケーションの推進によって住民税等の減税効果があることを強調するとともに、現行の医療費控除額が十万円を超えることができなかった人がスイッチOTC医薬品の年間購入額が一万二千円を超えている場合、セルフメディケーション税制の適用を受けるメリットを強調されていますが、これらの医療費控除制度は選択制であり、同時に利用することはできません。本当に市民の負担軽減を考えているならば、現行の医療費控除制度にセルフメディケーション税制の対象となる医薬品の購入費用を上乗せすることで年間十万円を超える市民が増加し、医療費控除の対象拡大につながるのではないでしょうか。しかし、あえて選択制にすることでセルフメディケーション・自主服薬を推進する政策的な意図が働いていることは明らかではないでしょうか。
 第三の理由として、今回の条例改正案は、政府の規制改革会議が提起する医療用医薬品のスイッチOTC化の推進に基づいて行われた改正であり、医薬品の保険外しや保険給付範囲の見直しの一体となって行われているものであります。市民が求めていることは、保険で安心して治療を受けられることであります。しかし、本条例改正は、医薬品の保険外しを税制面から後押しする条例改正であり、問題であります。
 以上の三つの理由から、第三二号議案に反対いたします。
 次に、第三四号議案 平成二十八年度鹿児島市一般会計補正予算(第二号)中、歳出、款総務費、項戸籍住民基本台帳費、目戸籍住民基本台帳費、個人番号カード交付事業一億三千五百十九万六千円について、本補正予算は個人番号カード交付事業に係る交付金の補助決定によるものですが、反対する理由を申し上げます。
 第一の理由として、個人番号カードの交付申請について、本市は平成二十八年度十三万二千件の交付を目標としていますが、八月末の交付実績は五万四百九十五件であり、目標の半分以下となっています。また番号通知の受け取り拒否も直近で百七十六通となっていることからも、マイナンバー制度への市民の疑問や懸念が払拭されていないことは問題であります。
 第二の理由として、このような交付申請状況の中、平成二十九年七月からは国の機関間の情報連携やマイナポータル制度の計画が進められており、さらに情報漏えい等のリスクが高まることが懸念されることは問題であります。
 第三の理由として、個人番号制度については、これまでも私どもの会派が指摘してきたように、そもそも成り済ましや人為的な不正によって社会保障を含む膨大な個人情報が漏えいするリスクがあることから問題であります。
 以上の三つの理由から、このような補正予算が含まれる第三四号議案には反対いたします。
 以上をもちまして、日本共産党市議団を代表しての反対討論を終わります。(拍手)