◆(たてやま清隆議員) 日本共産党市議団を代表して、第三回定例会に提案された議案のうち、人件議案、決算議案を除く十二議案中、第二三号議案 鹿児島市養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例一部改正の件、第二五号議案 鹿児島市個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例一部改正の件、第二七号議案 鹿児島市地方活力向上地域における固定資産税の不均一課税に関する条例一部改正の件の三つの議案に反対する立場から討論を行います。
 第二三号議案 鹿児島市養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例一部改正の件につきましては、国の養護老人ホームの設備及び運営に関する基準の一部改正に基づいて、サテライト型養護老人ホームの本体施設として養護老人ホームを追加するとともに、同施設の主任生活相談員と養護老人ホームの看護職員の人員配置基準をそれぞれ常勤換算方法により緩和する条例改正ですが、反対の理由を申し上げます。
 一点目、条例の一部改正に至った背景として、国が平成二十八年の地方からの提案等に関する対応方針において要望があり、平成二十九年度中に所定の改正を行ったとのことですが、地方からの要望は、あくまでもサテライト型の本体施設に養護老人ホームを追加することでした。ところが、条例改正では、サテライト型の主任生活相談員の人員の配置基準を常勤換算方法によって緩和することが盛り込まれており、地方からの要望とは異なっていることであります。生活相談員は、養護老人ホームの入所者の処遇計画を作成し、計画に沿った支援が行われるために必要な調整を行う重要な役割を担う職種であります。中でも、主任生活相談員は、高齢者の入所に際しての調整と他の生活相談員に対する技術指導等の内容の管理を行うとされ、高い専門性が求められる職種であります。したがって、今回の人員の配置基準の緩和は、主任生活相談員の非正規化につながる懸念があり、ひいては、サテライト型養護老人ホームの質の低下につながる条例改正であること。
 二点目、サテライト型については、本市に現在は該当施設はないとのことですが、特定施設入居者生活介護等、つまり、介護保険を使って入居者に入浴や排せつ、食事等のサービスを提供する養護老人ホームの看護職員の配置基準の緩和の影響を受ける施設は市内で一施設が該当するようであります。その施設は定員七十人であり、常勤職員が一名配置されているとのことですが、条例改正による常勤換算方法によって非常勤二名に置きかえることが可能との答弁でした。これは、介護現場の人手不足を身分が不安定な低賃金の非正規雇用によって補おうとするものであり、問題であります。
 三点目、福祉には専門性や経験の蓄積、継続性が求められるため、正規職員の配置を中心にした雇用形態であるべきです。当局は、条例改正によって介護の質やサービスの低下につながらないよう努めるとのことでしたが、非正規、パートでも正規職員と変わらない内容の仕事であれば、身分と同等の賃金など労働条件を保障する介護報酬の抜本的な改善こそ必要であること。
 以上の理由から、第二三号議案には反対します。
 第二五号議案 鹿児島市個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例一部改正の件につきましては、生活保護制度に進学準備給付金が創設されたことから、生活保護法に準じて行う生活に困窮する外国人に対する生活保護の実施等に関する事務について、マイナンバー制度に基づき、庁内各課の情報連携を行うために独自利用の事務内容を条例に定め、法に定める利用範囲内で職員が市民の同意なく個人番号を利用できるようにするための条例改正ですが、反対する理由を申し上げます。
 一点目、入管法や戦後日本に来られた方など、いわゆる外国人で生活保護に準ずる制度を利用される方で、新設された進学準備給付金を申請された方は本年八月末で本市に六十九人おられますが、この方々の同意なく庁内連携が拡大されること。
 二点目、これまでも条例改正による独自利用の拡大が行われるごとに関係担当課での情報管理の徹底が必要と問題提起してまいりましたが、情報連携が進めば進むほど職員による利用範囲外の使用や業務目的以外の不正使用による情報漏えいのリスクも大きくなることから問題です。事実、本年六月、国の個人情報保護委員会が発表した平成二十九年度年次報告によれば、マイナンバーすなわち特定個人情報の漏えい等が三百七十四件報告されています。このうち重大な事態が五件含まれており、うち一件は地方公共団体が起こした重大な事態であります。平成二十八年度の年次報告ではマイナンバーの漏えい等の報告は百六十五件でしたので、明らかに増加をし、情報漏えいのリスクは拡大していることから、第二五号議案には反対です。
 第二七号議案 鹿児島市地方活力向上地域における固定資産税の不均一課税に関する条例一部改正の件については、本市の地方活力向上地域に東京二十三区から本社機能を移転した際の課税免除などの負担軽減を図るものですが、以下反対の理由を申し上げます。
 一点目、これまで指摘してきたとおり、誘致した企業の撤退などを防止するための措置やペナルティーが示されていない上、事業の廃止や撤退のときに解雇が容易な地域限定正社員の普及拡大を目指す政府の動きと連動していることが懸念されること。
 二点目、これまで本条例が施行されてから活用した実績はないとのことですが、大企業誘致を税制面で支援することよりも、本県の最低賃金が全国単独の最下位となった点を踏まえるならば、全国一律の最低賃金によって地域間格差を是正することや本市の中小企業とそこに働く人々の支援を強める施策の充実強化が急務の課題であり、最優先することが地方の再生と活性化につながること。
 以上の理由から、第二七号議案には反対します。
 以上、三つの議案に反対する理由を申し上げ、日本共産党市議団を代表する討論を終わります。(拍手)