◆(園山えり議員) 日本共産党市議団を代表して、平成二十七年度決算関係議案十五件中八件、第三六号議案 平成二十七年度鹿児島市一般会計歳入歳出決算、第四一号議案 平成二十七年度鹿児島市国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算、第四二号議案 平成二十七年度鹿児島市介護保険特別会計歳入歳出決算、第四三号議案 平成二十七年度鹿児島市後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算、第四五号議案 平成二十七年度鹿児島市病院事業剰余金処分についての議会の議決及び平成二十七年度鹿児島市病院事業特別会計決算についての議会の認定を求める件、第四六号議案 平成二十七年度鹿児島市交通事業特別会計決算について議会の認定を求める件、第四七号議案 平成二十七年度鹿児島市水道事業剰余金処分についての議会の議決及び平成二十七年度鹿児島市水道事業特別会計決算についての議会の認定を求める件、第五〇号議案 平成二十七年度鹿児島市船舶事業特別会計決算について議会の認定を求める件、以上の議案の認定及び議決に反対する立場から討論を行います。
 まず、第三六号議案 平成二十七年度鹿児島市一般会計歳入歳出決算について、主な理由を申し上げます。
 款議会費、議員報酬手当等、款総務費、款教育費の人件費中、市長等特別職の報酬につきましては、まず、平成二十七年八月の人事院勧告に準じて議会費における市議会議員の報酬、総務費・教育費における市長等の特別職の期末手当が議員一人当たり四万一千百六十円、市長が六万九千二百四十円、副市長は五万五千八百六十円、教育長や代表監査委員なども引き上げられていることは、鹿児島市特別職報酬等審議会が十年近く開催されていない中、自動的になされたものであり、市民の理解は得られないこと。加えて、第四五号議案、第四六号議案、第四七号議案、第五〇号議案についても同様の理由による公営企業管理者への期末手当の引き上げが行われていることから、認めることができません。
 次に、款民生費、項児童福祉費、目児童措置費については、平成二十七年度から子ども・子育て支援新制度がスタートし、幼保連携型認定こども園等に新たに施設型給付費が給付されていますが、一点目、子ども・子育て支援新制度のもとでも待機児童解消が求められていますが、入所率の平均は、保育所が一一一・一%、幼保連携型認定こども園が九八・七%、幼稚園型認定こども園が五七・二%と施設の形態によってばらつきがあり、これまでの認可保育所の増設が求められていること。
 二点目、幼保連携型認定こども園については、旧来の幼稚園のカリキュラムに合わせるため教材費などの実費徴収が発生することを指摘してきましたが、決算審査で実費徴収の負担が発生していることが明らかになったこと。
 三点目、同制度への移行に伴って、国はこれまで年少扶養控除廃止の影響が保育料の負担増につながらないよう行ってきたみなしの再計算を行わない方針を出しましたが、自治体の裁量で再計算を行うことができるにもかかわらず、本市は再計算を行わなかったため、保育料の負担増となったことから、認めることができません。
 次に、款民生費、項生活保護費、目扶助費について、一点目、平成二十七年度は生活扶助について、平成二十五年度から三年間の段階的な見直しにより、おおよそ全体で合計六・五%の引き下げとなった上、住宅扶助、冬季加算の基準の引き下げも同時に行われ、消費税の増税による物価高も合わせて生活保護利用者の生活を脅かす厳しい対応が行われていること。
 二点目、平成二十七年度は国の通知によって年一回の資産調査が実施されることになりましたが、生活保護法では、機械的、定期的に報告する義務や実施機関の一般的、抽象的な調査は認められていない上、本市は独自に生活保護利用者全てに一年分の通帳の写しを提出させましたが、このような対応をとった中核市は四市であり、生活保護利用者のプライバシーや自己決定権が侵害される対応がなされたことは問題であることから、認めることはできません。
 次に、款衛生費、項清掃費、目清掃工場費、南部清掃工場ごみ焼却施設・バイオガス施設整備事業五千四百五十九万八千百六十円については、一点目、他都市での稼働事例が少なく、本市がモデルとしてきた南但クリーンセンターで爆発事故が起こるなど、技術的に確立していないバイオガス施設の検討が含まれていること。
 二点目、南但クリーンセンターではライフサイクルコストを約四億四千万円程度と見込んでいたものが実際は約五億五千万円かかるなど、新しい技術ゆえの運用の苦労や予期せぬ改善費用等で自治体の財政に負担がかかっていること。
 三点目、当初示されていたバイオガス施設をつくらない場合の建設費は約百四十九億円、ライフサイクルコストは二十五年間で約二百三十四億円でしたが、平成二十八年三月の基本設計での一体型施設の試算は、建設費が約百七十八億円、ライフサイクルコストが約二百六十八億円となっており、建設時に市の独自負担が少ないといってもその後の維持では約三十四億円の差があることは問題であり、認めることができません。
 次に、款土木費、項港湾費、目港湾費、鹿児島港港湾整備事業費負担金中、マリンポートかごしま、いわゆる人工島建設関連事業について、一点目、これまでの事業目的や経済効果も防災拠点としての用途も破綻している人工島建設に平成二十七年度も本市が一億四千五百四十一万六千円負担させられているとともに、マリーナ整備などの残された事業に今後も負担させられる懸念があること。
 二点目、負担金について本市は起債、いわゆる借金で三千九百六十万円を二十年返済で支出し、人工島建設に係る起債の累計は二十二億三千三十万円に達しており、後世に負担を残すことになること。
 三点目、一期工事は基盤整備等が完了し、今後は供用開始に向かいますが、当局としては今後の人工島事業に中止を求める姿勢を持っていないことから認めることができません。
 次に、平成二十七年度教育行政においての土曜授業の実施について、一点目、市教育委員会は、全国学力・学習状況調査の結果に基づいて土曜授業を開始しましたが、これまで指摘してきたように同調査が自治体間での過度の競争となった結果であること。
 二点目、土曜授業の内容は各学校で独自に進められていますが、市教育委員会はこれまでの週五日制の総括をいまだに行わず、その目的も定まりきっていない中、土曜授業が実施されていること。
 三点目、土曜授業を行う上で教員の多忙化の懸念、土曜日を手伝いや部活動など有意義に過ごしていた児童への対応、安全な通学を保障する規制や見守りがふえることでの保護者の負担など、懸念が払拭されていないことから、認めることができません。
 次に、款教育費、項保健体育費、目保健体育指導費、学校給食業務委託事業費六百七十二万八千四百円について申し上げます。
 一点目、委託によって栄養士と調理師の関係が栄養士と業者の関係にならざるを得ないため、法律上、直接継続的に声かけすらできないことは学校給食をよりよいものにしていく連携をとる上で問題であること。
 二点目、地産地消等の食育などが求められる学校給食現場で経費縮減を目的とした本事業は、学校全体で学校給食を充実していく趣旨になじまないことから、認めることができません。
 次に、同じく目体育施設費、新鴨池公園水泳プール整備運営事業二億二千七十七万二千四百五十七円について、一点目、PFI事業が実体のない修繕費約一千五百万円を見込んで計画的に委託料として支出し、実態はバリュー・フォー・マネー同様、十五年の契約期間が終わらなければ検証できない事業であることを改めて指摘せざるを得ないこと。
 二点目、本市で初めて唯一のPFI事業として注視しなければならない事業であるにもかかわらず、教育委員会にその姿勢が見られなかったことから、認めることができません。
 以上の主な事業が含まれていることから、第三六号議案については認めることができません。
 次に、第四一号議案 平成二十七年度鹿児島市国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算について、一点目、本特別会計は所得二百万円未満の世帯が約八七%を占める中で年々増加する医療費を支えるという構造上の課題を抱えており、国や県からの安定的な財政支援が継続・拡充されなければ、ますます国保財政の悪化につながること。
 二点目、保険税収納率の向上には現年度分をしっかり徴収することで滞納繰り越しにも波及することが議論されましたが、他都市と比べても本市の所得に対する国保税の割合は高く、保険者支援金七億円を活用して税負担の引き下げを行うべきであること。
 三点目、今後、県が国保の司令塔となって医療費抑制や税負担の引き上げ、保険証の取り上げや差し押さえなどが懸念される都道府県単位化の準備が進められていること。
 以上の理由から、本議案を認めることができません。
 次に、第四二号議案 平成二十七年度鹿児島市介護保険特別会計歳入歳出決算について、一点目、平成二十七年度は介護保険料基準額が年額五万八千四百円から六万九千二百円に大幅改定が行われ、全ての所得階層の介護保険料が値上げとなった上、一定以上所得者の利用者負担割合が一割から二割となり、市民への大変な負担増につながったこと。
 二点目、今後の介護給付の増加を抑制するために施設入所者の補足給付見直しによる負担増、特養ホームの入所者を原則要介護三以上にするなど、介護保険サービスを受ける権利の侵害につながる見直しが行われていること。
 三点目、介護報酬が全体で二・二七%削減されることで多くの介護事業所が今後厳しい経営に直面することになり、ひいては介護職員の処遇への悪影響や安心安全の介護を利用できない事態が懸念されること。
 以上の理由から、本議案を認めることができません。
 次に、第四三号議案 平成二十七年度鹿児島市後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算について、これまでも申し上げてきましたが、同制度は七十五歳以上の高齢者を後期高齢者として強制的に別建ての医療保険制度に加入させる世界に類を見ない制度であり、医療給付の増加に従って保険料を引き上げていく仕組みが続けられ、その結果、保険料の滞納や短期保険証の推移が増加傾向にあり、高齢者が安心して老後を送っていける制度となっていないため、制度の廃止を求める立場から認めることができません。
 次に、第四六号議案 平成二十七年度鹿児島市交通事業特別会計決算について議会の認定を求める件について、平成二十七年度は鹿児島市交通局市営バスの路線に係る管理の受委託評価委員会の評価書が報告され、管理の受委託が民間バス事業者のノウハウを活用しての運行経費削減やサービスの向上につながるとされた一方で、接客・接遇サービスの水準については改善を要するとの指摘がなされています。これらは管理の受委託について労働条件の悪化や市民サービスの低下につながるとこれまで指摘してきたとおりであり、今後も継続されることは問題です。
 以上の理由から、本議案を認めることはできません。
 以上、決算関連議案八件に反対する理由を申し上げ、日本共産党市議団を代表しての討論を終わります。(拍手)