◆(たてやま清隆議員) 日本共産党市議団の一人として個人質疑をいたします。
森友学園問題や加計学園問題に見られるように、安倍政権による国政の私物化は目に余るものがあり、行政への信頼が今日ほど揺らいでいるときはありません。地方行政においても清潔で公正な市政の確立が求められています。
私は、第一回定例市議会に続いて森市長の政治倫理の姿勢をただすとともに、市長等の政治倫理条例に関して質問します。
まず、選挙管理委員会に質問します。
公職選挙法第百九十九条第一項特定の寄附の禁止と同法第二百条第二項の内容をお示しください。そして、同法の条文にある選挙に関し行われる寄附とは、候補者の選挙運動費用収支報告書に記載された寄附も指すものと理解してよいかお示しください。
答弁願います。
◎選挙管理委員会事務局長(西美佐男君) お答えします。
公職選挙法第百九十九条第一項は、国または地方公共団体と請負その他特別の利益を伴う契約関係にある者がそれぞれの選挙に関し寄附をすることを禁止しており、第二百条第二項は、全ての者が選挙に関し、これらからの寄附を受領することを禁止しております。また、当該選挙に関しとは、選挙運動を含むものでございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) ただいまの答弁から、請負その他特別の利益を伴う契約関係にある者の寄附が選挙運動費用収支報告書に記載されているならば、それは公職選挙法に触れる可能性があることが明確になりました。
そこで、昨年十一月に行われた市長選挙の森市長の選挙運動費用収支報告書について質問します。
森市長は、第一回定例市議会で、いろいろな御指摘があり疑念を抱かれないために、八十八件、一千四百二十九万五千円の寄附を返したと答弁されました。そして、同時に、お返ししなかった寄附については、疑念を抱かれるものではないと明確に答弁されました。ところが、三月二十二日付の新聞では、「収支報告再び訂正 森市長、寄付二十万円返金」と報じられました。この報道が事実ならば、前回の答弁は間違っていたことになります。
そこで、森市長に質問します。
再び寄附金を返金した額とどのような疑念を抱かれると考えたのか、その具体的な理由をお示しください。
答弁願います。
[市長 森 博幸君 登壇]
◎市長(森博幸君) たてやま清隆議員にお答えをいたします。
お触れになった返金については、二十万円をお返ししたもので、これは個人からの寄附であって、違法性は全くありませんが、会社等からの寄附であると誤解をされることがあってはならないとの思いからお返しをしたところでございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
森市長が寄附を返した方は、単なる個人ではなく会社経営者であり、市と請負契約を結ぶ契約の当事者だから市民は疑念を抱いているわけです。
このパネルをごらんください。
私は、市長に寄附をした方々が経営する会社に対して、市の公共事業や指定管理事業がどれくらい発注されているのか政務調査課を通じて各局に照会し、調査をしました。森市長が寄附を返した八十八名の寄附者の中で八十名の寄附者が経営する会社に選挙が行われた平成二十八年度の実績として、市長部局で四百九十八件、船舶局で一件、市立病院八件、水道局百四十四件、交通局五件、教育委員会二十二件、合計六百七十八件、落札委託料総額は七十八億七千八百十九万円でした。
前回の質疑では、十三名の寄附者が経営する会社が市の公共事業を請け負っている事実を示したことに対して森市長は、氏名は一致していると答弁されました。しかし、この調査結果が示すように、寄附を返金した寄附者の多くが氏名の一致だけではなく、市と請負等の契約の当事者と同一人物ではないですか。
森市長の見解を求めます。
答弁願います。
[市長 森 博幸君 登壇]
◎市長(森博幸君) 寄附をいただいた方の中には本市と契約をしている業者等の代表者の氏名と一致する方もおられますが、いずれも寄附は個人からのものであるとの申し出があったものでございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 可能性ではなくて同一人物です。事実から目を背け、同一人物であることを認めない、前回と全く同じ答弁です。市長は、御自分の選挙運動費用収支報告書を見ていないのですか。寄附者の備考欄には会社代表や会社名まで記載されているものもあります。曖昧な答弁を繰り返すことが、かえって市民から疑念を抱かれることになるということを厳しく指摘しておきたいと思います。
このパネルを再度ごらんください。
森市長の選挙運動費用収支報告書には、訂正されていない、つまり返金されていない寄附があります。その内訳は、七つの政治団体と七人の個人からの寄附であり、その合計は五百三十五万円です。
私は、この中で、一つの政治団体と三人の個人寄附について政務調査課を通じて本市と請負契約を結ぶ当事者ではないかを調査いたしました。政治団体による寄附は違法ではありませんが、政治倫理上の問題が問われます。私が調査した県ビルメンテナンス政治連盟は、その規約にビルメンテナンス業の利益を代表し、その社会的・経済的地位の確保と向上のために政治活動を行うと規定しており、その目的達成のために政治家や政党に寄附をしていることになります。
この政治連盟の役員企業と本市との請負関係を調査したところ、指定管理事業も含めて四企業で六十九件、九億九千四百七十五万円の契約を交わしていることが明らかになりました。また、三人の個人寄附者は、いずれも選挙運動費用収支報告書に会社役員として記載されており、合計二十八件、八百七十五万円の公共事業や指定管理事業を請け負っていることが明らかになりました。寄附を返していない七つの政治団体と七人の個人のうち、一政治団体の役員企業と三人の寄附者の方々が経営する企業は、本市と請負等の契約の当事者であると考えますが、森市長の見解を求めます。
答弁願います。
[市長 森 博幸君 登壇]
◎市長(森博幸君) お触れになった政治団体、個人からの寄附については関係法令において認められておりますが、寄附をいただいた個人の中には本市と契約をしている業者等の代表者がおられる可能性はあると思われます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 個人だけでなく、企業等で構成する政治連盟の役員も本市と契約している会社の代表者であることは事実であり、確認してください。
したがって、疑念を持たれる本市と請負等の契約の当事者からの寄附を受けるべきではない、返金すべきと考えますが、森市長の見解を求めます。 答弁願います。
[市長 森 博幸君 登壇]
◎市長(森博幸君) 先ほども申し上げましたが、政治団体、個人からの寄附については関係法令において認められているものでございます。
なお、個人からの寄附については疑念を抱かれることはないと考えておりますが、再度精査の上、対応してまいりたいと考えております。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 精査の上、請負等の契約の事実が確認されれば、疑念を抱かれないために返金すべきであります。
なお、政治団体を精査の対象から除外していますが、そのような態度がかえって市民から疑念を抱かれることになります。政治団体についても精査することを強く要請します。
次に、森市長が他都市の状況等を含め調査研究すると述べた政治倫理条例について質問します。
一点目、市長等の政治倫理条例の調査研究の調査範囲、調査項目。
二点目、同条例を制定している全国及び県内の自治体数、また条例制定に至る経緯の中で政治倫理上の問題が起きているか。
三点目、市民団体からの要望内容と署名数、市民団体のモデル条例案の内容。
以上、答弁願います。
◎総務局長(内山薫君) お答えいたします。
政治倫理条例の制定状況に関する他都市の調査については、九州県都市及び中核市、計五十一市に対象とする者、市民の調査請求権、政治倫理審査会の設置状況などを調査したところでございます。
次に、条例は、五十一市のうち十四市が、また県内では十九市のうち二市が制定しており、それらの中にはお触れになった経緯で制定した市もございます。
市民団体からの要望は、政治的または道義的な疑念を抱かれる寄附は今後一切受け取らないこと、市長等の政治倫理条例を早急に制定することの二項目で、署名は一千六百九十七筆となっております。また、あわせて提出されたモデル条例案は、政治倫理基準、請負辞退と指定禁止、資産公開を三つの柱、政治倫理審査会、住民の調査請求権、問責制度を三つのはりとして挙げておられます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 全国では約三百の自治体に倫理条例があると言われています。中核市、九州県都市では十四都市、県内では二市で既に制定されており、条例制定に至る経緯の中で政治倫理上の問題が起きていることが明らかにされました。
また、市民団体から市長等の政治倫理条例の早期制定を求める署名が一千六百九十七筆が提出され、同時に、三本の柱、三本のはりで構成されるモデル条例案も提出されたことが明らかになりました。
次に、他都市の市長等の政治倫理条例について学び、よりよい市民本位の条例を制定する必要があることから質問します。
一点目、そもそも政治倫理条例を制定した目的は何か。また、条例の対象となる範囲を大津市や長崎市は市長だけではなく、副市長、公営企業管理者、教育長も対象に加えていますが、それはなぜか。その理由等をお示しください。
答弁願います。
◎総務局長(内山薫君) 他都市においては、政治倫理に関する規律の基本となる事項を定め、市政に対する市民の信頼を確保し、公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することなどを目的として規定しております。大津市及び長崎市における条例の対象者は、市長、副市長、教育長、公営企業管理者などとなっており、その理由といたしましては、それぞれ、他都市を参考とした、条例制定の過程で決定したとのことでございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 私は、政治倫理条例の対象を市長にだけ限定するのではなく、副市長、公営企業管理者、教育長も対象に加えるべきと考えます。それは、自治体の重要な政治意思決定に携わり、広範な裁量権を有しているからです。また、先ほど、森市長への寄附者が公営企業や教育委員会から多くの公共事業を請け負っている事実からも市政の透明性の確保が求められています。本市も大津市や長崎市のように条例対象を市長に限定しないことを強く要請いたします。
次に、政治倫理条例に欠かすことのできない三つの柱について質問します。
一点目、第一の柱である政治倫理基準の条項の内容と目的、市長の後援会や資金管理団体は、政治的または道義的な批判を受けるおそれのある寄附金を受け取らないの判断基準は何か。
二点目、第二の柱である請負辞退・指定禁止の条項の内容と目的、奈良市、八王子市、大津市等の事例をお示しください。
三点目、第三の柱である資産公開の条項の内容と目的、本市の市長の資産公開条例との相違点。
以上、答弁願います。
◎総務局長(内山薫君) 政治倫理基準については、条例の目的を達成するため名誉と品位を損なうような行為を慎むとともに、不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないことや、特定の企業・団体等のために有利な取り計らいをしないことなどが規定されております。なお、お触れになりました判断基準については調査しておりません。
次に、奈良市等における請負辞退と指定禁止の条項については、市民に疑惑の念を生じさせないよう市長等が役員をしている会社や実質的に経営に携わっている会社、市長等の配偶者もしくは二親等以内の親族が役員をする会社などは市との請負契約や指定管理者の指定について辞退をすることなどが規定されております。
次に、奈良市の資産公開の条項については、本市の資産公開条例と同様に資産等報告書や所得等報告書などの提出が規定されておりますが、これらの報告書に証明書類の添付が求められていることや報告書が市民の調査請求の対象となることなどが相違点でございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 政治倫理基準は、条例の根幹をなす条項であり、どんな行為が基準に違反するのか、その判断基準は不可欠です。きちんと調査してください。市長等の請負辞退・指定禁止の条項は禁止規定ではなく努力規定ですが、地方自治法の趣旨を踏まえて規定すべき条項であります。資産公開は本市の条例には市民の調査請求権が欠落しており、これを補う必要があることを指摘しておきます。
次に、柱だけで建物を建てることはできません。政治倫理・九州ネットワーク代表であり、九州大学名誉教授の斎藤文男先生は、その著書の中で、政治倫理条例の実効性を担保するために三つのはりが必要だと述べられています。
そこで質問します。
一点目、第一のはりである政治倫理審査会の設置の条項の内容と目的、委員の任期や構成。
二点目、第二のはりである市民の調査請求権の条項の内容と目的、また、奈良市、久留米市の調査請求の要件。
三点目、第三のはりである問責制度の条項の内容と目的、逮捕後や刑確定後の措置の例。
以上、答弁願います。
◎総務局長(内山薫君) 他都市における政治倫理審査会は、主に政治倫理に関する事項を調査審議するために設置されるもので、条例にはその組織や職務などが規定されております。委員の任期は二年または四年であり、有識者、弁護士等で構成されております。
次に、市民の調査請求権については、市長等が政治倫理基準等に違反する疑いがあると認められるときなど、一定数の有権者の連署をもってそのことを証する資料を添付して調査を請求できることとされております。なお、奈良市では有権者の連署は求められておらず、久留米市では百分の一以上の者の連署が要件となっております。
問責制度については、市長が贈収賄罪により逮捕された場合などに市民に対する説明会の開催などを規定するもので、刑確定後の措置として、市民の信頼を回復するため必要な措置を講ずることを規定した事例がございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 政治倫理条例に欠かすことのできない政治倫理基準、請負辞退・指定禁止、資産公開の三つの柱が倒れないために三つのはりが必要です。政治倫理審査会は常設の委員会として必要です。市民の調査請求権は、奈良市が一人の市民で請求できることに対して、久留米市は有権者百分の一の連署が必要です。これを鹿児島市民に置きかえると約五千人の連署が必要となります。これでは市民が調査請求権を行使することは実質困難となります。奈良市のように一名でも調査請求権を行使できるようにすべきであります。
この質問の最後に、森市長に伺います。
市長は、五月三十日の定例記者会見では、条例をつくるかどうかは決めていない、検討中と答えていますが、後日、記者の質問に答えて、十二月議会に提案する考えを明らかにしたと報じられています。森市長は、市長等の政治倫理条例案を提出し、条例を制定する意思があるのか明確な見解を求めます。また、市民団体から提出されたモデル条例案も尊重すると同時に、パブコメや条例案提出時期などの日程も明らかにしてください。 以上、答弁願います。
[市長 森 博幸君 登壇]
◎市長(森博幸君) 私は常々、公職にある者は公正・清廉を保持し、行政への市民の信頼を確保する責務があると考えております。市長の政治倫理に関する条例については、他都市の状況等も勘案して、パブリックコメント手続を経た上で、早ければ十二月市議会定例会での提案に向けて検討しているところでございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 森市長が市長等の政治倫理条例を制定する意思を公式に表明されました。しかし、問題は中身です。ただいまの質疑で指摘した問題点や市民団体が示すモデル条例案を踏まえて十二月議会に提案されることを強く要請して、この質問を終わります。
新しい質問に入ります。
平成三十年度から国保の都道府県単位化が始まります。これに向けて本市の国保財政健全化計画(素案)が示されていますので質問します。
一点目、今回の計画素案の目的と都道府県単位化に向けた今後のスケジュールとして、県の標準保険税率や納付金等はいつ示されるのか。
二点目、本市国保の構造的な課題とは何か。この財政健全化計画によって構造的な課題の解消を展望できるのか。
以上、答弁願います。
◎市民局長(星野泰啓君) お答えいたします。
国保健全化計画案についてでございますが、本市国保は構造的な問題を抱え、単年度収支の改善及び累積赤字の解消が大きな課題となっており、この課題の解決に向けて三十年度の国保の都道府県単位化も視野に入れながら国保財政の安定的な運営が継続できるよう策定するものでございます。国保の都道府県単位化に向けたスケジュールにつきましては、県において鹿児島県国保運営方針が二十九年度中に策定され、標準保険料率及び納付金等は三十年一月に市町村に示される予定となっております。
次に、本市国保の構造的な課題といたしましては、年齢構成が高く医療費水準が高いことや所得水準が低く保険税負担が重いこと、また、保険税の収納率が低いことがございます。本計画案に基づく取り組みを着実に実行することで、一人当たりの医療費や保険税の収納率などの改善を図りたいと考えております。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 県から標準保険税率や納付金等が示されるのが来年一月は大変遅いと思います。また、本市国保の構造的な課題が計画によって解消できるとは述べられませんでした。
次に、計画は平成三十年度から三十七年度の八年間を期間としており、二点質問いたします。
一点目、財政健全化取り組み前の財政収支の見込み。
二点目、財政健全化の取り組み内容と国保税、医療給付費の財政上の効果、取り組み後の財政収支の見込み。
以上、答弁願います。
◎市民局長(星野泰啓君) 財政健全化取り組み前の収支状況の見込みでございますが、素案策定時の二十八年十二月時点の推計では、計画最終年度の三十七年度末において、単年度赤字は約四十二億六千万円、累積赤字は約二百九十九億一千万円となっております。
計画案では、収納率向上のため新規の未納者に対する臨宅訪問の実施や特定健康診査の受診率向上のための特定健診未受診者勧奨通知の充実などに取り組むこととしております。
また、取り組み後の財政収支につきましては、計画期間の三十年度から三十七年度の累計で、国保税で約十九億二千万円の増収を、医療費給付で約七十億八千万円の抑制などを見込んでおり、三十七年度末では約二百三十四億五千万円の累積赤字となり、取り組み前と比較しますと、約六十四億六千万円の改善が図られるものと考えております。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 財政健全化の取り組みを目標どおり達成し、国保税の増収や医療費の抑制ができても、三十七年度末で二百三十四・五億円の累積赤字を持つことが明らかになりました。
次に、国保の公費拡充と法定外の一般会計繰入金について、二点質問します。
一点目、本市国保への公費拡充の現状と計画期間中の見込み、国の方針。
二点目、本市国保への法定外の一般会計繰入金の現状と計画期間中の見込み、国の方針。
以上、それぞれ答弁願います。
◎市民局長(星野泰啓君) 国におきましては、二十七年度から低所得者対策の強化のため約一千七百億円の公費拡充を行っており、本市では保険基盤安定繰入金として約七億円の増収となっております。また、三十年度からは財政調整機能の強化や保険者努力支援制度の創設など、さらに約一千七百億円の拡充を行うこととされており、本計画案においても、この増収分として約五億六千万円を見込んだところでございます。
次に、法定外の一般会計繰入金につきましては、被保険者の税負担の軽減を図るため、二十八年度においては約二十一億六千万円を繰り入れております。国の方針では、決算補填等を目的とする一般会計繰り入れについては、計画的、段階的な解消が図られるよう実効性のある取り組みを行うこととされておりますが、本市におきましては、本計画案の健全化のための取り組みを行った場合でも当面は国保財政の収支は厳しい状況にあると見込んでおり、一般会計からの繰り入れ等についても検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) このパネルをごらんください。
小さいので見えにくいと思いますが、国は、国保への療養給付費、国庫負担金の負担割合を医療費四〇%から医療給付費四〇%、さらに三四%、現在の三二%へと引き下げてきました。これが国保の財政収支を悪化させてきた最大の要因です。国が示している公費拡充の財源では全く足りません。また、国保財政の安定化を図るために本市が努力している法定外の一般会計繰入金も国は計画的、段階的な解消を自治体に求めていることは問題です。このパネルの一番上の表は、財政健全化取り組み後の収支状況をまとめたものです。先ほどの答弁どおり、財政健全化の取り組み後も三十七年度末で二百三十四・五億円の累積赤字を持つことになります。
そこで、当局が計画素案の中で三つのパターンを示して二十九年度末の累積赤字六十五億円を三十七年末までに解消することを目標に国保の税率を改定して財源を確保することを提起しています。
そこで質問します。
一点目、財政健全化の三つのパターンのそれぞれの内容と税率改定に伴う被保険者の負担増の試算。
二点目、当局としては三つのパターンの中のいずれかのパターンを選択して財政健全化を図る方針か。
以上の点について答弁願います。
◎市民局長(星野泰啓君) 国保財政健全化のシミュレーションの三つのパターンの内容と税率改定の負担増について、二十八年度と計画最終年度の三十七年度との比較で申し上げますと、パターン一は、必要な財源の全額を税率改定で対応する場合で約一・六倍、パターン二は、必要な財源の二分の一を税率改定で、残りの二分の一を一般会計繰入金の増額で対応する場合で約一・三倍、パターン三は、パターン二をもとに法定外の一般会計繰入金を三十七年度に解消する場合で約一・七倍となっております。
このシミュレーションにつきましては、一つの考え方であり、今後の国保財源の確保や国の医療費抑制に対する施策、被保険者の税負担など各面から総合的に検討し、財政の健全化を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 三つのパターンはいずれも驚くべき負担増です。第一のパターンは現在より国保税率が一・六倍、私の試算では、八年間の累計負担増は一人当たり十八万五千七百円の負担増です。第二のパターンは一・三倍、金額にして一人当たり九万三千円の負担増、第三のパターンは一・七倍、金額にして一人当たり十九万七千四百円の負担増であります。当局は総合的に検討すると言われていますが、国保加入者の所得がふえない限り、このような負担増には耐えられないと思います。
そこで、このパネルをごらんください。
当局が考える三つのパターンは、いずれも国保税率を改定し、市民に重い負担増を求めています。私は、国保税率を現状のまま据え置いて累積赤字の解消と法定外の一般会計の繰り入れの解消を同時に図っていく方法があるのではないかと考え、四つ目のパターンを提案いたします。
四つ目のパターンは、この表に示すとおり、国保への国庫の定率負担を現行の三二%から、まずは三四%に引き上げ、三八%、もとの四〇%へと段階的に引き上げ、公費拡充によって財源を確保していくパターンです。法定外の一般会計繰入金も最初の四年間は必要ですが、その後は段階的に解消されていきます。また、計画期間をさらに五年間延長するのは三十八年度以降、前期高齢者数が減少に転じ医療費の減少が見込まれているからです。この四つ目のパターンの試算について当局の見解をお示しください。
答弁願います。
◎市民局長(星野泰啓君) 御提案のありましたパターンについてでございますが、国庫負担率の引き上げにつきましては、本市といたしましても国に対し公費拡充を要望しており、引き続き国の動向を注視してまいりたいと考えております。また、計画期間につきましては、被保険者の税負担や今後の収支状況などを踏まえる中で総合的に勘案し、検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) この四つ目のパターンを現実のものにするためには、やはり政治を変えなければいけないと思いますが、当局が計画で示している三つのパターンは、いずれも市民に国保税の重い負担を強いるものです。
市民犠牲による財政健全化ではなくて、国保への一般会計法定外の繰り入れを堅持するとともに、国庫負担率の大幅引き上げを国に強く求め行動するときではないでしょうか。市長の見解を求めます。
答弁願います。
[市長 森 博幸君 登壇]
◎市長(森博幸君) 国民健康保険事業特別会計におきましては、平成二十一年度の税率改定時に保険税負担の緩和策として一般会計から三十三億円を繰り入れ、これまで国保財源の確保を図ってきたところでございます。また、国保の国庫負担割合の引き上げについては、国保事業の財政の安定化を図る観点から、これまでも全国市長会を通じて国庫負担割合の引き上げなど国保基盤の拡充・強化を図り、国の責任と負担において実効ある措置を講じるよう求めてきたところでありまして、今後とも引き続き、その対応をしてまいりたいと思います。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
市長も認識されているように、国保の財源不足を招いた責任は国にあります。国保の財源不足を決して市民に転嫁しないように要請し、この質問を終わります。
新しい質問に入ります。
教育行政について。
初めに、教育勅語について質問します。
ここに、私の父が我が家に保管していた教育勅語を持ってまいりました。私も改めて読んでみましたので質問をしたいと思います。
一点目、昭和二十三年六月十九日、衆議院本会議、参議院本会議での教育勅語排除・失効の国会決議の内容。
二点目、三つの部分で構成されている教育勅語の第一段「朕惟フニから此二存ス」、第二段「爾臣民から顕彰スルニ足ラン」、第三段「斯ノ道ハから庶幾フ」の要旨をどう読み取られたか、そして、現憲法との矛盾点について。
以上、答弁願います。
◎教育長(杉元羊一君) お答えいたします。
昭和二十三年衆議院は、教育勅語について、基本的人権を損ない、かつ国際信義に対して疑点を残すものとして排除を宣言し、参議院は、教育基本法の制定により教育勅語は既に効力を失っている事実を明確にすることを決議しております。
次に、旧文部省の聖訓ノ述義ニ関スル協議会報告によりますと、教育勅語の主な内容としましては、第一段においては、主権が天皇にあること、第二段においては、大事の際には一身をささげること、第三段においては、教育勅語を遵守することなどとされているようでございます。
なお、先ほど申し上げました衆議院決議では、「根本的理念が主権在君並びに神話的国体観に基づいている事実は、明らかに基本的人権を損ない、且つ国際信義に対して疑点を残すもの」とされております。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
戦後の国会決議が示しているように、教育勅語は主権在君と神話的国体観に基づくものであり、国民主権と基本的人権を基調とする新憲法の精神とは相入れないものとし、排除・執行されました。しかも、旧文部省は、この決議の六日後、全国の学校に保管されている教育勅語の返却を指示する通達を出し、現在でもこの通達は引き継がれています。教育長は、教育勅語の内容を大変短く要約されましたが、教育勅語を学校現場に再び持ち込もうとする人々は、一部の徳目を取り上げて、現代社会でも通用すると主張しています。しかし、国会決議の審議の中では、勅語の枠の中にある以上、認めることはできないと断じています。ところが、教育勅語を復活させようとする動きがありました。
教育長に質問します。
三点目、三月三十一日、教育勅語に関する答弁書が閣議決定され、大きな波紋が広がりました。この内容をお示しください。また、この決定に基づく文部科学省の方針は示されているのか。
四点目、四月十八日の閣議決定では、教育勅語を教育現場で用いることが憲法に反するか否かについては、まずは学校の設置者や所轄庁が判断することと述べられている点について。
以上、答弁願います。
◎教育長(杉元羊一君) 教育勅語に関する答弁書におきましては、教育に関する勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導を行うことは不適切であるとした上で、憲法や教育基本法等に反しないような形で教育に関する勅語を教材として用いることまでは否定されることではないとされております。また、答弁書について、文部科学省としての方針は示されていないところでございます。
次に、教育委員会としましては、閣議決定後、文部科学省から新たな通知等も出ていないことから、これまでどおり学習指導要領に沿って歴史等の資料として取り扱うことにしております。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
森友学園の幼稚園児たちが教育勅語を暗唱し、朗読する姿に感激する安倍首相昭恵夫人の姿が報じられました。「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」、つまり、いざというときは、天皇と国家のために命をささげなさいということを園児たちが朗読している姿を私は見て、心が痛みました。文部科学省から閣議決定に基づく方針は示されていないとのことです。しかし、安倍首相は、憲法に違反するか否かは、まず学校で判断しなさいと述べているわけです。今、教育現場で資料として扱われている教育勅語は、教材に変質していくおそれがあり、教育現場で混乱が起きることが懸念されます。教育委員会におかれては、国会決議と憲法に基づき教育勅語の復活に毅然と対応されることを強く要請します。
次に、新学習指導要領の改訂により銃剣道が武道に新たに加えられたことについて質問します。
一点目、学習指導要領改訂の経緯と銃剣道導入の目的。
二点目、二十八年度の武道の実施校数、指導体制、研修実績、事故の発生件数と内容。
三点目、本市での銃剣道の競技人口、同好会等、教職員の経験者。
以上の点について答弁願います。
◎教育長(杉元羊一君) 学習指導要領改訂の経緯につきましては、今回、競技人口や国体種目であるか否かといった観点等から、その他の武道として、なぎなたに加えて新たに空手道、弓道、合気道、少林寺拳法、銃剣道の五種目が明示されたものでございます。また、導入は、より一層我が国固有の伝統と文化に触れることができるようにするものでございます。
次に、平成二十八年度の市立中学校における武道実施校数を履修方法ごとに一年生、二年生、三年生の順に申し上げますと、柔道が二十、十九、十七校、剣道が十二、十二、九校、柔道または剣道の選択が七、八、八校で、このほか三年生においては球技を選択している学校が五校ございます。また、武道の指導につきましては、全ての学校において保健体育科の教諭が担当しており、毎年年三回の研修機会が設けられております。なお、事故の発生件数につきましては、柔道が三十件、剣道が二件で、主なけがの内容は、骨折、捻挫、打撲となっております。
次に、二十八年度における本市銃剣道会への登録者数は、社会人四十七、大学生二、高校生一、小学生一の五十二人となっております。なお、社会人の中に教職員の経験者はおりません。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
私は剣道をしてきましたが、銃剣道が竹刀ではなくて木銃を使う武道として近代史の中でどのような役割を発揮してきたかを認識する必要があります。また、新学習指導要領のパブコメ期間中に銃剣道が外されていることを自衛隊出身の佐藤正久参議院議員が外交防衛委員会で質問し、追及するなど、政治的背景も否定できません。
今回の学習指導要領で武道に銃剣道が導入されたことについて市民から懸念の声が広がっています。今後の対応も含めて質問します。
一点目、市民と元自衛官からの要望内容。
二点目、今後、銃剣道の導入についての本市の方針。
以上、答弁願います。
◎教育長(杉元羊一君) 要望は、生徒の精神面への影響を心配し、中学校の武道で銃剣道を実施しないことを強く求める内容でございました。
次に、新学習指導要領における武道の履修につきましては、これまで同様、柔道、剣道、相撲のうちから一種目を選択させることを原則とし、その上で銃剣道を含めたその他の武道を取り上げる場合は、基本動作や基本となるわざを身につけさせることとしております。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
元自衛官の方は、「自衛隊で銃剣道は戦闘訓練のための必須の武道であり、実際に銃剣をつけた刺突訓練の基礎となる、これは戦時中に子供たちに竹やりを持たせ、軍事教練を行ったことと変わらない。剣道では竹刀による突きは禁止されています。銃剣道では、固いカシの木でつくった木銃による突きを認めることになり、大変危険だ」と反対を表明しています。このような声をきちんと受けとめて今後の方針を検討されるよう要請して、この質問を終わります。
新しい質問に入ります。
犬を放して自由に運動させることができる専用の広場として市民からの要望が高まっている公共のドッグラン施設について質問します。
初めに、動物の命の尊厳を守ることを基本原則とした動物愛護管理法が平成二十四年に改正されたことを受け、二十六年度から三十五年度までを期間として策定された県動物愛護管理推進計画の目標と内容及び本市との連携についてお示しください。
答弁願います。
◎健康福祉局長(上之園彰君) お答えいたします。
県の計画では、人と動物の共生する地域社会の実現を目標に掲げ、動物愛護管理の基本的考え方や適正飼養の推進など、講ずべき施策、処分頭数、譲渡率等の数値目標などが示されており、本市も目標の実現に向け県と情報交換を行いながら計画に従って各種施策を進めているところでございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 人と動物の共生する地域社会が計画の基本目標であり、主に犬猫に関する適正飼養の課題とその目標達成のために本市も県と連携して取り組みを進めているようであります。
次に、本市の犬の飼育状況と適正飼養の課題について質問します。
一点目、本市の犬の登録頭数と狂犬病予防注射実施状況。
二点目、犬に関する苦情件数と咬傷事故の発生状況。
三点目、犬の保護、引き取り状況と譲渡事業の取り組み。
以上、答弁願います。
◎健康福祉局長(上之園彰君) 二十八年度実績で申し上げますと、本市の登録頭数は二万五千九百四十四頭、狂犬病予防注射実施頭数は一万八千六百十九頭でございます。
また、苦情件数は四百三件で、犬にかまれるなどの事故は道路等で十一件発生しております。
保護や引き取りを行った犬については減少傾向にあり、譲渡事業ではホームページ等を活用した飼い主の募集などにより譲渡率は増加傾向にございます。犬については適正飼養が年々進んでおりますが、一部の飼い主による不適切な飼い方により、鳴き声やふんの放置などの苦情が依然として寄せられていることが課題でございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 犬の登録総数に対して狂犬病予防注射の実施率が七二%であり、未実施の飼い主への啓発が必要であります。また、飼育への苦情や散歩中の咬傷事故も発生しているようです。一方、犬の譲渡事業は、市民の協力もあり増加傾向にあるようです。
ただいま、当局から本市の犬の飼育状況を示していただきましたが、人と動物が共生する地域社会の実現を目指して、市民の皆さんから公共のドッグラン施設についての要望が出されています。その内容と署名数、そして、全国での公共のドッグラン施設実現に至る契機について当局はどのように認識しておられるのか。
答弁願います。
◎健康福祉局長(上之園彰君) 要望書では、既存の公園等を活用した公共のドッグランの設置の検討を求めており、八百八十五名の賛同者の署名が添えられております。また、ドッグランを設置している自治体に確認しましたところ、市民からの要望などにより設置に至った事例が多いようでございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 全国では市民の要望を受けて設置に至った例が多いようです。八百八十五筆の署名が提出されておりますが、市民の方々は、引き続き署名を推進し、森市長に提出したいと話しておられます。
私は、今回、政務調査課を通じて他自治体の公共ドッグラン施設を調査しましたが、五つの効果が期待されているようであります。それぞれの効果について当局の認識と見解をお示しください。
一点目、全ての利用者が安心して利用できる公園づくりにつながる。
二点目、平成十九年に厚生労働省がドッグラン利用者に狂犬病予防注射の義務を課したことにより予防接種の促進につながる。
三点目、動物愛護ボランティアや市民の協力も得て、飼い主のマナーと犬のしつけの向上につながる。
四点目、利用者のコミュニティーが犬を通して形成され、飼育の悩みや経験の交流につながる。
五点目、犬の社会性向上による問題行動の減少につながり、盲導犬等の補助犬の運動施設としての役割も発揮できる。
以上の公共のドッグラン施設の期待される五つの効果について答弁願います。
◎健康福祉局長(上之園彰君) 一般的には、ドッグランは犬にとってのしつけの場になり、飼い主のマナー向上につながるとともに、犬を通じて住民間のコミュニケーションが活性化すると考えられております。また、区画を分けることによって一般利用者の安全性が確保され、犬の問題行動の改善や補助犬の運動不足解消にも有効であると言われております。
なお、狂犬病予防注射の促進効果については把握できていないところでございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 公共のドッグラン施設がもたらす効果について、当局も同様の認識をお持ちのようです。飼い主による適正飼養の課題を推進していくためにも公共のドッグラン施設の要望を受けとめていただきたいと思います。
そこで、今回の市民からの要望を踏まえて、本市の今後の対応について質問します。
一点目、全国の公共のドッグラン施設の実施状況の調査と課題の整理。
二点目、市民の方々は、公園内に仮設ドッグランを臨時的に設置し、さまざまな課題を明らかにすると同時に、一般の公園利用者の理解も得たいと考えています。公園の借用等の協力。
以上の点について答弁願います。
◎健康福祉局長(上之園彰君) 本市では、中核市四十七市を対象に施設の有無や設置に至った経緯等について調査し、十八市において施設が設置されていることを確認しているところでございます。課題の整理につきましては、今後行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎建設局長(水元修一君) お答えいたします。
仮設ドッグランについては、市民からの公園占用許可申請がありましたら、公園の利用状況などを勘案し、条件を付して許可したいと考えております。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
十八都市で施設が設置され、増加しているようです。調査範囲を広げればもっと多いと思います。公共のドッグラン施設を実現するためには、健康福祉局、建設局の垣根を越えた議論が必要であります。そのことを要請して、この質問を終わります。
新しい質問に入ります。
斎場で火葬した後の残りの骨や灰がどのように適正に処理されているのかを明らかにするために質問します。
初めに、一点目、残骨灰の法的位置づけと処理内容。
二点目、平成二十七年度と二十八年度の火葬件数と残骨灰の処理量。
以上、答弁願います。
◎環境局長(古江朋子君) お答えいたします。
残骨灰につきましては、国において、火葬場から排出される灰は、宗教的感情の対象として扱われる限りにおいては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく廃棄物には該当しないと位置づけており、本市では業者委託により副葬品等の焼却灰等と区別した後に埋葬しております。
次に、火葬件数と処理量を順に申し上げますと、二十七年度、五千九百九十三件、一万五千百五十九キログラム、二十八年度、六千三百七件、一万五千二百八十七キログラムでございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 斎場で発生する残骨灰は産業廃棄物ではなく別途の基準で処理されており、毎年度、約十五トンの残骨灰が発生していることが明らかになりました。
次に、本市の残骨灰の処理の現状について質問します。
一点目、処理業務に従事する業者の受託資格。
二点目、処理業務期間と業務量、処理基準。
以上、答弁願います。
◎環境局長(古江朋子君) 直近の二十八年度で申し上げますと、過去三年以内において本市と同等規模の地方公共団体の残骨・残灰処理業務の受託実績を有すること、残骨灰等から有害物質が検出された場合、各種関係法令に基づき除去処理が行えること、慰霊設備のある適切に整備された最終埋葬地を離島を除く九州圏内に有することを受託資格としております。
また、業務期間は、二十八年十一月三十日から二十九年三月末日までで、二十七年十月一日から一カ年分の残骨灰等を収集運搬し、中間処理施設で残骨灰と焼却灰等に区分し、有害物質の除去等、適正な処理を行った上で、焼却灰等は法令等に基づき適切に処理するとともに、残骨灰は墓地、埋葬等に関する法律の趣旨に従って取り扱い、最終埋葬地に埋葬しております。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 本市では三つの受託資格を持つ業者が処理に当たり、中間処理施設で残骨灰と焼却灰等に分別し、残骨灰からは金属くず等の有価物が取り出されています。残された残骨灰は、墓地、埋葬等に関する法律の趣旨に従い、最終埋葬地に埋葬されているとのことであります。
そこで質問します。
三点目、残骨灰の処理から発生する金属くず等の有価物の二十七年度と二十八年度の実績、有価物の所有関係。
四点目、残骨灰処理の見積もり参加業者数、委託料の予算と落札額の二十七年度、二十八年度の実績。
以上、答弁願います。
◎環境局長(古江朋子君) 残骨灰の処理により発生する有価物は、二十七年度九百三十二キログラム、二十八年度八百四十八キログラムで、その所有につきましては、判例により、収骨後は斎場を運営している本市の所有となり、委託契約後は受託業者の所有としているところでございます。
次に、処理に係る見積もりにつきまして、参加業者数、予算額、落札額の順に申し上げますと、二十七年度が二者、二万四千八百四十円、一円、二十八年度が八者、二万四千八百四十円、一円でございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
一円で処理業務が落札されているということは、処理業者は有価物の売却益で処理コストを回収していることになります。私は、法の趣旨は、市民の宗教的感情に即した適正処理であり、残骨灰のリサイクルが目的ではないと考えます。
そこで質問します。
一点目、有害物質の除去等の中間処理、有価物、最終埋葬地等の報告は適正か。
二点目、適正処理に係るコストを踏まえると、一円落札が適正な委託料と言えるのか、一円落札の経緯をお示しください。
三点目、火葬する前に有価物の残骨灰等の残留物の放棄について同意書を提出している尼崎市の事例をお示しください。
以上、答弁願います。
◎環境局長(古江朋子君) 残骨灰の処理に係る報告につきましては、処理基準に従い、受託業者において中間処理時の含有物試験結果や含まれていた有価物の量のほか、最終埋葬地等の報告など、適正に行われているものと考えております。
また、委託料の見積もりについては企業としての判断で算出されているものであり、二十五年度から落札額が一円となっております。
尼崎市におきましては、残骨灰の処理に際し御遺族が同意書を提出されているようですが、その導入経緯について同市に伺ったところ、確認できないとのことでございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 本市では適正な処理が行われているとの答弁でした。私が懸念するのは、多くの業者が一円入札で参加し、その中から抽選で業者を選定することによりリサイクル目的の業者が参加する可能性を否定できないからです。また、私は今ここに尼崎市の同意書を持っていますが、残存物の処理について、火葬する前にあらかじめ同意書を交わすことは市民本位の手続として必要ではないかと考えています。
そこで、今後の課題として二つの点を質問します。
一点目、全国の調査を実施していただき、市民感情も踏まえた残骨灰の適正処理の一層の強化を図り、処理コストを踏まえた委託料と入札方式の見直しを検討すべきではないか。
二点目、残骨灰の処理については、あらかじめ遺族の同意を求めるべきではないか。
以上、答弁願います。
◎環境局長(古江朋子君) 残骨灰の処理に当たりましては、これまでも中間処理で区別された焼却灰等について法令等に基づき適切に処理されており、また、業者選定に係る手続等についても適正に行ってきているものと考えており、これらの見直しにつきましては現状では考えていないところでございます。
また、御遺族に対しましては、収骨時にその取り扱いについて説明するなど丁寧な対応に努めており、今後におきましても、お気持ちに寄り添うことを念頭に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 基本的には現状どおりという見解でしたが、処理業者との業務委託仕様書の内容を一層強化していただくとともに、斎場での遺族への丁寧な説明と対応に一層取り組んでいただくよう要望して、私の個人質疑の全てを終わります。