平成30年第1回定例会において上程された、新年度予算46議案のうち20議案について、園山議員が反対の立場から討論を行いました。
以下、討論内容です。

日本共産党市議団の一人として、ただいま上程されました46議案のうち
第83号議案 鹿児島市介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例制定の件
第84号議案 鹿児島市国民健康保険税条例一部改正の件
第86号議案 鹿児島市手数料条例一部改正の件
第90号議案 鹿児島市指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例一部改正の件
第91号議案 鹿児島市指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例一部改正の件  
第92号議案 鹿児島市指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例一部改正の件
第96号議案 鹿児島市指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例一部改正の件
第97号議案 鹿児島市指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営の基準に関する条例一部改正の件
第99号議案 鹿児島市介護保険条例一部改正の件 
第100号議案 鹿児島市指定障害福祉サービスの事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例一部改正の件
第103号議案 鹿児島市旅館業法施行条例一部改正の件
第104号議案 鹿児島市水道局職員定数条例一部改正の件
第113号議案 平成30年度 鹿児島市一般会計予算
第118号議案 平成30年度 鹿児島市国民健康保険事業特別会計予算
第119号議案 平成30年度 鹿児島市介護保険特別会計予算
第120号議案 平成30年度 鹿児島市後期高齢者医療特別会計予算
第122号議案 平成30年度 鹿児島市病院事業特別会計予算
第123号議案 平成30年度 鹿児島市交通事業特別会計予算
第124号議案 平成30年度 鹿児島市水道事業特別会計予算
第126号議案 平成30年度 鹿児島市公共下水道事業特別会計予算
以上、20議案について、反対の立場から討論を行います。

はじめに、本年4月から始まる、いわゆる国保の県単位化に基づく条例改正議案である第84号議案と、その条例改正に基づく初めての国保特別会計予算である第118号議案について、一括して反対する理由を申し上げます。
第一に、国保の県単位化にメリットはなく、本市の国保が抱える構造的な問題の解消にはならないこと。
第二に、県に「国保事業費納付金」を納付するための国保税率が条例で規定されることにより、今後は、「国保事業費納付金」に左右されるという、新たな問題が本条例改正によって生じること。
第三に、「国保事業費納付金」を県に納めるための主要な財源は、国保税と一般会計繰入金のみとなり、本市の国保特別会計の財政基盤は、国保の県単位化によって、むしろ後退すること。
第四に、今後、県の国保運営方針にもとづいて、国保への法定外一般会計の解消・削減を、本市も検討することから、国保税率の引上げが懸念されること。
以上の理由から両議案に反対します。

次に、介護保険行政に関する8つの議案についてです。
まず第1号被保険者の介護保険料を、改定するための条例改正議案である第99号議案と、その条例改正に基づく介護保険特別会計予算である第119号議案について、一括して反対する理由を申し上げます。
第一に、介護保険料が、基準額となる第5段階で、年額69200円から74900円に引き上げられるなど、12の所得段階全てにおいて引上げが行われており、年金も据え置かれる中で、重い負担増をもたらす条例改正であること。
第二に、本年8月から「利用者3割負担」が実施され、対象となる認定者の利用抑制と同時に、生活援助サービスの回数制限や福祉用具の貸与価格の上限設定による負担増などの問題点が特別会計予算に含まれていること。

つづいて、平成30年度から新たに創設される介護医療院の基準を条例で定める第83号議案と、関連する第86号議案、第96号議案について、一括して反対する理由を申し上げます。
第一に、介護医療院は、介護療養型医療施設等の受け皿として創設される施設ですが、人的配置の面で後退している基準もあることから、介護サービスの質の低下が懸念されること。
 第二に、2025年度までに20万床の病床削減をめざす政府の計画にのっとり、介護医療院も、病床削減の受け皿の一つとしての側面があることから、介護医療院の創設は、必ずしも良い医療や介護の確保と向上につながらないこと。
 第三に、介護医療院の創設に反対する立場から、関連する第86号議案と、第96号議案については反対します。

つづいて、居宅サービス等の事業に関する条例一部改正の第90号議案と介護予防サービス等の事業に関する条例一部改正の第91号議案については、国が福祉用具の各商品の上限価格を決めるための情報提供に使用した上で、その上限を超えた場合、利用者の全額負担につながる条例改正であることから反対です。また居宅介護支援等の事業に関する条例一部改正の第97号議案では、厚労大臣が定める回数以上の訪問介護を利用している利用者の回数制限につながる条例改正であることから反対です。 

つぎに、「共生型サービス」創設の基準に関する条例改正議案である、介護予防サービス等の事業の第91号議案と地域密着型サービス事業の第92号議案及び障害福祉サービス事業の第100号議案について、一括して反対する理由を申し上げます。
障がい者の皆さんは、65歳に到達しても、これまで通り障害福祉サービスの利用を継続することを求めており、共生型サービスには、利用の限定、利用者負担の発生、人的配置基準の相違などの課題があることから、利用負担や福祉と介護の業務連携をめぐり、利用者や職員の中に、様々な問題が惹起される懸念があることから反対します。 

 次に、第120号議案 鹿児島市後期高齢者医療特別会計について反対の理由を申し上げます。
 平成30年度は、均等割と所得割が、それぞれ引き下げられる一方、賦課限度額が57万円から62万円に引き上げられることにより、1047人の対象者は負担増となります。また、低所得の被保険者を対象にした所得割の軽減措置が、29年度、5割から2割に引き下げられた上に、30年度は2割軽減も廃止されるため、保険料が下がっても、低所得の被保険者にとっては重い負担増となることから、後期高齢者医療特別会計に反対します。

 次に、第103号議案 鹿児島市旅館業法施行条例一部改正の件については、国の規制緩和に従い、民泊との均衡を図るために、ホテル営業等の施設の基準を撤廃もしくは緩和する条例改正であり、市民や観光客にとって、有益な条例改正ではないことから反対します。

 次に、第113号議案 平成30年度鹿児島市一般会計予算中関係事項については夜間保育等への「認可外保育所への補助金拡充」や、固定電話を持たない高齢者も利用できる「ひとり暮らし高齢者等安心通報システム設置事業の拡充」及び、障害福祉での「移動支援」サービスの拡充など、市民要望に応える施策が予算化される一方、プライバシー侵害や個人情報ろうえいに対する市民の懸念が根強いマイナンバー制度関連の予算措置もあり問題であると同時に、第6次行政改革大綱・推進計画に基づく、市政のアウトソーシング・民間委託の施策が数多く予算化されており、それぞれの関連事業について反対の理由を申し上げます。

一般会計の歳出面では、建設局の「市営住宅滞納家賃収納業務委託費」「市営住宅指定管理者制度導入事業費」は、家賃収納業務のコスト削減のために、業務を外部委託するということは、公務労働の専門性が、現場から失われていくということから反対です。
 また環境局の、新南部清掃工場整備・運営事業費については、いわゆるDBO方式による初年度の建設費用ですが、その効果検証は、長期契約が終了する、およそ25年後でなければ明らかにされないのは問題です。
 教育委員会の、学校建設費 校舎建替事業や新鴨池公園水泳プール整備・運営事業費は、PFI事業に関わる事業ですが、この事業のメリットと言われるコスト削減の効果は、長期の契約期間が終了しなければ検証されないことから問題です。

また学校給食業務委託事業費については、新たに調理の外部委託を導入する事業費ですが、学校給食は教育活動の一環であることから、教育活動の一翼を担う調理員の役割を否定することにつながることから問題です。
 一般会計の歳入面においては、地方交付税が減額されている要因のひとつとして、民間委託によるコスト縮減と連動して基準財政需要額の算定に反映する仕組みであるトップランナー方式があることから、認めることはできません。

 さらに、民間委託については、企業会計予算の中でも数多く予算化されています。
 鹿児島市病院事業特別会計予算の第122号議案については、病院食は治療の一環であるにもかかわらず、病院給食の民間委託の予算化、また未収金回収業務委託事業では、ソーシャルワーカの役割が軽視される懸念があり、弁護士等への委託が予算化されていることは問題です。
また初診時選定療養費が、国や大学病院を上回る料金で設定され、市民にとっては重い負担増であることから反対します。

 次に、交通事業特別会計の第123号議案について、管理の受委託により、北営業所では減便され、市民サービスや雇用環境の低下が懸念される事業内容が含まれていることから反対します。
 次に、水道局の職員定数の条例改正である第104号議案と、水道事業特別会計予算の第124号議案及び公共下水道事業特別会計予算の第126号議案については、職員を減らし、水道料金の徴収を民間委託するための事業が予算化されていますが、徴収業務を通じて他の行政支援につなげるという市独自の公的責任が後退すると共に、徴収業務を委託しようとしている業者の職員が、他都市において、水道料金を着服する事件をひきおこしていることは問題であり反対します。

以上の予算にみられる本市の行政改革関連予算は、コスト効率主義に立っており、行政サービスの成果と効果を適切に評価せず、市政に対する公的責任の後退をまねくことから反対します。
以上をもちまして、日本共産党市議団を代表しての討論を終わります。