◆(大園たつや議員) 日本共産党市議団を代表し、決算議案十五件のうち、第三四号議案 平成二十九年度鹿児島市一般会計歳入歳出決算、第三九号議案 平成二十九年度鹿児島市国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算、第四〇号議案 平成二十九年度鹿児島市介護保険特別会計歳入歳出決算、第四一号議案 平成二十九年度鹿児島市後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算、第四三号議案 平成二十九年度鹿児島市病院事業特別会計決算について議会の認定を求める件、第四四号議案 平成二十九年度鹿児島市交通事業特別会計決算について議会の認定を求める件、第四五号議案 平成二十九年度鹿児島市水道事業剰余金処分についての議会の議決及び平成二十九年度鹿児島市水道事業特別会計決算についての議会の認定を求める件、第四八号議案 平成二十九年度鹿児島市船舶事業特別会計決算について議会の認定を求める件の八つの議案の議決及び認定に反対する立場から討論を行います。
まず、第三四号議案 平成二十九年度鹿児島市一般会計歳入歳出決算につきましては、これまで私どもも求めてきた保育士支援や保育料の負担軽減などの子育て支援、ひとり暮らし高齢者等安心通報システム設置事業において生活保護世帯に固定電話の貸与が可能になる拡充など評価できる部分もありますが、決算を通じてこれまで問題点を指摘してきた事業が続けられていることや市民負担の増加及びサービスの低下につながった事業が含まれていることから、認めることができません。
以下、主な理由を申し上げます。
まず、これまでも問題点を指摘してきた事業が依然として続けられているという点で社会保障・税番号制度にかかわる款総務費、項総務管理費、目一般管理費、社会保障・税番号制度システム構築事業費、項戸籍住民基本台帳費、目戸籍住民基本台帳費、住民基本台帳ネットワークシステム運用経費、コンビニ交付による証明発行事業費、個人番号カード交付事業費、社会保障・税番号制度システム改修事業費については、一点目、同制度は税や社会保障の情報を個人番号にひもづけし、連携が進めば進むほど情報流出した場合の被害が甚大になる懸念があるとともに、セキュリティーを強化しても人為的な情報流出は防げないこと。
二点目、マイナンバーカードの普及は二十九年度一万四百六十六枚で、二十八年度と比べ三分の一以下になっている上、交付率は九・七%に過ぎず、受け取り拒否は二十九年度末で百七十八通と同制度への市民の不安や懸念を払拭できていないこと。
三点目、二十九年度はさらなる普及を図るため、女性活躍社会を名目に旧姓の併記などを可能としていますが、根本的には民法改正によって選択的夫婦別姓制度を確立することこそ求められていること。
次に、款教育費、項保健体育費、目体育施設費、新鴨池公園水泳プール整備・運営事業費につきましては、一点目、本市の指定管理の五年をはるかに超える運営を委託しているにもかかわらず、事業終了までその効果であるバリュー・フォー・マネーが実証できないこと。その検証もないままにバイオガス施設はさらに長い委託運営になること。
二点目、PFI事業は修繕費などを見込みで支出するものであり、二十九年度も一千五百七十三万九千六百二十九円を支出していますが、実際の修繕は一千三百五十六万八百七十一円となっており、差し引き二百十七万八千七百五十八円が繰り越しとなります。最終的に事業者のものとなるため、安上がりな修繕がなされる懸念があること。以上のような事業が依然として続けられていることは問題です。
次に、二十九年度決算における特徴的な事業等について、以下申し上げます。
二十九年度は人事院勧告に準じて、市長、副市長、議員、常勤の監査委員等の期末手当の引き上げが行われており、款議会費、目議会費の議員報酬・手当等では議員一人当たり四万一千円、款総務費、項総務管理費、目一般管理費では特別職である市長が六万九千円、副市長が五万六千円の増額となっています。
一点目、少子高齢化に伴う長期的な厳しい財政状況を見据えて議員定数削減や社会保障の削減などが提案されている中での期末手当の引き上げは、議員や市長に対して市民の厳しい目が向けられており、理解を得がたいこと。
二点目、人事院勧告に準じてとはいえ、自動的な引き上げは問題と指摘し、二十九年度は報酬等審議会が開催されていますが、期末手当は要件に当たらないとして結局自動的な引き上げとなったことから、認めることはできません。
次に、款衛生費、項清掃費、目清掃工場費、新南部清掃工場(ごみ焼却施設・バイオガス施設)整備・運営事業費、二億一千九百十六万二百七十二円について申し上げます。
一点目、同事業については、二十九年度、いよいよDBO方式で着工の運びとなりましたが、受注できる業者を当局は三者想定していたにもかかわらず、一者のみの選定となったことは、中核市で初めてとなるバイオガス施設の技術的な困難さを示していること。
二点目、一旦事業を受注してしまえば運営は同事業者の中からつくった会社が担うことになり、建設から運営まで競争による透明性の確保や他事業者の受注機会がなくなる仕組みであること。
三点目、本市で初めてのPFI事業である新鴨池公園水泳プールも他の指定管理者にない十五年という長期の指定になりますが、まだバリュー・フォー・マネーの検証ができていないうちから二十年という長期の運営委託を設定したことから、認めることができません。
次に、款民生費、項高齢者福祉費、目高齢者福祉総務費の高齢者福祉センター等管理運営施設整備事業費並びに款衛生費、項保健衛生費、目健康保健総務費の健康増進施設管理運営事業費については、平成二十八年度に浴室使用料等が有料または値上げとなっていることから、以下申し上げます。
一点目、高齢者福祉センターは、二十九年度、浴室使用料設定前の二十七年度と比較して、利用者全体で三六%、浴室利用で四五%と二十八年度よりもさらに減少しており、回復のめどが立たない状況は明らかに浴室使用料の新設が原因であること。
二点目、同センターの維持管理のための使用料新設とのことですが、利用者が減少すれば使用料収入も減少することになります。毎年一億円ずつ取り崩して同センターの維持管理費に充てる残高五十九億二千四百五十二万三千八百三十二円の基金も存在していることから、維持管理費のための浴室使用料の新設という理由は成り立たないこと。
三点目、二年連続の大幅な利用者の減少を踏まえると、高齢者の健康増進という同センターの設置目的を十分に果たすことは困難と考えることから、一刻も早くもとの無料に戻す必要があること。
次に、事業の廃止等により決算説明書に記述はありませんが、公共の責任と市民サービスの低下につながる点について、高齢者福祉の分野では本市の養護老人ホームいしき園の民営化推進事業が二十九年度から債務負担行為を設定し、民営化による定数削減と公共サービスの後退が懸念されます。また、鹿児島市民生安定資金貸付基金が廃止され、これまで生活に困った市民の福祉の増進に寄与してきた市民サービスが大きく後退することになります。むしろ市民が借りやすいような改善こそ必要だったことを指摘いたします。
加えて、全国の中核市の中でも充実した内容となっていた款民生費、項高齢者福祉費、目高齢者福祉総務費、敬老祝事業費については、敬老祝金や記念品の廃止で約五千三百八十万円、また、生活保護利用者に本市独自に支出していた法外扶助、夏季見舞金の廃止で約五千三百万円、合わせて約一億七百万円を削減されています。本市での高齢化率も年々高くなる一方で年金は減少し、社会保障費の負担が重くなっている。また、安倍政権のもとで生活保護費は史上空前と言われる基準額の削減が行われる中、酷暑に見舞われた昨今、夏季見舞金の廃止は命の危機に直結しかねません。このような高齢者や生活保護利用者の現状を踏まえ、二十九年度は、なぜ削減しなければならなかったのか改めて問われるところです。
その一方で、仮設の大河ドラマ館を新設する款商工費、項商工費、目観光費の大河ドラマ「西郷どん」プロジェクト推進事業負担金には一億三千九百万円の負担金を支出しており、以下理由を申し上げます。
一点目、大河ドラマ館の利用は、施設のできばえではなく、大河ドラマの反響による影響が大きいため、他都市では既存の施設への設置が主流であること。
二点目、当局が設置にこだわった加治屋町には維新ふるさと館もあり、これまでの鹿児島を題材とした大河ドラマの資料の一部も保管され、明治維新百五十年に向け改修事業も行われていたことから、期間限定の仮設よりも維新ふるさと館の活用をもっとしっかり検討すべきだったこと。
三点目、敬老祝金や法外扶助の廃止を踏まえれば、観光振興が市民生活を豊かにするという考え方に逆行していることから、認めることができません。
次に、款土木費、項港湾費、目港湾費の鹿児島港港湾整備事業費負担金中、人工島、いわゆるマリンポートかごしま関連事業負担金については、二十八年度、初めて負担金が計上されませんでしたが、二十九年度は大型クルーズ船への対応という新たな人工島問題とともに三千九百四十九万九千円を負担させられています。いつまで幾らかかるかわからない負担金を強いる県も問題ですが、見通しもないままに市も払い続けるという姿勢については問題であること。
次に、歳入一括の地方交付税について、以下申し上げます。
地方交付税は年々減少していますが、二十九年度も国が示すトップランナー方式によって決して少なくない減少の影響が含まれているにもかかわらず、国がその積算根拠を示さないことから影響額がわからないという状況です。国が示す業務委託を推進しているかどうかで地方交付税の増減が決まるトップランナー方式については廃止すべきであること。
以上のような事業が含まれていることから、本議案については認めることができません。
次に、第三九号議案 平成二十九年度鹿児島市国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算について、以下理由を申し上げます。
一点目、高額療養費制度の七十歳以上の住民税課税世帯を対象に負担上限額が引き上げられ、高齢者の負担が重くなったこと。
二点目、本市の国民健康保険事業の被保険者は所得のない世帯が四割近く、所得二百万円以下が九割近くを占めることからも、低所得者が多いことや高齢者が多いことから医療費が高いという構造上の課題があり、市民の税負担が大変重いものとなっています。これは都道府県単位化したからといって解消できるものではなく、国の抜本的な財政支援が必要なこと。
以上の理由から本議案については認めることができません。
次に、第四〇号議案 平成二十九年度鹿児島市介護保険特別会計歳入歳出決算について、以下理由を申し上げます。
一点目、現役世代の負担増となる総報酬割額の導入や高額介護サービス費の市民の負担の上限が二十九年八月から約三万七千円が約四万四千円に引き上げられ、その影響は八月ひと月分だけで九百六十六世帯、約五百九十万円と負担が重くなったこと。
二点目、介護予防・日常生活支援総合事業が二十九年度から実施されましたが、要支援の訪問介護と通所介護が保険給付から外れることになり、サービスの合算が上限を超えた場合に利用者の負担増となることやチェックリストについて不服審査請求ができないという課題があること。
以上のようなことから本議案については認めることはできません。
次に、第四一号議案 平成二十九年度鹿児島市後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算については、私どもとしては七十五歳以上の高齢者を年齢だけで線引きする新たな医療保険制度という世界で類を見ない同制度は廃止するべきという立場であり、以下理由を申し上げます。
所得の少ない方への保険料の軽減特例が縮小し、所得割五割軽減の方が二割に、被用者保険加入者の扶養家族から移った方が均等割で九割軽減が七割軽減となることから、厚生労働省から示された世帯のモデルケースで一万五百円もしくは二万八百円の負担増、全体では推計で五千三百九十万円の大幅な負担増となること。
以上の理由から、本議案については認めることができません。
次に、第四三号議案 平成二十九年度鹿児島市病院事業特別会計決算について議会の認定を求める件、第四四号議案 平成二十九年度鹿児島市交通事業特別会計決算について議会の認定を求める件、第四五号議案 平成二十九年度鹿児島市水道事業剰余金処分についての議会の議決及び平成二十九年度鹿児島市水道事業特別会計決算についての議会の認定を求める件、第四八号議案 平成二十九年度鹿児島市船舶事業特別会計決算について議会の認定を求める件、以上の各公営企業の決算議案については、冒頭に申し上げた人事院勧告に準じた公営企業管理者の期末手当の引き上げが行われており、議決及び認定に反対です。
加えて、交通事業特別会計決算については、一点目、三十年一月一日施行で市電の定期料金の改定が行われており、これまでの通勤・通学定期乗車券と全線定期乗車券を廃止し、通学定期券を月額四千八百円から五千百円に、通勤定期券を六千七百二十円から七千百四十円に、利用日限定通勤定期券を五千二百八十円から五千六百十円にそれぞれ値上げしました。産業観光企業委員会での決算審査で提出された資料によりますと、二十九年度である三十年一月から三月で全線定期廃止分の減収額の試算が百六十三万五千円、改定に伴う増収が三百九十五万円となり、差し引き二百三十一万五千円の増となったようですが、全線利用の導入で市民の利便性を向上させる目的であれば値上げの必要はなかったこと。
二点目、これまで党市議団が問題点を指摘してきた管理の受委託が二十九年度から新たに五年間の契約を更新したことから、認めることはできません。
以上、平成二十九年度の決算議案十五件のうち、八つの議案の議決及び認定に反対する理由を申し述べ、日本共産党市議団を代表しての討論を終わります。(拍手)
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