◆(たてやま清隆議員) 日本共産党市議団を代表して、ただいま上程されました補正予算関係の議案十八件のうち、第六五号議案 鹿児島市民生安定資金貸付基金条例廃止の件、第七一号議案 特別職の職員の給与に関する条例等一部改正の件、第七三号議案 平成二十九年度鹿児島市一般会計補正予算(第五号)、第七六号議案 平成二十九年度鹿児島市介護保険特別会計補正予算(第一号)、第七八号議案 平成二十九年度鹿児島市病院事業特別会計補正予算(第一号)、第七九号議案 平成二十九年度鹿児島市交通事業特別会計補正予算(第二号)、第八〇号議案 平成二十九年度鹿児島市水道事業特別会計補正予算(第一号)、第八二号議案 平成二十九年度鹿児島市船舶事業特別会計補正予算(第一号)の八件の議案に反対する立場から討論を行います。
初めに、第六五号議案 鹿児島市民生安定資金貸付基金条例廃止の件について、反対する理由を申し上げます。
同議案は、自立の生計を営むことができない者並びに援護を必要とする母子世帯、身体障害者及び天災による罹災者に対して資金の貸し付けを行い、民生の安定と福祉の増進を図る目的で昭和二十九年度に設置された鹿児島市民生安定資金貸付基金を廃止するための条例廃止の議案であります。
同基金を廃止する理由として、平成二十三年度以降貸付実績がない、県社会福祉協議会が実施する類似の貸付制度、生活福祉資金貸付制度がある、平成二十六年度の行政評価市民委員会において同基金を廃止すべきとの評価を得た等の理由をもって、今回の条例廃止の提案に至ったとのことであります。
同基金の貸付実績は、平成十九年度から二十二年度までは合計八件、総額七百五十万円の貸付実績があり、二十三年度以降の貸付実績はありません。一方、県社協の生活福祉資金貸付は、連帯保証人なし、年利一・五%の改定が行われた平成二十一年度は百二十七件に増加し、平成二十二年度はさらに二百十八件に増加、その後は百件台の貸し付けで推移しています。このような現状を踏まえて、二十六年度の行政評価市民委員会では三年間貸付実績がなく、県社協に利用しやすい類似事業があることから廃止すべきであるとの評価が下されています。
しかし、市当局も同基金の役割について、これまで市民の民生の安定と福祉の増進に一定の役割を果たしてきたと認めておられるように、同基金の貸付実績がないことを捉えて廃止という判断を下されたことは市民福祉の向上に対して後ろ向きな態度と言わざるを得ません。本当に同基金を市民福祉の向上に役立つ制度にしていくという立場に立つならば、連帯保証人を確保できない市民や県社協の生活福祉資金貸付で申請が受理されなかった市民の声を聞き、貸付要件を緩和し、生活困窮に苦しむ市民がもっと借りやすくするための基金制度に改善するべきではなかったでしょうか。しかし、そのような改善は検討されないまま本市独自の民生安定資金貸付基金の廃止を決定することは問題であり、市民福祉の後退をもたらすことから、同議案に反対をいたします。
次に、第七一号議案 特別職の職員の給与に関する条例等一部改正の件については、特別職の職員に支給される期末手当の支給割合について、国の指定職職員に準じて改めるものであるとのことですが、以下反対する理由を申し上げます。
一点目、今回の内容は、国の人事院勧告に準じて市長や議員などの特別職の期末手当を年間〇・〇五カ月引き上げるものです。その影響額は総額約二百五十万円で、市長が六万九千二百四十円、議長が四万七千四百円、議員が四万一千百六十円などですが、本年二月七日に公表された厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、平成二十九年度は速報値で実質賃金が前年に比べ〇・二%減少し、安倍政権が発足した平成二十四年末以来、二十八年を除いてマイナスが続いています。名目賃金が上昇しても物価高に追いつかず、市民の生活は苦しい現状が続いている中で、民間の賃金を引き上げさせないために市職員の給与を引き上げることがあっても、特別職までそれに準ずる必要はないこと。
二点目、他の中核市と比較して、月額で市長の給料は七位、議員は四位と高い位置を示しています。また、国の人事院勧告に準ずる対応をしていない自治体は五市あることが明らかになりました。このようなことからも、鹿児島市特別職報酬等審議会の審査を通じて議案を提出するなど、国の人勧とはいえ、これまでの自動的に引き上げる対応は見直すべきであること。
三点目、特別職の給与については、社会情勢に適応し住民の理解を得られることが重要とのことですが、現在、市長や議員のあり方について市民の厳しい目が注がれており、本市議会でも議員定数の削減が議論されている中で、いま一度、本当に報酬引き上げが必要なのか、住民の理解が得られるものか、私たち議員にも問われていること。
以上、三点の理由から本条例改正案に反対するとともに、市長や議員などの影響が含まれる第七三号議案、公営企業管理者等の影響が含まれる第七八号、第七九号、第八〇号、第八二号議案もあわせて反対いたします。
次に、第七三号議案 鹿児島市一般会計補正予算(第五号)について、歳入、款諸収入、項雑入、目雑入中、事業廃止による基金引継金である民生安定資金貸付基金引継金一億五千十二万円については、鹿児島市民生安定資金貸付基金条例の廃止に伴う措置ですが、本市独自の貸付基金制度を今後も存続させ、生活困窮に苦しむ市民がもっと借りやすい制度にするためにさらに改善を図るべきであったという立場から反対をいたします。
次に、歳出、款土木費、項港湾費、目港湾費の鹿児島港港湾整備事業費負担金中、マリンポートかごしま、いわゆる人工島関連事業の港湾負担金が含まれていることから、以下反対する理由を申し上げます。
一点目、平成二十八年度はマリンポートかごしまに係る港湾負担金は計上されず、人工島建設は一旦ストップしたかに見えました。しかし、今回の補正予算では、これまでの上物整備でも基盤整備でもない既存施設の改良として防舷材などの十六万トン級クルーズ船への対応がなされ、その負担金を計上しています。新たな動きを見せる人工島建設ですが、本市には何を幾らでつくられるのか、県との協議もないまま負担させられているのは問題です。
二点目、今回の補正予算計上の港湾負担金に係る事業費は総額一億四千八百十二万二千円、国が四千九百三十七万四千円、県が五千九百二十四万九千円、本市は三千九百四十九万九千円を負担させられています。これによってこれまでの事業費総額はおよそ二百六十八億円、国が六十二億円、県が百七十三億円、本市は三十三億円となり、起債という借金は二十二億七千万円で二十年後まで払い続けなければならないこと。
三点目、今回、県は、十四万トン級のクルーズ船が寄港できたことを背景に今後十六万トン級以上の船の受け入れ拡大をしていく方針のようですが、人工島の水深と船の喫水の課題がある中で、抜本的な改善もなく、技術的な判断で大型船を受け入れるのは安全上も早計であること。
四点目、これまでも本市は基盤整備や上物整備、明確になっているマリーナの整備といった残事業以外に噴水広場や今回の既存施設の改良にも負担させられてきています。新しい方針のもとで事業はいつ終わるのか、本市はいつまで負担させられるのかが明確に示されない中で人工島建設に負担し続けることは問題であること。
以上の理由から、同議案に反対いたします。
次に、第七六号議案 平成二十九年度鹿児島市介護保険特別会計補正予算(第一号)については、歳出、款総務費、項総務管理費、目一般管理費、介護保険システム運用経費一千二百二十六万九千円、歳入、款国庫支出金、項国庫補助金、目事務費補助金四百九十三万八千円、これらの補正予算の中には、市民のプライバシー侵害につながるマイナンバー制度に係るシステム改修や介護保険サービスの市民負担増をもたらす利用者二割・三割負担導入に対応するためのシステム改修費用と国庫補助の措置が含まれていることから、反対をいたします。
以上、八件の議案について反対の理由を申し上げ、討論を終わります。(拍手)