◆(大園たつや議員) 日本共産党市議団を代表して、第一二九号議案 鹿児島市議会議員定数条例一部改正の件に反対する立場から討論を行います。
 本議案は、私ども日本共産党会派を除く七会派の代表者と無所属議員四名の十一名の議員提案によって本市議会の議員定数を現行の五十人から五人削減し、四十五人とするものであります。
 私どもとしては、本議案に対する個人質疑に臨み、議案提出者を代表して自民党新政会の川越桂路議員に議員定数削減の根拠や議会機能の保障に対する考え方について正面から議論させていただき、削減後の私どもの懸念を一定共有できたものの、削減か、現状維持かについては見解が分かれることとなりましたので、以下、反対する理由を申し上げます。
 一点目、今回、議員定数を五人削減の四十五人とする理由と根拠については、国立社会保障・人口問題研究所が予測した本市の将来推計人口が二〇四〇年に約五十二万人、二〇六〇年には約四十一万七千人と示されたことに加え、直近の国勢調査において本市が初めて人口減少に転じて六十万人を割り込み、二〇二〇年に六十万人を維持するとした鹿児島市まち・ひと・しごと創生人口ビジョンの予測を上回る減少傾向にあることから、今後の超高齢化による生産人口の減少による税収減や社会保障費の増大、地方交付税の落ち込みといった厳しい財政状況となることを踏まえ、数については撤廃前の法定上限数、総務省自治行政局の調査を根拠としたとのことでした。
 人口減少社会の到来という根拠について、私どもとしても将来の鹿児島市を考える上でシビアに見ていく必要があるということは理解できるところですが、現在、少子高齢化や地方の衰退を防ぎ、人口減少に歯どめをかけるべく地方創生事業に当局と議会が一丸となって取り組んでいるさなか、人口減少ありきの提案は、その施策自体を否定することにもつながることから、定数削減ではなく、現在の五十人が背負う市民の声と議員各位の取り組みによって歯どめをかけることこそ、今、本市議会に課せられた使命と考えます。
 また、今後の厳しい財政状況を根拠とされる場合に、私どもはこれまでも同じ五十人を定数とする船橋市並みの議員報酬、費用弁償、政務活動費にすれば本市の議員四・七人分の費用が削減できると、議会機能を損なうことなく本市財政に寄与する道を示してきました。本会議での質疑では見解が分かれたところでしたが、私どもとしては、民意や議会機能を削る議員定数削減よりも、まさに我が身を削る報酬等の削減こそ必要ということを強く申し上げます。
 二点目、これまで議員定数についての議論は、鹿児島市議会基本条例第十七条「議員定数の改正に当たっては、人口、面積、財政力、事業課題等を類似する他地方公共団体と比較検討し、議会が市民の意見を十分に反映できることを勘案するものとする」に基づいて行われてきました。直近では、平成二十七年二月にも二人削減の四十八人とすることが議員発議により提案され、個人質疑や委員会審査でその根拠や他都市との比較を徹底して論議した上で否決され、その後、市民から提出された同様の趣旨の陳情も否決されております。
 本会議の答弁でもあったとおり、前回の論議以降、定数を削減した自治体は五市あり、全国的な流れがあることは認識しますが、類似の中核市を比較した場合、人口、面積、財政力、事業課題等で本市に大きな変化は見られません。また、平成二十七年二月以前ではありますが、定数増をした都市が三市あるとともに、本市と同じ議員定数の船橋市は五十人を現状維持していることから、議会基本条例に基づく他の地方公共団体との比較検討した上で否決された二人削減の四十八人を上回る五人削減の四十五人は到底受け入れがたいと考えます。
 三点目、先ほど述べた議会基本条例第十七条の議会が市民の意見を十分に反映できることを勘案するものとするということや、これまでの議論の中で定数問題は議会の審議能力、住民意思の適正な反映を基本とすべきであり、議会機能の強化と一体として議論されるべきとの指摘があったように、議員を削減したから、当然、議会能力も落ちましたでは許されませんし、その場合に議会は何をしているかわからない、働かない議員はやめてほしいという市民感情はさらなる定数削減を求めかねません。
 本会議での質疑では、会派や議員独自の議会広報紙の発行、配布や議会報告会が減少すれば、市民の政治への関心や知る権利が後退するのではないか、執行機関や首長の権限が増大し、ますます二元代表制の一翼としての議会、議員の役割が重要になってきている今、監視機能を十分に確保することができないのではないかとの私どもの懸念に対して一定の認識を共有しながらも、議会の機能を落とさないための資質の向上が必要として、各会派、議員の努力に委ねる答弁でした。
 私どもとしても、定数問題の有無にかかわらず、日ごろから資質の向上に努めることが市民に負託を受けた議員に課せられた使命と考えておりますが、議会全体としての機能強化は、議会改革推進研究会でも出前議会などの具体化が道半ばであるとともに、削減後の議会機能の保障について議案提案に賛同された皆さんが協議し、あるべき姿について一致する見解を述べられなかったことは、提案理由説明で市民意見のさらなる反映を実現すると述べられる立場での責任ある対応とは言えないこと。
 四点目、私どもが五十人の現状維持を求める理由について、本会議の質疑でも一定、見解を述べさせていただきました。
 一つは、本市と同じ中核市で最大の五十人を議員定数とする船橋市との比較です。
 議会運営委員会での資料によりますと、平成二十九年度十二月一日現在で、人口六十三万二千三百三人、一般会計が約二千九十五億円、一般会計に議会費が占める割合が〇・四六%となっており、本市とほぼ同規模の中核市と考えられますが、市域面積は八十五・六二平方キロメートルと、本市の六分の一の面積になっており、本市で言うところの支所ごとに議員がおられる状態です。本市は平成十六年に一市五町の合併を経て広域になっており、各支所管内に議員がいるという状態はできにくいと思いますし、政令市のように選挙区をつくるわけにもいきません。だからこそ、多様な市民ニーズを適正に反映するには少なくとも現状の議員定数が必要であり、これ以上の議員の削減で本市議会の持つ多様性を失うわけにはいかないのであります。
 もう一つは、本市が中核市に移行した際、議員定数を四十八人から五十人にふやした時点から、人口、面積、財政規模、事業課題等を検証すべきと考えていることです。
 当時の人口規模は、直近の平成七年度国勢調査によれば五十四万六千二百八十二人、その後、一市五町の合併を経て市域面積は当時の約二倍、執行機関や首長の権限、財政規模、事業課題等について増大しているにもかかわらず、合併前に百三十二人おられた議員が五十五人に削減され、その後、五十人でとどまったものの、五町も含め全ての支所管内に議員がいるわけではなく、地域の声が届きにくくなっている現状があることはこれまでの議論の中でも御承知のとおりです。
 本市が人口減少局面に入り、いわゆる社人研の将来推計人口が二〇四〇年に約五十二万人と示されていることをシビアに見るとしても、本市が中核市に移行した人口約五十四万人当時の議論や検証の末、導き出された五十人の定数は、現在も二十年後も本市の議会機能を保つ最低限の人数だと考えます。
 以上の理由から、私どもとしても本市の将来を見据え、覚悟を持って五十人の現状維持を主張し、本議案について反対いたします。
 最後に、今議会は、市長から、明治維新百五十年の節目として、一般会計で初めて二千五百億円を超える過去最高規模の新年度予算が提案され、市民生活や地域経済に与える影響を審査することこそ議会の最優先の任務だったと考えています。一方で、議員定数の問題は、民主主義の根幹にかかわる重要な課題ではありますが、改選は二年後、新年度予算に影響もないことを踏まえ、今議会での提案はこれまでより多い定数削減への議会全体の覚悟や責任を問うには十分な時間を費やしたとは言えないのではないでしょうか。
 議員の皆様におかれましては、これまでの主張や市民との公約に立ち返って、おのおのの覚悟と向き合って決断されることを心からお願い申し上げ、日本共産党市議団を代表しての反対討論を終わります。(拍手)