◆(たてやま清隆議員) 日本共産党市議団の一人として個人質疑をいたします。
 このたび、追加議案として、第一二八号議案 平成二十九年度鹿児島市一般会計補正予算(第六号)が提出されましたので、以下その補正予算の内容について質問してまいります。
 初めに、款教育費四億六千六百六十四万四千円について質問します。
 質問の一点目、同補正予算の内容として、事業内容、予算額、財源について、それぞれお示しください。
 質問の二点目、同補正予算の国庫支出金の内訳、交付金、交付金の補助率とその相違点の理由について、それぞれお示しください。
 質問の三点目、今回、補正予算の提案がおくれた理由とその要因についてお示しください。
 以上、それぞれ答弁願います。

◎教育長(杉元羊一君) お答えいたします。
 今回の補正予算は、国の補助内示により、小・中・高等学校のクーラー設置・更新を行うものでございます。予算額は四億六千六百六十四万四千円で、財源は、国庫支出金、一億六千五百三十四万四千円、地方債、三億百三十万円でございます。
 国庫支出金につきましては、小学校、八千三百十万三千円、中学校、四千九百五十三万五千円、高等学校、三千二百七十万六千円でございます。補助率は、小中学校、三分の二、高等学校、二分の一で、小中学校は多量降灰防除地域のため補助率が加算されているものでございます。
 今回の補正予算につきましては、国から二月二十日付で補助内示があったことによるものでございます。
 以上でございます。
   [たてやま清隆議員 登壇]

◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
 同補正予算は、国庫支出金と地方債の財源を活用して本市の小・中・高のクーラーの設置・更新を行うもので、小中学校に関しては、多量降灰防除地域の加算が適用されることで三分の二の国庫補助を受けていることが明らかにされました。また、補助内示が二月二十日となったことで、今回、補正予算の提案がおくれた理由が示されました。
 そこで、質問の四点目、補正予算に計上されたクーラー設置・更新事業について質問します。
 一点目、二十九年度までのクーラー設置・更新事業の実績を学校数、教室数でお示しください。
 二点目、今回の補正予算に伴う三十年度のクーラー設置・更新事業について、同事業の計画内容として、学校数、教室数、一教室当たりの設置費用をお示しください。また、クーラー設置の着手時期と発注方針についてお示しください。
 三点目、クーラー設置・更新事業の未着手の学校数、教室数をお示しください。
 以上、それぞれ答弁願います。

◎教育長(杉元羊一君) 平成二十七年度から二十九年度までにクーラーを更新しました学校は、二十三校、二百十八室でございます。
 今回の補正予算に係る学校数等につきましては、十三校、百七十七室で、一室当たりの設置費は平均二百六十三万円でございます。なお、事業着手は本年十月ごろを予定しており、受注機会の確保を図るため、学校ごとに発注してまいります。
 今後、特別教室等のクーラーの更新が必要となる学校は、七十二校、八百五十五室でございます。
 以上でございます。
   [たてやま清隆議員 登壇]

◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
 二十九年度までに二十三校、二百十八の教室の更新整備が終了し、今年度は十三校、百七十七教室を予定しており、本年十月ごろに工事に着手し、学校ごとに発注するとの方針が示されました。
 なお、クーラー設置・更新事業の未着手が七十二校、八百五十五教室残されております。
 そこで、質問の五点目、クーラー設置・更新事業の今後の課題についてお示しください。
 答弁願います。

◎教育長(杉元羊一君) 今後ともクーラー設置・更新につきましては、各学校の状況の把握に努めるとともに、国庫補助の活用を図り、適切な整備に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
   [たてやま清隆議員 登壇]

◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
 一教室当たりの設置費用が二百六十三万円です。残り八百五十五教室ですので、単純に試算すると約二十二億五千万円の財源が必要となります。全ての教室のクーラー設置・更新を完了させるには相当な年数を要することになります。しかし、それまで既存のクーラー設備が持ちこたえることができるか懸念されます。
 今回は、補助内示がおくれたことでこのタイミングでの補正予算の提案となりましたが、本市は、多量降灰防除地域加算により三分の二の補助率で学校施設環境改善交付金が得られる利点があることから、ぜひ三十一年度に向け国への要望活動を一層強めていただき、着実にクーラー設置・更新事業を推進していただくよう要請して、この質問を終わります。
 次に、款土木費、項土地区画整理費六千六百三十二万三千円について質問いたします。
 同補正予算は、吉野地区土地区画整理事業に係る補償金をめぐって訴訟が提起され、その判決によって本市に支払い義務が発生したことに伴う補正予算であり、その原因と責任の所在を明らかにする立場から、以下質問してまいります。
 質問の一点目、同補正予算について質問します。
 一点目、同補正予算の内容と議案提出がこの時期となった理由とその要因についてお示しください。
 二点目、土地区画整理費の内訳と財源をお示しください。
 三点目、第一審と第二審の弁護士費用とその対応についてお示しください。
 以上、それぞれ答弁願います。

◎建設局長(水元修一君) お答えいたします。
 今回の補正予算は、平成三十年二月十四日に福岡高等裁判所宮崎支部において判決が言い渡されたことから、吉野地区土地区画整理事業における建物移転に係る営業休止補償金を計上するものでございます。
 同補正予算の内訳は補償費であり、財源は繰越金で、一般財源でございます。
 第一審及び第二審の弁護士費用は、着手金としてそれぞれ二百四十七万九千六百八十円、八十一万円を支払っております。
 以上でございます。
   [たてやま清隆議員 登壇]

◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
 二月十四日の宮崎高裁の第二審判決により本市が敗訴し、建物移転に係る営業休止補償金を支払わなければならない義務が発生したことにより、補償費として補正予算に六千六百三十二万三千円が計上されたことになります。
 なお、第二審の判決は、本市が原告に対して「五千五百九十二万六千六百円及びこれに対する平成二十六年七月十一日から支払い済みまで、年五分の割合による金員を支払え」でありますので、裁判が三年八カ月に及んだ結果、六千六百三十二万三千円のうち、実際の補償費を除く一千三十九万六千四百円は法定利率に基づく遅延損害金であることを申し上げておきます。
 また、弁護士費用一審、二審合わせて三百二十八万九千六百八十円は今回の補正予算に含まれていないことになります。本市が敗訴したことにより多額の金銭を支払う結果となったわけですが、過去に今回のような事例があったのでしょうか。
 質問の二点目、本市が裁判で敗訴し金銭を支払ったこれまでの事件として、その件数及び金銭の最低と最高を企業を除く市長事務部局等でお示しください。
 答弁願います。

◎建設局長(水元修一君) お触れの件は過去二十年間で二件あり、保険からの補填額を除く本市の負担はおよそ八万円と二百六十一万円でございます。
 以上でございます。
   [たてやま清隆議員 登壇]

◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
 過去二十年間を調査した結果、企業を除く市長事務部局等では二件であり、その金額も八万円と二百六十一万円であり、今回の敗訴による金額が過去の事例と比較してもいかに多額であるかを示しています。したがって、市民の皆さんが今回の補正予算について理解していただくためには、そもそもなぜ裁判が起きたのか、なぜ市は敗訴したのか、その原因と責任の所在を明らかにしていくことが不可欠であると考えることから、引き続き質問してまいります。
 質問の三点目、今回の補正予算の原因となった吉野地区土地区画整理事業に係る補償金請求及び不当利得返還請求反訴控訴事件について質問します。
 一点目、同事件が発生する平成二十一年度当時の吉野地区土地区画整理事業について、平成二十一年度当時の同事業の仮換地指定率、事業費ベース、建物移転の進捗状況をお示しください。また、二十一年度当時の営業休止補償件数及びこれまでの営業休止補償件数をお示しください。
 二点目、事件の概要についてお示しください。
 以上、それぞれ答弁願います。

◎建設局長(水元修一君) 当時の進捗状況は、仮換地指定率でおよそ八三%、事業費ベースで七六%、建物移転ベースで六九%でございます。営業休止補償の契約は、二十一年度に四件、その後二十九年度までに四件ございます。
 事件の概要ですが、二十一年九月より営業休止補償を受けていた相手方が本市の工事を請け負っていたことから、改めて検証を行ったところ、補償金が過払いであると判断し、二十三年十月分以降の支払いを停止いたしました。相手方はこれを不服として未払い補償金を請求する訴えを提起し、その後、本市は過払い金の返還を求めて反訴提起したものでございます。
 以上でございます。
   [たてやま清隆議員 登壇]

◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
 今回の事件が発生した平成二十一年度当時の吉野地区土地区画整理事業の進捗状況を示していただきましたが、当時の議会質疑では、「二十一年度の建物移転棟数は百三十八棟が予定され、残りの要移転棟数は七百三十棟です」との答弁があるように、多くの建物移転が執行されており、今回の事件の発端となった営業休止補償件数も二十一年度だけで本件も含めて四件あったことが示されました。事件の概要を示していただきましたが、本市が営業休止補償金の原告への支払いを中止したことが今回の裁判を引き起こす発端となったということは指摘しておきたいと思います。
 では、裁判の結果どうなったのかお尋ねします。
 質問の四点目、第一審の経過と判決について質問します。
 一点目、第一審の経過について。
 二点目、被告と原告の主張について。
 三点目、裁判の三つの争点について。
 四点目、第一審の判決内容と対応について。
 以上、それぞれお示しください。
 答弁願います。

◎建設局長(水元修一君) 経過についてですが、相手方が二十六年七月に未払い補償金の支払いを求めて訴えを提起し、本市は同年十二月に営業休止補償と仮営業所設置補償の差額の返還を求めて反訴を提起し、二十八年七月に結審、同年十月に判決が言い渡されました。
 本市の主張は、相手方に対する補償は、本来、仮営業所設置補償とするべきであったが、契約締結に当たり相手方の移転先が見つからなかったとの回答や代表者の体調不良、後継者の不在などの話から、営業休止補償を締結すべきとの考えに至り契約を締結した。しかし、相手方は後に仮営業所を設置し営業しており、契約は錯誤により無効であるというものです。相手方の主張は、錯誤の主張は否認するとともに、仮営業所設置の適正な移転先が見つからないため、仮営業所設置補償に係る契約を締結することは不可能であり、営業休止補償を締結するべきものであったというものです。
 訴訟の争点は、第一に、本件契約は錯誤により無効であるか、または相手方に告知義務違反、もしくは詐欺があり、これらによる解除もしくは取り消しが認められるか。第二に、相手方が営業休止補償金を受領したことが不法行為に該当するか。第三に、相手方の本訴請求が権利濫用に当たるかというものです。
 判決では本市の主張が認められなかったことから、二十八年十月二十一日に控訴いたしました。
 以上でございます。
   [たてやま清隆議員 登壇]

◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
 第一審の裁判は、三つの争点に基づいて裁判が行われた結果、平成二十八年十月の判決では本市の主張は認められなかったことから、本市は控訴することにしたとのことであります。
 私は、当時、建設委員会に所属していましたので、平成二十八年第四回定例市議会に控訴について専決処分の承認を求める議案が提出された際に委員会で質疑が交わされました。その質疑の中で当局は、営業休止補償をもらっているからといって営業してはいけないというものではない。よって、契約を締結する際の契約そのものがどうだったのかということが争点となっていると答弁されています。私は当局の説明に一定の懸念を持ちましたが、専決処分そのものは承認をいたしました。
 しかし、今回質問するに当たって第一審判決の全文を確認しましたが、市の主張はことごとく否定されていることから、やはり控訴するべきではなかったと思いますが、質問の五点目、どのような内容で控訴されたのかお示しください。
 答弁願います。

◎建設局長(水元修一君) 第一審判決は争点に係る判断がいずれも誤っており、取り消されるべきであるというものです。
 以上でございます。
   [たてやま清隆議員 登壇]

◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
 第一審の三つの争点について裁判所の判断がいずれも誤っており、取り消すべきという立場から控訴されたとのことです。
 質問の六点目、では、第二審の経過と判決について質問します。
 一点目、第二審の経過について。
 二点目、第二審の控訴人と被控訴人の主張に対する判断内容について。
 三点目、第二審の判決内容と対応について。
 以上、それぞれお示しください。
 答弁願います。

◎建設局長(水元修一君) 経過についてですが、二十九年一月に控訴理由書を提出し、同年十二月に結審、三十年二月十四日に判決が言い渡されたところです。
 第二審での判断は、第一審の判決理由に加え、相手方が仮営業所を設置するための土地として適当でないと判断したことは不合理とは言えず、また、市に対し営業を休止する意向を示したとは言えない。したがって錯誤は認められないことから契約は有効であるというもので、判決は本件控訴を棄却するというものです。
 これを受け本市としては、上告する場合の上級審での取り扱いなどを総合的に判断し、上告を断念することとしたところでございます。
 以上でございます。
   [たてやま清隆議員 登壇]

◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
 第二審の判決は、全面的に第一審の判決を追認するとともに、被告である市の主張ではなく、相手方の原告の主張を二点追加的に認定しているところは重要な点だと思います。
 第一の点は、本市は営業休止補償の契約を締結して間もなく原告が仮営業所を設置して営業を始めたことを問題視してきました。しかし、判決では、その仮営業所は、わずか九坪の倉庫にプレハブの二階部分を増築して仮営業所としたものに過ぎない上、転々と移転を余儀なくされており、原告がこれらの土地をもって従前に所有していた建物と同じ規模の建物を設置するための土地として適当でないと原告が判断したことは不合理とは言えないと、第二審が原告の主張を認めた点であります。
 第二の点は、原告は建物の移転先が見つからないため営業は休止するなどと述べていたので、これを本市は信じて営業休止補償契約を締結したのだから、本市の動機の錯誤による契約であり、無効であると主張してきました。しかし、判決では、第一審の原告が営業を休止するであろうと本市が考えた事実を認めることはできないとの認定事実を踏まえた上で、原告は、当時の市担当職員に営業休止補償を受けても営業を継続することはできるのかと質問していることや、当時、原告は、本市の土地区画整理事業に関する請負工事を行っていることからも原告が本市に営業を休止するなどと述べたとは認められない。したがって、本市に動機の錯誤があったとは認められないと第二審においても原告の主張を認めた点であります。
 以上のように第一審、第二審とも本市の主張は全面的に退けられたことになるわけですが、今回の事件に対して市当局の対応に問題はなかったと言えるのでしょうか。
 そこで、質問の五点目、今回の同事件に対する市当局の対応の問題点について五点質問をいたします。
 初めに、第一審の判決の中で、原告は、平成二十一年五月ごろ、被告からの申し入れにより、建物の移転期限及び補償方法等について協議を始めたが、当時、被告は、原告の建物の敷地に広域幹線の水道管を布設する計画を立てていたため、原告との間で早急に建物の除却に関する協議を成立させる必要に迫られていたと述べられています。建物移転のための協議が行われている当時、このような事情があったのでしょうか、見解をお示しください。
 答弁願います。

◎建設局長(水元修一君) 建物移転時期については、水道送水管移設工事などのため、周辺の移転対象者と同様に二十一年九月までの移転をお願いしていたものです。なお、早急に建物の除却に関する協議を成立させる必要に迫られていたとする部分は相手方の主張に基づき裁判所が認定したものですが、本市としては不知を主張したところでございます。
 以上でございます。
   [たてやま清隆議員 登壇]

◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
 本市は相手方の主張だと言われますが、裁判所が認定した事実であり、重いと思います。
 当時、吉野区画整理課としては、水道管の布設工事や二十一年九月までの移転が迫る中で補償契約を早く締結する必要に迫られたのではないか。また、二十一年五月から本市と原告との協議が始まっていますが、原告は当時の本市職員の要請を受けて二十一年七月まで仮営業所を設置する場所を探しますが、原告の建物を代替し得る事業用建物としての条件を満たす適切な移転先を見つけることができませんでした。国土交通省の土地区画整理事業運用指針によれば、施行者は、「関係権利者が移転に十分な準備をできる対応を行うことが望ましい」とあり、二十一年九月の期限が迫る中で原告が適切な移転先を見つけるための期間が必ずしも十分とは言えなかったのではないでしょうか。
 次に、第二審の判決の中で被告、本市は、建物の適当な移転先が見つからないのであれば、原告に対して仮営業所の設置補償ではなく営業休止補償をするので、本件土地区画整理事業に協力してほしいと述べた。原告は、被告、本市から受注して施工中の工事もあり、営業を休止するつもりはなかったので、営業休止補償を受けても営業を継続することはできるのかと質問したところ、被告、本市担当職員は可能であると答えたと述べられていますが、これは事実なのか見解をお示しください。
 答弁願います。

◎建設局長(水元修一君) お触れの件は相手方の主張であり、本市としては確認ができていないため否認しております。
 以上でございます。
   [たてやま清隆議員 登壇]

◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
 相手方の原告の主張だと言われますが、これは裁判所が認定した事実であり、極めて重要な意味を持つ事実認定であります。
 再質問します。
 当時、市担当職員は原告の質問に対して、営業を続けることは可能であると答えたのか、答えていないのか明確な見解を求めます。
 答弁願います。

◎建設局長(水元修一君) 先ほど御答弁申し上げたとおり、お触れの件については相手方の主張であり、本市としては確認できていないため否認しております。
 以上でございます。
   [たてやま清隆議員 登壇]

◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
 先ほどと全く同じ答弁ですが、本市は原告が営業休止補償を受けながら営業を続けていたので、補償費の支払いを中止した上に、原告が補償費を不当利得したと反訴しているわけであります。ところが実際は、原告の方は当時、市の工事を請け負っているので営業を休止できないので営業を続けることはできるのかとの質問に対して、市の担当職員は可能であると答えているわけです。また、このとき市の担当職員から、原告が移転先となる土地が見つからない具体的な理由を問いただすことは全くなかったということも裁判所は事実認定をしております。
 本市がこのような対応をしているのであれば、営業休止補償の契約を締結する際に本市に錯誤があったとする主張や原告に詐欺行為や不当利得があったとする本市の主張が認められないのは当然ではないでしょうか。このような事実を当局があらかじめ認識していたならば、裁判そのものが本来成立しなかったことになり、当局の対応に瑕疵があったと言わざるを得ません。
 次に、第一審と第二審の判決の中で、被告は平成二十三年十月分から原告に対して営業休止補償金を支払わなくなったが、営業休止補償が開始された平成二十一年九月から二年間の中で、原告は被告の請負工事を十二件受注し、そのうち五件は土地区画整理事業に関する工事であったことから、原告が営業を継続している事実を容易に知り得る状況にあったと指摘されていますが、なぜ把握できなかったのか見解をお示しください。
 答弁願います。

◎建設局長(水元修一君) 営業休止補償の契約が既に締結され、正当な補償を行っていると認識していたことによるものでございます。
 以上でございます。
   [たてやま清隆議員 登壇]

◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
 再質問します。
 営業休止補償が既に締結され、正当な補償を行っていると認識していたとのことですが、その認識は、原告が営業休止補償を締結した後も市の公共事業を請け負い、営業を継続している事実を把握した上で認識していたという意味ですか。
 答弁願います。

◎建設局長(水元修一君) 営業休止補償契約を締結した時点で正当な補償をしているという前提で、相手方が営業休止補償を受けながら市の工事を請け負っているものと認識しておりました。
 以上でございます。
   [たてやま清隆議員 登壇]

◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
 本市は、原告が市の公共工事を請け負い、営業を継続している事実を把握し、認識していたことになります。しかし、建設委員会の質疑の中でも営業休止補償をもらっているからといって営業してはいけないというものではないとの答弁からも明らかなように、契約後も原告が営業を継続していることは当局に周知されていたことになります。したがって、本市が補償契約を締結する際に原告が営業を休止するであろうと考え、営業休止補償を内容とする契約を締結したとの錯誤は成立しないことになるわけであります。
 次に、本市、被告は、二年間営業休止補償金を支払い続けた上、平成二十三年十月分から突如として一方的に事前協議もなく支払いをとめたのはなぜか。支払いを中止するに当たり、事前に被告が原告と協議しなかったのはなぜか。被告が原告に営業休止補償の支払いの中止の理由を通知したのは平成二十四年四月二十日であり、原告は、平成二十四年四月一日から営業の中止を余儀なくされ、四名の従業員を全員解雇し、同年八月には法人の事業休止届等が提出されています。一方的に支払いを中止せず、事前に協議することで裁判を回避することができたのではないか、見解をお示しください。
 答弁願います。

◎建設局長(水元修一君) お触れの件は、十月から十二月分の補償金を一月に支払うものでしたが、今後の対応について検討していたところ、二月一日付で相手方から補償金の支払いを求めるとの依頼文が送付されてきたものです。その後、面会や文書による協議を行いましたが、今回の訴訟に至ったものでございます。
 以上でございます。
   [たてやま清隆議員 登壇]

◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
 本市が補償金の支払いを中止する前になぜ原告と事前に協議しなかったのかの質問には触れられませんでしたが、原告から見れば、突如として一方的に事前協議もなく支払いをとめたことは事実ではないでしょうか。しかも市当局はそれまで三カ月ごとに補償金の支払いを決裁し、承認していたわけですから、それまでの責任を不問にしたまま支払いを中止し、原告と本市が締結した補償契約を市の判断で一方的に履行しなかったことは、公平・公正な行政機関がとるべき措置ではなかったということは厳しく指摘しておきたいと思います。市当局は、支払いを中止してから四カ月後に理由を説明していますが、原告に理解を求め、問題を解決できるという確信があったのでしょうか。そもそも市当局が補償金の支払いを一方的に中止したことによって信頼関係が損なわれ、協議と合意の道を閉ざしてしまったと言わざるを得ません。
 次に、第一審の判決の中で被告は、原告と営業休止補償の契約を締結した当時、基準及び細則の解釈として、事業用建物としての条件を満たす具体的な移転先が見つからなかった場合には、営業休止補償を行うべきとの解釈は誤りであったと述べていますが、見解をお示しください。
 答弁願います。

◎建設局長(水元修一君) お触れの件は、具体的な移転先が見つからないと相手方からの報告があった場合は、営業休止補償を行っていたものでございます。
 以上でございます。
   [たてやま清隆議員 登壇]

◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
 事業用建物としての条件を満たす具体的な移転先が見つからなかった場合には、営業休止補償を行うとした当時の市担当職員の基準細則の解釈に誤りがあったとのことですが、土地区画整理事業の損失補償基準細則では、仮営業所を設置する場所が存すると見込まれる場合に仮営業所設置補償費を算出することになっています。しかし、今回の事件の場合は、原告が所有する従前の建物と同等の条件により仮営業をすることができる場所が具体的に見込まれないと当時の市担当職員も判断したことから、営業休止補償の契約を結ぶことになったわけであり、基準細則に基づいて適正に行われたと私は思います。
 また、本市が問題視する原告の仮営業所も従前の建物と比較して基準及び構造の点において見劣りするものであり、原告が同じ規模の建物を設置するための土地として適当でないと判断したことが不合理とは言えないと判決で示されているように、基準細則に照らして仮営業所設置補償の算出の根拠にはならないとされています。仮に本市が契約の際に基準細則の解釈に誤りがあったとするならば、それは当局の責任であり、原告に負わせるべきではないことからも補償契約を無効とする市の主張は間違っていると言わざるを得ません。
 以上、五点にわたって今回の事件に関する当局の問題点を指摘してまいりました。
 そこで、質問の八点目、今回の事件の教訓と今後の課題について質問します。
 一点目、今回の事件発生の最大の要因は何かお示しください。
 二点目、今回の事件の教訓を踏まえて、土地区画整理事業の業務の見直しをどのように取り組まれたのかお示しください。
 三点目、再発防止のための方策についてお示しください。
 以上、それぞれ答弁願います。

◎建設局長(水元修一君) お触れの要因は、仮営業所を設置する場所が具体的に見込まれない場合において、仮営業所設置補償との経済比較を行うことなく営業休止補償を行っていたことでございます。
 土地区画整理事業の業務遂行に当たっては、本事案後、これまでの営業休止補償の点検を行い、関係課において問題点など情報共有するとともに再発防止の啓発を行うなど、適正な業務の執行に努めているところです。
 再発防止策についてですが、営業に係る移転対象者については、補償金の算定時に営業休止補償と仮営業所設置補償の費用の比較などを行うこととしたところです。
 以上でございます。
   [たてやま清隆議員 登壇]

◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
 再質問します。
 事件発生の最大の要因は、仮営業所設置補償との経済比較を行うことなく営業休止補償を行ったことと答弁されましたが、私はそのような実務上のレベルの問題ではないと思います。事件発生の最大の要因は、市が一方的に補償金の支払いをとめたことにより、今回のような裁判を引き起こす要因をつくり出した行政当局の当時の判断にあったと思いますが、答弁願います。

◎建設局長(水元修一君) 疑義が生じた後、本市としては過払いであると判断をしたことから、今後の対応について検討し、一月中での支払いを行わなかったところです。その後、相手方との面会や文書による協議を行いましたが、御理解をいただけず、今回の訴訟に至ったものと考えております。
 以上でございます。
   [たてやま清隆議員 登壇]

◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
 疑義が生じたならば、補償金の支払いを中止する前に、なぜ原告の方と一度協議しなかったのでしょうか。そもそも土地区画整理事業に伴う補償金は本市の独断で支払いを中止しても構わないのか疑問に思い、私は調査をいたしました。
 区画整理事業の諸課題の解決に取り組む公益社団法人街づくり区画整理協会が発行する区画整理二〇一二年十二月号の実務問答の中で、営業休止補償の契約締結後、施行者は、その補償金が実際にどう使われるかを追跡調査する必要があるのかの質問に対して、営業休止補償は、施行者が最も適切であると認められる条件を想定して算定する想定上の補償であります。契約に基づく補償金は渡しきりで、その補償金をどう使うかは権利者の自由です。一般に施行者が追跡調査することはありませんとの回答が示されていました。私は、この記事の内容を確認するために同協会に問い合わせをいたしました。同協会の方からは、補償金を活用して権利者の自己努力で営業を継続することは認められていること。ただし、相手側の詐欺などによって契約が結ばれている場合は問題である。しかし、契約が適正に行われているならば補償金は支払わなければなりませんとの助言をいただきました。
 市当局がこのような補償金の位置づけを十分に認識しておられたならば裁判にまで発展しなかったと私は思います。だからこそ、今回の事件発生の最大の要因は、市長を初めとした関係行政当局の間違った判断によるものと私は考えます。したがって、この質問の最後に市長に伺います。
 今回の裁判の結果について、市政の最高責任者としての見解をお示しください。
 答弁願います。
   [市長 森 博幸君 登壇]

◎市長(森博幸君) たてやま清隆議員にお答えいたします。
 今回の結果につきましては、市の主張が認められないものとなり、まことに遺憾であると思っております。今回の訴訟は、土地区画整理事業の営業休止補償にかかわるものですので、補償金算出に当たりましては、当事業に御協力をいただく方々に対して公平・公正な対応が図られるよう改めて担当部局に指示を行うとともに、適切な事務の執行について厳命したところでございます。
   [たてやま清隆議員 登壇]

◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
 市の主張が認められなかったことはまことに遺憾との答弁ですが、原告の市民の方への思いが感じられない答弁であります。原告の方は、本市と合意した営業休止補償契約に基づいて三カ月ごとに補償金が当然支払われるべきものと考えていたのに、事前協議もなく本市が一方的に支払いを中止してきたことにより、裁判による問題解決を図ることを選択されたわけであります。既に補償契約が成立している以上、営業休止補償金をどのように使うかは権利者の自由という原則に照らすならば、本市の主張には道理がないことになります。
 今後の再発防止の指示を関係部局に厳命されることも重要ですが、市長御自身の判断は適切であったのか、反省すべき点はなかったのか、今回の事件を教訓にして検証していただくよう要請して、私の個人質疑の全てを終わります。