平成30年第1回定例会において、鹿児島市議会議員定数削減の議案が出され、大園議員が反対の立場から討論を行いました。
以下、討論内容です。

日本共産党市議団を代表して「第129号議案 鹿児島市議会議員定数条例一部改正の件」に反対する立場から討論を行います。
本議案は、私ども日本共産党会派を除く7会派の代表者と無所属議員4名の11名の議員提案によって「本市議会の議員定数を現行の50人から5人削減し45人とする」ものであります。
私どもとしては本議案に対する個人質疑に臨み、議案提出者を代表して自民党新政会の川越圭路議員に議員定数削減の根拠や議会機能の保障に対する考え方について正面から議論させて頂き、削減後の私どもの懸念を一定共有できたものの「削減」か「現状維持」かについては見解が分かれることとなりましたので、以下、反対する理由を申し上げます。
一点目、今回、議員定数を「5人削減の45人」とする理由と根拠については、「国立社会保障・人口問題研究所が予測した本市の将来推計人口が2040年に約52万人、2060年には約41万7千人と示されたことに加え、直近の国勢調査において、本市が初めて人口減少に転じて60万人を割り込み、2060年に60万人を維持するとした鹿児島市まち・ひと・しごと創生人口ビジョンの予測を上回る減少傾向にあることから、今後の超高齢化による生産人口の減少による税収減や社会保障費の増大、地方交付税の落ち込みといった厳しい財政状況となることを踏まえ、「数」については撤廃前の法定上限数、総務省自治行政局の調査を根拠とした」とのことでした。
人口減少社会の到来という根拠について、私どもとしても将来の鹿児島市を考える上でシビアに見ていく必要があるということは理解できるところですが、現在、少子高齢化や地方の衰退を防ぎ、人口減少に歯止めをかけるべく「地方創生事業」に当局と議会が一丸となって取り組んでいる最中、人口減少ありきの提案は、その施策自体を否定することにもつながることから、定数削減ではなく、現在の50人が背負う市民の声と議員各位の取組みによって歯止めをかけることこそ今、本市議会に課せられた使命と考えます。
また、今後の厳しい財政状況を根拠とされる場合に、私どもはこれまでも「同じ50人を定数とする船橋市並みの議員報酬・費用弁償・政務活動費にすれば、本市の議員4.7人分の費用が削減できる。」と議会機能を損なうことなく本市財政に寄与する道を示してきました。本会議での質疑では見解が分かれたところでしたが、私どもとしては民意や議会機能を削る議員定数削減よりも、まさにわが身を削る報酬等の削減こそ必要ということを強く申し上げます。
二点目、これまで議員定数についての議論は、鹿児島市議会基本条例第17条「議員定数の改正にあたっては、人口、面積、財政力、事業課題等を類似する他の地方公共団体と比較検討し、議会が市民の意見を十分に反映できることを勘案するものとする。」に基いて行われてきました。
直近では、平成27年2月にも「2人削減の48人とする」ことが議員発議により提案され、個人質疑や委員会審査で、その根拠や他都市との比較を徹底して論議したうえで否決され、その後、市民から提出された同様の趣旨の陳情も否決されております。
本会議の答弁でもあった通り、前回の論議以降、定数を削減した自治体は5市あり、全国的な流れがあることは認識しますが、類似の中核市を比較した場合、人口、面積、財政力、事業課題等で本市に大きな変化は見られません。また、平成27年2月以前ではありますが、定数増をした都市が3市あるとともに本市と同じ議員定数の船橋市は「50人」を現状維持していることから、議会基本条例に基づく他の地方公共団体との比較検討した上で否決された「2人削減の48人」を上回る「5人削減の45人」は到底受け入れがたいと考えます。
三点目、先ほど述べた議会基本条例第17条の「議会が市民の意見を十分に反映できることを勘案するものとする。」ということや、これまでの議論の中で「定数問題は、議会の審議能力、住民意思の適正な反映を基本とすべきであり、議会機能の強化と一体として議論されるべき。」との指摘があったように、議員を削減したから当然、議会能力も落ちましたでは許されませんし、その場合に「議会は何をしているか分からない。」「働かない議員はやめてほしい。」という市民感情はさらなる定数削減を求めかねません。
本会議での質疑では「会派や議員独自の議会広報紙の発行・配布や議会報告会が減少すれば市民の政治への関心や知る権利が後退するのではないか。」「執行機関や首長の権限が増大し、ますます二元代表制の一翼としての議会・議員の役割が重要になってきている今、監視機能を十分に確保することができないのではないか。」との私どもの懸念に対して一定の認識を共有しながらも「議会の機能を落とさないための資質の向上が必要」として各会派・議員の努力に委ねる答弁でした。
私どもとしても定数問題の有無に関わらず、日頃から資質の向上に努めることが市民に付託を受けた議員に課せられた使命と考えておりますが、議会全体としての機能強化は議会改革推進研究会でも「出前議会」などの具体化が道半ばであるとともに、削減後の議会機能の保障について議案提案に賛同された皆さんが協議し、あるべき姿について一致する見解を述べられなかったことは、提案理由説明で「市民意見のさらなる反映を実現する。」と述べられる立場での責任ある対応とは言えないこと。
四点目、私どもが「50人の現状維持」を求める理由について、本会議の質疑でも一定見解を述べさせていただきました。
一つは、本市と同じ中核市で最大の「50人」を議員定数とする船橋市との比較です。議会運営委員会での資料によりますと、平成29年度12月1日現在で、人口632,303人、一般会計約2,095億円、一般会計に議会費が占める割合が0.46%となっており、本市とほぼ同規模の中核市と考えられますが、市域面積は85.62平方kmと本市の6分の1の面積になっており、本市でいうところの支所ごとに議員がおられる状態です。本市は平成16年に1市5町の合併を経て、広域になっており、各支所管内に議員がいると言う状態はできにくいと思いますし、政令市のように選挙区を作るわけにもいきません。だからこそ、多様な市民ニーズを適正に反映するには、少なくとも現状の議員定数が必要であり、これ以上の議員の削減で本市議会の持つ多様性を失うわけにはいかないのであります。
もう一つは、本市が中核市に移行した際、議員定数を「48人から50人」に増やした時点から人口・面積・財政規模・事業課題等を検証すべきと考えていることです。当時の人口規模は直近の平成7年度国勢調査によれば「546,282人」、1市5町の合併を経て、市域面積は当時の約2倍、執行機関や首長の権限や財政規模、事業課題等について増大しているにもかかわらず、合併前に132人おられた議員が55人に削減され、その後50人で留まったものの、5町も含め、すべての支所管内に議員がいるわけではなく、地域の声が届きにくくなっている現状があることは、これまでの議論の中でもご承知の通りです。本市が人口減少局面に入り、いわゆる社人研の将来推計人口が2040年に約52万人と示されていることをシビアに見るとしても、本市が中核市に移行した人口約54万人当時の議論や検証の末、導き出された「50人」の定数は現在も20年後も本市の議会機能を保つ最低限の人数だと考えます。

以上の理由から私どもとしても、本市の将来を見据え「覚悟」を持って「50人の現状維持」を主張し、本議案について反対致します。
最後に、今議会は、市長から明治維新150年の節目として、一般会計で初めて2,500億円を超える過去最高規模の新年度予算が提案され、市民生活や地域経済に与える影響を審査することこそ議会の最優先の任務だったと考えています。
一方で、議員定数の問題は民主主義の根幹に関わる重要な課題ではありますが、改選は2年後、新年度予算に影響もないことを踏まえ、今議会での提案は、これまでより多い定数削減への議会全体の「覚悟」や「責任」を問うには、十分な時間を費やしたとは言えないのではないでしょうか。
議員の皆様におかれましては、これまでの主張や市民との公約に立ち返って、各々の「覚悟」と向き合って決断されることを心からお願い申し上げ、日本共産党市議団を代表しての反対討論を終わります。