◆(大園たつや議員) 日本共産党市議団を代表して、今回の定例会で上程された新年度関係議案五十九件のうち、十九件の議案に反対する立場から討論を行います。
 まず、今回提案されている議案の大きな特徴の一つとして、ことし十月の消費税率一〇%への増税に向けた消費税法等の一部改正に伴い、それぞれ市民に負担を転嫁するものについて、まず、反対の理由を申し上げます。
 第一〇二号議案 鹿児島市中央卸売市場業務条例一部改正の件については、仲卸業者市場使用料等に転嫁され、市場で働き生計を立てる業者への負担増となり、第一三八号議案 平成三十一年度鹿児島市中央卸売市場特別会計予算にはその影響額二百五十七万六千円が含まれています。
 第一〇三号議案 鹿児島市国民宿舎レインボー桜島条例一部改正の件については、洋室の大人の宿泊料金六千七百十一円が六千八百三十五円などの値上げとなり、三十一年度で廃止される第一〇四号議案 鹿児島市桜島ユース・ホステル条例一部改正の件については、大人の宿泊料金二千五百七十一円が二千六百十九円などの手数料に転嫁され、二つの施設を含む第一四〇号議案 平成三十一年度鹿児島市桜島観光施設特別会計予算にはその全体の影響額二十二万三千円が含まれています。
 第一一〇号議案 鹿児島市立病院料金条例一部改正の件については、診断書交付手数料や初診時・再診時選定療養費などに消費税が転嫁され、第一四五号議案 平成三十一年度鹿児島市病院事業特別会計予算には、その全体の影響額三百十五万円が含まれています。
 第一一一号議案 鹿児島市下水道条例一部改正の件については、下水道使用料に消費税が転嫁され、第一四九号議案 平成三十一年度鹿児島市公共下水道事業特別会計予算にはその全体の影響額三千八百九十九万四千円が含まれています。
 第一一二号議案 鹿児島市給水条例一部改正の件については、水道料金や給水負担金等に消費税が転嫁され、第一四七号議案 平成三十一年度鹿児島市水道事業特別会計予算にはその全体の影響額七千百六十一万三千円が含まれています。
 第一一六号議案 鹿児島市一般旅客定期航路事業使用料条例一部改正の件については、大人の普通旅客運賃百六十円が二百円、自動車航送運賃は三メートル以上四メートル未満で一千百五十円が一千四百円など、消費税増税の転嫁分を含む改定率二一・五七%の値上げとなっています。
 また、第一一七号議案 鹿児島市旅客不定期航路事業使用料条例一部改正の件については、乗船料金大人一千円が一千五百円など、消費税増税の影響を含む五〇%の値上げとなっており、第一五〇号議案 平成三十一年度鹿児島市船舶事業特別会計予算にはその全体の影響額一千八百二万三千円が含まれています。
 第一三九号議案 平成三十一年度鹿児島市地域下水道事業特別会計予算については、牟礼岡一千四百戸や松陽台町六百九十三戸の下水道使用料に消費税が転嫁され、全体で三十三万一千円の影響が含まれています。
 以上の点を踏まえ、反対する理由の一点目、条例改正などによる特別会計予算での消費税増税の影響額の合計は、当局に求めた資料によりますと、十月からの半年間で一億三千六百四十三万円であり、水道料金や桜島フェリーの運賃等、市民にとって欠かすことのできないライフラインが負担増となること。
 二点目、ことし二月八日、政府発表の家計調査によると、二人以上の世帯の実質家計消費支出は、平成二十六年に消費税率が五%から八%に増税されてから五年連続で減少し、直近では増税前より年額で約二十五万円も減少しており、増税の打撃を回復できていません。また、内閣府が三月七日発表した一月の景気動向指数の速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比二・七ポイント低下の九七・九となり、三カ月連続で悪化、日本国内の景気は後退局面に入った可能性があると見られており、基調判断を四カ月ぶりに下方修正しました。毎月勤労統計の不正調査に見られるアベノミクスの効果はことごとく破綻しており、増税すれば市民生活にも地域経済にも破滅的な影響をもたらすことになること。
 三点目、安倍政権は、消費税の増税による景気への影響を懸念して還元策、軽減策を打ち出しており、一般会計予算にもプレミアム付商品券事業が含まれていますが、全市民対象としてきたこれまでの事業と違い、子育て世帯、所得の少ない方のみ対象となっており、その効果は一時的かつ限定的です。また、複数税率とキャッシュレス決済でのポイント還元によって税率は、一〇、八、六、五、三%の五段階に分かれ既に混乱が始まっていることや、そもそも所得の少ない人ほど負担が重い消費税の逆進性を強めることになります。市民生活や地域経済に与える影響を懸念してこのような還元策や軽減策に大盤振る舞いするくらいなら、消費税増税をしないことこそ一番の景気対策であること。
 以上の理由と私ども日本共産党は消費税に頼らない別の道があることを提案していることを申し上げ、八つの条例改正案とその影響を含む七つの特別会計予算に反対です。
 次に、第一三六号議案 平成三十一年度鹿児島市一般会計予算について申し上げます。
 平成三十一年度予算については、鹿児島市認可外保育施設における乳児死亡事案に係る検証委員会報告書と提言に基づく保育の質の向上や事故対策、保育士等の処遇などの改善が図られたこと。国の幼児教育・保育の無償化のもとで認可外保育施設保育料補助や児童デイサービス無償といった市独自の制度を存続させ、国の制度の対象とならない児童も対象に継続が図られたこと。予算上では出てきませんが、LGBT支援の一環として公文書の性別記載欄の見直しが行われることは、私どもも充実を求めてきた立場から一定の評価をするところですが、これまでも問題点を指摘してきた国民保護法制関連事業や個人番号制度、指定管理者よりもはるかに長い期間、建設から運営まで民間に委託する鴨池公園水泳プールのPFI事業、新南部清掃工場バイオガス施設におけるDBO方式などが依然として続けられていることや市民にとって公的なサービスの後退につながる事業が含まれているため、以下、反対する主な理由を申し上げます。
 まず、民間への外部委託により公的サービスが後退する懸念がある事業について一括して申し上げます。
 ゼロ予算事業の北部・南部斎場指定管理者導入事業については、墓地、埋葬等に関する法律の中でも火葬は遺体の処理ではなく葬る行為の一部と位置づけられ、公衆衛生の観点からも火葬場の計画、運営は高い公共性が求められるとして、過去、厚生労働省の通達でも運営の主体は地方公共団体が望ましいとされ、やむを得ない場合でも宗教法人か公益法人とされた経緯もあることから、民間への委託はなじまないこと。
 次に、款衛生費、項清掃費、目し尿処理費、衛生処理センター等運営手法支援事業九百八十二万円については、本市のPPP/PFI手法導入優先的検討に基づき、本市で初めてとなる包括的民間委託を導入することになりますが、衛生処理センターや地域下水道施設は、し尿浄化槽汚泥の処理や団地の生活排水処理などの業務を担っており、市民のライフラインとして極めて公共性が高いため、利潤を追求する民間に委託すべきではないこと。
 次に、款土木費、項住宅費、目住宅管理費、市営住宅管理運営事業五億一千百十六万四千円については、公営住宅法第一条、「この法律は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする」とあることから、民間への委託がなじまないことは明白ですが、さらに市営住宅の入居申し込みに当たり、時効の援用や債権放棄によって消滅時効が完成した市民が市営住宅に申し込みを行った場合の対応について委員会として調査を求めていたにもかかわらず、当局は方針を示さず、このような点が不明確なまま指定管理者制度をスタートさせることは問題であること。
 あわせて款土木費、項住宅費、目住宅管理費、人件費六千六百七十万二千円には、公共施設等総合管理計画を踏まえた長寿命化計画に基づく市営住宅の一部の廃止・縮小のための住民説明会の費用が含まれています。三十一年度は、小池、中尾、西道、星ケ峯の四つの市営住宅に対して、おおむね五年をめどに廃止・縮小する方針を伝えるとのことですが、公営住宅法の趣旨に基づいて、今、市営住宅の充実こそ求められているとともに、現在取り組まれている団地再生の取り組みにも逆行することから、反対です。
 次に、款教育費、項保健体育費、目保健体育指導費、学校給食業務委託事業一千六百五十四万七千円について、これまで私どもは、学校給食は学校給食法に基づく教育の一環であり、民間委託することで責任者である学校長が直接業者に指示を出せば偽装請負などに当たることから問題点を提起してきましたが、業務委託を導入した当初は委託を拡大する考えはなかったものの、本市の行政改革に従って一校から二校にふやされていることは問題であり、さらに業務委託の拡大が懸念されること。
 以上のそれぞれの理由に加え、本市の行政改革にかかわる事業はコスト効率主義に立っており、行政サービスの成果と効果を適切に評価せず、市政に対する公的責任の後退を招くことから、これらの事業に反対です。
 次に、款民生費、項高齢者福祉費、目高齢者福祉総務費、高齢者福祉センター等管理運営・施設整備事業費三億八千八百七万四千円について申し上げます。
 反対する理由の一点目、浴室使用料を新設してから利用者が激減していることを決算特別委員会等で指摘してきましたが、直近の平成三十年度の見込みでも有料化前の二十七年度と比較して、高齢者福祉センター伊敷を除く利用者全体で十八万八千四十八人、三二%の減、浴室利用で十六万三千七十六人、四九%の減少となっており、吉野と谷山のセンターが改修等で稼働できなかった期間があることを踏まえても利用者減に歯どめがかかっておらず、明らかに浴室使用料の新設が原因であること。
 二点目、三十一年度は同じく利用者が減少している敬老パスの利用状況等調査に取り組まれていますが、高齢者福祉センターの利用者回復についての抜本的な改善は講じられておらず、私どもの会派としては、改めてもとの無料に戻すべき立場であることを申し上げ、反対です。
 次に、款土木費、項港湾費、目港湾費、鹿児島港港湾整備事業費負担金中、マリンポートかごしま、いわゆる人工島関連事業について、これまでの対応と違い当初予算に計上されていることから、申し上げます。
 一点目、三十一年度予算計上の事業は、鹿児島港国際クルーズ拠点整備事業の一環として、国が岸壁の本体工を、県が駐車場整備の調査設計費用を計上していますが、事業費総額三十億三千二百万円、そのうち国が六三%の十九億一千四百万円、県が二八%の八億三千七百万円、市が九%の二億八千百万円を負担することになります。これにより事業費総額はおよそ三百四億円、このうち本市は三十六億円を負担してきており、起債という名の借金は累積で二十五億六千七百万円となり、二十年後まで払い続けなければならないこと。
 二点目、本市は、人工島関連の負担金については当該年度の工事を確認してから二月補正予算で計上するという基本姿勢に基づいて一貫して対応してきたにもかかわらず、今回は、当該事業はさらなる観光振興のため新たな岸壁を築造するものであり、一般的な港湾施設の整備事業だからという理由で年度当初予算に負担金を計上、しかも年度内に工事が完了するか否か不明確にもかかわらず、これまでの基本姿勢と異なる対応となったことは問題です。
 三点目、大型クルーズ船のもたらす経済効果や十六万トン級と二十二万トン級の同時接岸、寄港回数など、今後の計画が不明確のまま工事が進められていくことは市民への十分な説明責任を果たしているとは言えないこと。
 以上のような事業が含まれていることから、本議案については反対です。
 次に、第一四二号議案 平成三十一年度鹿児島市介護保険特別会計予算について申し上げます。
 同特別会計につきましては、介護職員の処遇改善や認知症対策など一定評価できる部分もありますが、以下の理由から反対します。
 一点目、ことし十月の消費税率一〇%への増税の負担軽減をするために所得階層一段階から三段階の方に軽減措置がとられていますが、そもそも消費税を増税しなければ必要のない対策であること。
 二点目、昨年八月から始まった利用料三割負担の影響により、サービス給付費の減額が一億一千二百万円、高額介護サービスの増額が七千四百万円となり、利用者の負担は差し引き三千七百万円の増加となること。
 次に、第一四三号議案 平成三十一年度鹿児島市後期高齢者医療特別会計予算について申し上げます。
 同制度について私どもの会派としては、七十五歳という年齢で線引きする世界に類を見ない医療制度であり、一刻も早く廃止すべきという立場ですが、三十一年度は十月から保険料の特例軽減措置が廃止となり、九割軽減が七割軽減に引き上げられることになります。本市での影響は九割軽減の対象となっている一万九千百八十八人に対して九千七百八十五万八千円の負担増となるため、反対です。
 第一四六号議案 平成三十一年度鹿児島市交通事業特別会計予算について申し上げます。
 一点目、これまで党市議団が一貫して市民サービスや雇用環境の低下、桜島爆発対策で陸路避難が想定される中で直営でなくてよいのかという点を懸念し指摘してきた管理の受委託が続けられていること。
 二点目、一般会計予算において敬老パスの利用状況調査や団地再生の取り組みがなされる中、赤字路線を見直す次期経営健全化計画との整合性や計画の見直しが必要であること、以上の理由から反対です。
 以上、十九件の議案に反対する理由を申し述べ、日本共産党市議団を代表する討論を終わります。(拍手)