◆(園山えり議員) 日本共産党市議団を代表して質疑を行います。
さきの代表質疑で明らかになった点は割愛することをあらかじめ申し上げておきます。
最初の質問は、消費税率一〇%への増税の影響について、本市の平成三十一年度予算や市民生活、地域経済への影響を明らかにする立場から、以下伺ってまいります。
二月二十日に市長から提案説明のありました平成三十一年度予算については一般会計で二千六百億円を超え、過去最高を更新する積極予算とのことですが、十月から実施されようとしている消費税率一〇%への増税の影響が反映しているものと考えます。
そこで、公営企業、特別会計を含む平成三十一年度予算への影響について、質問の一点目、歳入への、質問の二点目、歳出へのそれぞれの影響額と特徴をお示しください。
質問の三点目、地方消費税交付金はどれほどの増額が見込まれるものか。それは三十一年度中に反映されるものか、その取り扱いについてお示しください。
次に、消費税の税率が五%から八%に引き上げられてから消費は落ち込み、深刻な消費不況が続いています。総務省の二人以上世帯の実質家計消費支出では、増税前の平成二十五年の平均三百六十三万六千円に比べ、三十年は三百三十八万七千円と年額で二十五万円も減少しています。また、政府の発表でも家計消費は五年連続マイナスです。安倍首相は、賃金や所得が改善していると主張していますが、実質賃金は増税前と比べて平成三十年には十万円以上も落ち込んでおり、実質の賃上げ率は今世紀で最悪水準であることも明らかになっています。増税の根拠は崩れ去っているのではないでしょうか。
そこで、市民生活や地域経済への影響について伺います。
質問の一点目、消費税率八%への増税以降、市民生活や地域経済の状況についてどのような認識を持っておられるのか。また、直近の本市の経済情勢をお示しください。
質問の二点目、さらに消費税率を二%引き上げた場合、どのような影響が懸念されるのか認識をお示しください。
次に、国が増税対策の目玉とするキャッシュレスでの支払いをした場合のポイント還元や食料品を八%に据え置く複数税率と組み合わせると、何をどこでどうやって買うかによって実質的な税率が一〇、八、六、五、三%と五段階にもなり、市民に混乱や不公平をもたらすと批判が上がっています。
そこで、日本経済に与える影響を懸念してポイント還元やプレミアム付商品券などの大盤振る舞いの還元策、軽減策を講じるくらいならば、消費税の増税は中止を求めるべきと考えますが、市長の見解をお示しください。
新しい質問に入ります。
本市の防災対策について、まず、二月九日に行われた原子力防災訓練と原発への今日的な認識について伺います。
東日本大震災、福島原発事故から三月十一日で八年がたとうとしています。避難生活が日常となり、生活となりわいが再建できない方々がいまだ多数残されています。安倍政権はエネルギー基本計画で重要なベースロード電源と位置づけ、将来にわたり原発にしがみつこうという姿勢です。
このような中、九州電力は玄海原発の一号機に続き、二号機の廃炉を二月に決定いたしました。安全対策への費用負担が要因のようですが、新規制基準のもとで事故対策に膨大な費用がかかること、一たび事故が起きれば廃炉費用や賠償金も莫大な費用がかかることからも原発は安価なコストであるという主張はもはや成り立ちません。コストも高く危険な原発は一刻も早く廃炉にするべきではないでしょうか。
本年二月九日、大規模地震で川内原発の苛酷事故を想定した訓練が行われました。避難計画が机上の空論にならないためには、住民の原子力災害に対する防災意識と避難訓練の実効性を高めなければと思います。私も実際に訓練を視察いたしましたので、課題や改善点の早急な対策を求める立場で以下伺ってまいります。
質問の一点目、本市が初めて行った訓練内容とその目的、避難訓練に参加された住民の声はどのようなものであったかお示しください。
次に、郡山総合運動場でのスクリーニングの訓練については私も会場となる駐車場がわからず迷ってしまいましたが、間違って別の駐車場に入った住民の方もおられました。避難される方が円滑にスクリーニングを受けられるよう対策が必要だと思いました。
そこで、質問の二点目、郡山総合運動場でのスクリーニングの訓練についての課題と今後の対策をお示しください。
質問の三点目、薩摩川内市からの避難者の受け入れ体制について伺います。
まず、薩摩川内市の自治会数と本市に避難する自治会数、人数をお示しください。
次に、薩摩川内市から本市に受け入れる避難所についてはどのように設定されておられるのか考え方をお示しください。
次に、薩摩川内市の自治会長や本市で避難所開設に当たる班長、受け入れ先の地域福祉館長には周知されているものかお示しください。
次に、今回の訓練の避難先となった真砂福祉館にはエレベーターがなく、高齢者や障害者の方は二階にある和室や調理室に上がることができません。本市の避難所に指定されていることからも早急なバリアフリー化を求めるものです。
そこで、福祉館のバリアフリー化についての課題と今後の対策をお示しください。
質問の四点目、今回の訓練での教訓と今後、避難訓練を充実させるための三十一年度の取り組みをお示しください。
質問の五点目、昨年の三月に野党は共同で国会史上初めてとなる原発ゼロ基本法案を提出いたしました。原発再稼働は今後認めず廃炉に進むこと、再生可能エネルギーの普及を早急に進めることなどを提案し、一日も早い審議入りを求めているところです。原発ゼロこそ一番の防災対策ではないかと考えますが、立憲民主党、社民党、自由党、私ども日本共産党の野党が共同提出した原発ゼロ基本法案への見解をお示しください。
次に、昨年七月、西日本豪雨災害が起きた際、本市も豪雨の影響で新川流域の住民に避難勧告が出されましたが、わが家の安心安全ガイドブックに示されている避難所が開設されておらず、住民がどこの避難所に避難すればよいのかわからないという事態が発生しました。住民の方々が災害種別ごとの避難の可否を事前に認識できるようわかりやすい避難所への改善を求める立場で以下伺います。
まず、災害種別ごとの看板設置が始まったようですが、進捗状況と期待される効果をお示しください。
次の避難行動理解促進事業については、代表質疑で一定理解いたしましたので割愛いたします。
次に、桜島地域避難施設整備事業について伺います。
まず、その内容、目的、設置箇所をお示しください。
次に、今後、事業を検証し全市的に広げていくべきではないかと考えますが、当局の見解をお示しください。
新しい質問に入ります。
性的少数者(LGBT)の方々への支援について伺います。
同性婚が認められないのは人権侵害、結婚の自由を全てのカップルにと、同性同士のカップルの方々が二月十四日、全国で相次いで提訴しました。同性婚が認められないのは婚姻の自由や法のもとの平等を保障した憲法に違反すると訴えておられます。このように当事者の方々が少しずつ声を上げられるようになり、LGBTへの理解も進みつつはありますが、いまだ根深い偏見や差別は深刻です。当事者の権利を実現し、多様な性を認め合う豊かな社会の実現を願う立場から、質問をいたします。
初めに、公文書の性別記載欄の削除について伺います。
私は、平成三十年第一回定例会におきまして、これまでの市議会での議論も踏まえ、性別記載欄の削除による影響や効果についての認識について質疑を交わし、全庁的な調査の上で男女を記さなくても影響のないものは一刻も早く削除していただくよう要請し、当局からは、見直しの検討を行いながら適切な対応が図られるよう努めてまいりたいとの答弁をいただいておりました。森市長におかれましては、去る一月三十日の定例記者会見で公文書の性別記載欄の削除の取り組みを発表されました。その日のニュースでも取り上げられましたので、私もテレビにくぎづけになりながら当事者の皆さんと喜びを分かち合いました。この取り組みを心から歓迎するものです。
そこで、質問の一点目、取り組みに至った経緯。
質問の二点目、見直しの対象となるのはどのような公文書か。また、削除が想定される件数。
質問の三点目、運用はいつから始まるものか。今後のスケジュール。
質問の四点目、性別記載欄の削除による効果の認識をお示しください。
次に、本市の取り組みを多くの市民の皆さんに知らせていくことでより理解が深まるのではないかと考えます。
そこで、このパネルをごらんください。
これは、指宿市の広報紙「いぶすき」の表紙です。これは昨年の十二月号ですが、LGBTに連帯する六色のレインボーフラッグが全面に印刷をされており、LGBTの特集であるということがわかります。内容は、LGBTに加え、このクエスチョニングという性や好きになる性が未確定の人などを指すQも加えたLGBTQの説明や当事者のインタビュー、また、職場や学校などでの対応が六ページにわたり丁寧に書かれています。特集の中で女性の同性愛者のレズビアンの方が「皆さんの近くにも当事者はいます。「存在しない」と思われている世の中で生きることは、なかなか厳しいものがあります」と答えておられますが、このような実態を知ることこそが理解を深めることにつながると思います。市民への啓発は急がれます。
そこで伺います。
今回の性別記載欄の削除を契機に本市でも広報紙「市民のひろば」等でLGBT特集を組み市民への啓発につなげてはどうでしょうか。見解をお示しください。
最後に、当事者に寄り添った支援の充実と三十一年度の具体的な取り組みについて市長の見解をお示しください。
以上、一回目の質問とします。
答弁願います。
[市長 森 博幸君 登壇]
◎市長(森博幸君) 園山えり議員にお答えいたします。
消費税率の引き上げは、少子高齢化等の近年の社会経済情勢の大きな変化を踏まえ、社会保障改革やその財源の安定的確保、財政健全化を同時に達成することを目指す観点から行われるものでございます。私といたしましては、法の規定に基づき適切に対応することで社会保障の充実や持続可能な地方財政の運営の実現につなげていくことが肝要であると考えており、今後も国の動向を注視してまいります。
性的少数者の方々への支援についてでございますが、私は、性的少数者の方々が日常生活のさまざまな場面においても安心して暮らせるよう理解促進や相談・支援等の取り組みを推進し、全ての人の人権が尊重される社会の実現のために引き続き啓発に努めてまいりたいと考えております。
◎総務局長(内山薫君) お答えいたします。
三十一年十月の消費税率引き上げに伴う地方消費税交付金につきましては、三十二年度予算に反映され、社会保障施策に要する経費に充てられることとなります。
以上でございます。
◎企画財政局長(鉾之原誠君) お答えいたします。
消費税率引き上げに伴う一般会計への影響額につきましては、歳出で八億六千五百万円を見込んでおり、工事に係るものや委託料などでございます。
以上でございます。
◎危機管理局長(星野泰啓君) お答えいたします。
今回の訓練では、郡山総合運動場内に避難退域時検査場所を設置しスクリーニングを実施した上で、避難所に向かう訓練を初めて実施したところでございます。訓練後のアンケートによりますと、「避難はスムーズにできた」、「避難できると感じた」と答えた方がそれぞれ九割を超えている一方、「実際にはパニックになるかもしれず不安」、「もっと多くの人に参加してほしい」と答えた方もおられたところでございます。
郡山総合運動場でのスクリーニングにおける課題等につきましては、検査場所を同運動場内の奥の駐車場に設置をしたため「場所がわかりにくい」などの意見がありましたことから、今後、看板や誘導等の配置を検討してまいります。
次に、薩摩川内市によりますと、平成三十一年一月一日現在、自治会数は六百三団体で、本市に避難する予定の自治会は二百八十団体、四万四千九百五十八人とのことでございます。
薩摩川内市からの住民避難については、同市の地域防災計画に基づくもので、事前に本市と協議し、利便性や道路事情等を考慮して設定しており、避難先については全市民に周知をしているとのことでございます。
また、本市の受け入れ施設につきましては、平成二十六年六月に各施設所管課へ文書で通知をしたほか、避難所班長説明会、福祉館長説明会において関係者への周知を図ったところでございます。
今回の訓練により、本市としては関係機関との連携や住民避難の流れなどを確認することができたものと考えております。三十一年度においても住民の方々はもとより、関係機関と緊密に連携しながら訓練を継続し、避難計画の実効性をさらに高めてまいりたいと考えております。
次に、原発ゼロ基本法案についてでございますが、エネルギー政策につきましては、国の責任において判断、実施されるべきものであると考えております。
次に、災害種別ごとの看板設置につきましては、三月二十日までに完了する予定でございます。期待される効果としましては、災害種別ごとの避難の可否を直接確認でき、それぞれの地域における指定避難所の周知につながるものと考えております。
桜島地域避難施設整備事業については、島内の避難体制を強化するため、現在地や島外までの距離等を表示した案内板を国道や県道沿いに五十カ所程度設置をするほか、退避舎等への誘導看板についてその効果を検証するため、七カ所程度モデル的に設置をすることとしております。
また、桜島島内については、三十一年度に誘導看板等を設置しその効果を検証することとしており、桜島以外の地域については、設置の必要性も含め、今後検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎市民局長(白石貴雄君) お答えいたします。
国民健康保険事業特別会計における消費税引き上げに伴う影響額につきましては、歳出で約四百五十三万円を見込んでおり、その主なものは委託料でございます。
次に、公文書の性別記載欄の見直しについてでございますが、性的少数者の方々への理解や配慮を求める動きが広がっていることから見直すもので、性別記載欄のある申請書や市民に交付する文書などを対象に約二百件の見直しを見込んでおります。
その効果につきましては、平等な社会の実現や市民サービスの向上に役立つものと考えており、本年四月一日の運用開始を目途にしているところでございます。
なお、市民へのお触れになったような啓発につきましては、他都市の状況なども研究してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎環境局長(古江朋子君) お答えいたします。
消費税率引き上げに伴う地域下水道事業特別会計への影響額につきましては、歳入では約三十万円を見込んでおり、下水道使用料の改定に伴うものでございます。歳出は約五十万円を見込んでおり、事業用薬品などでございます。
以上でございます。
◎健康福祉局長(上之園彰君) お答えいたします。
介護保険特別会計、後期高齢者医療特別会計、母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計における消費税率引き上げに伴う歳出への影響額を順に申し上げますと、六百八十七万一千円、百八十七万五千円、二千円を見込んでおり、委託料などでございます。
次に、地域福祉館のバリアフリー化につきましては、玄関、廊下への手すりやスロープの設置、トイレの洋式化などにより対応しているところでございますが、エレベーターにつきましては、現在、三館に設置しているものの、その他の館については建物の構造やスペースの面で設置が難しいことから、建てかえや大規模改修時にその必要性について検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎産業局長(山下正昭君) お答えいたします。
消費税率引き上げに伴う中央卸売市場特別会計への影響額につきましては、歳入では施設使用料や卸売業者市場使用料など約二百五十七万円を、歳出では魚類市場再整備事業の工事請負費など約二千万円を見込んでおります。
平成二十六年四月、消費税率引き上げ以降の日本銀行鹿児島支店の金融経済概況では、県内の景気は緩やかな回復を続け、個人消費も底がたく推移していることとされており、本市も同様の情勢であろうと認識しております。
消費税率引き上げの影響につきましては、国において家計への負担を軽減するための軽減税率の導入や低所得者・子育て世帯向けプレミアム付商品券発行といった対策に加え、中小・小規模事業者でのポイント還元など、需要変動を平準化する支援策を講じることとされていることから、景気の回復基調が持続されるものと考えております。
以上でございます。
◎観光交流局長(山口順一君) お答えいたします。
消費税率引き上げに伴う桜島観光施設特別会計への影響額につきましては、歳入では桜島ユースホステルの宿泊料や桜島温泉給湯施設の使用料など約二十二万円を、歳出では桜島温泉給湯施設の工事請負費など約三百八十四万円を見込んでおります。
以上でございます。
◎交通局長(鞍掛貞之君) 交通局における消費税率引き上げに伴う影響額につきましては、収入では広告料など約百四十万円、支出では委託料など約二千九百万円でございます。
以上でございます。
◎水道局長(秋野博臣君) 水道局における影響額は、収入では水道料金や下水道使用料など約一億一千百万円、支出では工事請負費や委託料など約一億七千七百万円を見込んでおります。
以上でございます。
◎船舶局長(南勝之君) 船舶局における影響額は、収入では運賃など約一千八百万円、支出では工事請負費など約二千三百万円を見込んでおります。
以上でございます。
◎病院事務局長(有村隆生君) 市立病院における影響額につきましては、収入面は特別室差額使用料や受託収益など約三百万円、支出は薬品購入費用など約一億円を見込んでおります。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 消費税率一〇%への増税の影響についてそれぞれ答弁いただきました。
消費税は子供からお年寄りまで全ての人にかかる最も不公平な税制であり、私どもは消費税そのものに反対の立場ではありますが、経済界や内閣参与ですら、今、増税したら大変なことになるという声が上がっています。また、本市でも増税による大きな影響が出ており、歳入については十月からの半年で水道料金や市立病院の差額ベッド代、フェリーの運賃など、およそ一億三千六百万円が市民の負担増として見込まれることがわかりました。地方に負担を押しつける消費税増税は今すぐ中止するよう国に求めるべきと要請をいたします。
防災対策について答弁いただきました。
今回の訓練を通じて、郡山総合運動場のスクリーニング場所の看板や誘導等の配置を検討していかれるとのことですので、早急な対応を要請いたします。
また、薩摩川内市からは二百八十団体、約四万五千人の方々を受け入れるようです。本市の受け入れ施設については平成二十六年に通知しておられるとのことですが、館長さんが途中でかわることもあると思いますので、班長も含めその都度、緊急時の対応を知らせることや避難訓練等にも参加していただくなど万全を期していただくよう要請いたします。
また、避難所のバリアフリー化についても改めて要請いたします。
自然災害は人間の手でとめることはできませんが、原発をなくすことはできます。そうなれば原子力災害に備える避難計画も訓練も必要のない対策であり、原発ゼロこそ一番の防災になることを申し上げておきます。
災害種別ごとの看板設置については三月に設置が完了するようです。私もわかりやすい避難所への改善を求めてまいりましたので、防災リーフレットの作成やわが家の安心安全ガイドブックの改善とあわせ前進と評価いたします。また、桜島での誘導看板の効果を今後検証されるとのことですが、誘導看板があれば速やかに避難できる一助となるのではないでしょうか。検討を要請いたします。
性的少数者の取り組みについて答弁いただきました。およそ二百件の公文書の削除が見込まれることがわかりました。四月一日から開始されるようですので注視してまいります。
私は、今月二十四日にはーと・ぱーく(精神保健福祉交流センター)で行われました当事者グループの交流会に参加させていただきました。鹿児島で行うのは初めての試みということでしたが、本市にお住まいの方々もたくさん参加しておられました。性別記載欄の削除について伺うと、現在、ホルモン治療をしておられる性同一性障害の方は、「少しずつ自分らしく生きられるようになってきている過程で性別を尋ねられることは、本当の自分がばれてしまうのではないかと不安な気持ちになる」と話しておられました。本市の取り組みは当事者の方にとって大きな安心感につながると思います。市長は引き続き啓発に努めていかれるということですが、市民のひろばは絶好の啓発ツールではないでしょうか。検討していただくよう要請いたします。
また、他都市においては性別記載欄の削除が実現したにもかかわらず、その後必要のない性別記載欄のある公文書が五十六件も作成されていたという事例が報道されていました。今後作成される公文書にも今回の対応が生かされるよう強く要請いたします。
新しい質問に入ります。
新たな住宅セーフティネット制度について伺います。
高齢者や障害者、若者を初め、低所得者の方々などが住宅を借りたくても借りられない、住まいの貧困が深刻です。札幌市では昨年、防火設備が脆弱な共同住宅に住まざるを得ない高齢者らが火災に巻き込まれ十一人が亡くなるなど、痛ましい事故が後を絶ちません。ネットカフェを転々とするネットカフェ難民と呼ばれる若者もいるなど、不安定雇用と低賃金に苦しむ若い世代の住まいの貧困も深刻です。住宅確保要配慮者と呼ばれる人たちの住まいの確保は差し迫った課題であり、入居を拒まない住宅セーフティネット制度の推進を求める立場で以下伺ってまいります。
まず、第一一九号議案 鹿児島市手数料条例一部改正の件について、質問の一点目、条例改正の内容。
質問の二点目、改正に至った経緯と見込まれる効果をお示しください。
次に、国が定める全体の目標と年間目標、また、国の目標から換算される本市の目標戸数と現在の登録実績をそれぞれお示しください。
次に、本市の空き家等対策計画においては、新たな住宅セーフティネット制度を空き家対策にも位置づけ、入居を拒まない賃貸住宅の情報提供を行っておられますが、空き家対策につながった事例をお示しください。
次に、二月二十四日付の地元紙一面にも「「拒まない」住まい低調」という見出しで対策のおくれを指摘する報道がなされています。
そこで、なぜ登録が進まないのか課題認識をお示しください。
最後に、登録をふやすための三十一年度の取り組みをお示しください。
新しい質問に入ります。
新規就農者支援や担い手育成について伺います。
ことしは国連が呼びかけた家族農業の十年の始まりの年です。昨年末の国連総会では、家族経営などの小規模農家の十分な生活水準を保つことや共同組合の権利などの保護を促す農民の権利宣言が百二十一カ国の賛成多数で可決されましたが、この決議案採決について日本は棄権しています。日本は世界の流れに背を向け農業と家族経営の切り捨てを進めています。それを象徴するように、ことし一月四日付の日本農業新聞のJA組合長アンケートでは、安倍内閣の政策決定についてどう思うかの問いに対して、「生産現場の実態と乖離しており、農家の声を十分に反映していない」との回答が九三%にも上りました。今こそ本市は国の農政からの防波堤の役割を果たすときではないでしょうか。取り組みの充実を求める立場で以下伺ってまいります。
まず、農業次世代人材投資事業については、これまで四十五歳未満という新規就農者の年齢要件だったため、本市では二十九年度にお二人の方がこの制度を利用できなかったことから、私は、新規就農者の年齢制限の引き上げと本市独自の支援策を要請してまいりました。
そこで、質問の一点目、要件緩和の内容と見込まれる効果。
質問の二点目、新規就農者の支援につながる今後の取り組みをお示しください。
次に、新設された収入保険制度について伺います。
質問の一点目、制度の概要と目的、周知方法。
質問の二点目、対象者はどのような農家か。また、本市の加入状況と課題をお示しください。
質問の三点目、対象を限定せずに加入できるように国に求めるべきと考えますが、見解をお示しください。
次に、農業を取り巻く厳しい環境への認識と将来の農業を担う後継者確保に向けた今後の取り組みをお示しください。
新しい質問に入ります。
田上小学校周辺については、私も事あるごとに議会で質疑を交わしておりますが、浸水被害や狭隘な道路事情から生活環境の改善を図る土地区画整理事業が求められていることから、まちづくりについて、以下伺います。
初めに、田上小学校周辺における土地区画整理事業について、質問の一点目、第五次総合計画後期基本計画におけるこれまでの取り組み。
質問の二点目、次期総合計画への位置づけと見通しをお示しください。
次に、新川の河川改修事業の進捗状況と課題をお示しください。
次に、田上小学校周辺は新川からの浸水被害が深刻な上、側溝が整備されていない里道が残されており、雨が降ると滑りやすく危険な上、悪臭が発生するなどして住民の皆さんは一刻も早い改善を望んでおられました。
そこで、側溝整備等の法定外公共物等整備の進捗状況をお示しください。
以上、二回目の質問といたします。
答弁願います。
◎産業局長(山下正昭君) まず、農業次世代人材投資事業につきましては、平成三十一年度から対象者の年齢が四十五歳未満から五十歳未満に引き上げられることとなっており、新規就農者のさらなる確保につながるものと考えております。
今回の要件の変更により事業の対象者が拡大されることから、これまで対象とならなかった五十歳未満の方への推進を図るとともに、さらに多くの方が積極的に活用し、新規に就農できるよう、就農相談を通じた制度の周知などに関係機関と連携して努めてまいります。
次に、本年一月から始まった収入保険は農作物の販売収入全体を対象とし、自然災害や価格低下などによる収入減少分を補填する国の制度で、農業経営の安定を図ることを目的としております。本制度の周知については、窓口である農業共済組合による農家訪問のほか、本市といたしましても各種研修会等を通じて周知に努めているところでございます。
対象者は青色申告を行っている農業者で、本市では十四名の方が加入しております。制度の仕組みや内容等のさらなる周知を図ることが課題であると考えております。
保険制度は過去五年の平均収入を基準とすることから、青色申告を行い、農業経営を適切に行っている農業者を対象としております。この制度は始まったばかりであり、引き続き制度の周知や青色申告の推進などに努めるとともに加入状況について注視してまいりたいと考えております。
本市の農業を取り巻く環境は農家戸数の減少や担い手の不足など厳しい状況にございますが、今後とも新たに農業に取り組む方が参入しやすいよう就農相談体制や農業技術研修の充実、経営開始時の農地の確保や施設整備に対する支援のほか、今回、要件が緩和される農業次世代人材投資事業や収入保険制度を有効に活用することにより、本市の将来の農業を担う後継者の確保・育成や安定した農業経営が持続できるよう努めてまいります。
以上でございます。
◎建設局長(坂元浩君) お答えいたします。
住宅セーフティネット制度に係る手数料条例改正の内容は、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律に基づく登録住宅の申請手数料を廃止するものでございます。
このことは同法施行規則の一部改正により登録申請者の記載事項などが簡素化され、登録事務が大幅に軽減されたことによるもので、今後の住宅登録の促進につながるものと考えております。
国の登録目標は、平成三十二年度末までに全体で十七万五千戸、年間では五万戸で、三十一年二月二十日現在の全国の登録戸数はおよそ七千八百戸となっております。また、本市では目標は定めておりませんが、国の年間目標戸数を本市の世帯数で換算すると、およそ二百五十戸となり、三十一年二月二十日現在の登録戸数は十戸でございます。
なお、空き家等対策計画による相談を通じて、セーフティーネット住宅として登録された事例はございません。
課題としては、登録申請者の事務負担が大きく、申請手数料が徴収されていたことに加え、要配慮者受け入れ後の大家の不安などが考えられます。
三十一年度は申請手数料の廃止を含めた同制度の周知を図る予定としており、あわせて県居住支援協議会と連携を図ってまいりたいと考えております。
次に、田上小学校周辺における土地区画整理事業については、第五次総合計画において、「田上小学校周辺においては、生活環境の改善に向けて、土地区画整理事業の検討を進めます」と位置づけており、これまで課題の把握に努めるとともに、県と協議を行っております。
今後においても現在、計画中を含む六地区の進捗状況や残事業量などを勘案するとともに、新川の河川改修などとの整合を図る必要があることから、引き続き検討してまいりたいと考えております。
新川の河川改修については、県によると、現在、JR田上橋のかけかえに向けて天神公園西側の建物移転や軌道敷内架線の移設工事などを進めており、今後、引き続き地元住民の理解を得ながら橋梁本体や周辺工事を行う予定であるとのことでございます。
また、お触れの側溝整備については、平成三十一年二月に工事が完了したところでございます。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 新たな住宅セーフティネット制度について答弁いただきました。
三十二年度末までの国の全体目標は十七万五千戸、年間目標は五万戸で、本市は国の目標から試算すると二百五十戸とのことですが、現在の登録実績はわずか十戸で、登録が進んでいません。住宅の登録料は一件につき戸数に応じて六千円以上に上り、賃貸人にとって大きな負担だったと考えますが、今回の手数料廃止で、これまでためらっていた方の住宅登録の促進につながると見込んでおられるようです。不動産関係の方に伺いますと、登録が進まない理由に制度の周知そのものが不十分であることに加え、要配慮者に対しての大家さんや不動産業者の理解も必要なのではないかという御指摘もありましたので、制度そのものの理解促進のためにも積極的な取り組みを要請いたします。
空き家対策につながった事例はないとのことですが、本市の空き家等対策計画に位置づけられていることから、各課が連携して情報を共有化し、空き家の活用促進に当たることもあわせて要請いたします。
新規就農者支援や担い手育成について答弁いただきました。
農業次世代人材投資事業では、新規就農者の対象年齢を四十五歳未満から五十歳未満まで引き上げたことがわかりました。これまで年齢要件で制度利用を諦めた方も含めて、一人でも多くの方に声をかけていただきたいと思います。また、国は三十一年度から同事業の中間評価を実施し、評価によっては交付を打ち切る仕組みを開始するようですが、新規就農者の意欲を後押しし、継続できるよう支援を要請いたします。
収入保険制度については、青色申告者のみ対象となっているようですが、これではある一定規模の農家しか対象となりません。加入状況は現在十四人とのことで、始まったばかりとはいえ少ないのではないでしょうか。今後、法人などの農家にも周知徹底を図ると同時に、申告の仕方で対象者を絞るのではなく、対象を限定せずに加入できるよう国に求めていただきますよう要請いたします。
田上小学校周辺のまちづくりについて答弁いただきました。
県が行う新川の河川改修事業については、JR田上橋のかけかえ工事に向けて建物移転なども進められており、引き続き橋梁本体や周辺工事を行う予定とのことです。周辺住民の方々は法定外公共物等整備の申請後、予算の関係で相当な順番待ちだったようですが、昨年工事が始まり、大変喜んでおられます。安心して暮らしたいという住民の願いに応えるためにも面的整備による抜本的な対策を要望いたします。
以上で、日本共産党市議団の代表質疑の全てを終わります。