◆(大園たつや議員) 日本共産党市議団を代表して、今議会に提案された議案二十七件のうち、八件に反対する立場から討論を行います。
まず、第七五号議案 鹿児島市営住宅条例一部改正の件については、玉里団地住宅を建てかえるために同住宅百十戸を廃止するとともに、民法の一部改正に伴い敷金等に関する規定等を改め、あわせて入居資格等に関する規定を改めるものであり、私どもも求めてきた連帯保証人確保の負担軽減として必要な人数を二人から一人に、極度額を入居時の家賃月額十二カ月分とし、連帯保証人を確保できない方のために機関保証法人を追加するなど評価できる部分もありますが、以下、反対する理由を申し上げます。
一点目、入居資格及び連帯保証人に関する規定の見直しにおいて、消滅時効の援用、債権放棄その他の事由により当該家賃または損害賠償金を免れたことがない者を明記したことです。建設委員会に提出された資料によれば、当時の中核市四十八市のうち、入居を認めるのは五市、入居を認めなかったが十五市、対応方針未定、未回答が合わせて半分以上の二十六市であることからも慎重な対応が必要と指摘してきました。消滅時効の取り扱いについて、この間、当局と質疑を交わしてきましたが、公債権である国民健康保険などでも消滅時効が完成したからといって、その後、制度から排除されるようなことはありません。私どもとしては、私債権であっても公共の福祉である以上、さまざまな事情で消滅時効を迎えた市民を一律機械的に排除することは疑問です。
二点目、今回、建てかえのため玉里団地住宅百十戸を廃止する内容ですが、公共施設の床面積を二〇%削減することを目標としている公共施設等総合管理計画を受けて、平成三十年六月に改定された市営住宅の長寿命化計画に基づき当該住宅は縮小の対象となり、全ての建てかえが完了した際は全体で二十七戸が縮小されます。市営住宅の縮小・廃止が今回の議案である玉里団地住宅から始まったということを指摘するとともに、公営住宅法第一条、「この法律は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする」という法の趣旨に逆行する計画であり、問題です。
次に、第七七号議案 公の施設の指定管理者の指定に関する件については、北部斎場及び南部斎場の指定管理者を指定する議案ですが、以下、反対の理由を申し上げます。
一点目、旧厚生省通知では、斎場等の施設の運営は非営利性が求められており、原則として市町村等の地方公共団体が行わなければならない。いやしくも営利事業類似の経営を行うことがないようとされているが、今回、本市が指定した指定管理者は営利を目的とする株式会社であり、非営利性が求められる斎場の管理にそぐわないこと。
二点目、市直営による斎場の管理運営を廃止し、株式会社による指定管理を導入することにより市民サービスの向上や経費縮減の効果が期待されるとのことでしたが、既に指定管理者が委託業者として現場に配置している人員数で対応されるとのことであり、市直営による現行体制においても市民サービスの向上は可能であり、指定管理者制度を導入しなければならない積極的な意義は見受けられませんでした。また、コスト縮減についても税抜きの経費が比較されていますが、その差額は常勤職員の人件費相当の差額であり、市直営による公的責任の後退につながることから問題です。
次に、第八〇号議案 特別職の職員の給与に関する条例等一部改正の件については、市長や議員など特別職の職員に支給される期末手当の支給割合について、人事院勧告に基づく国の指定職職員に準じて令和元年度十二月期を〇・〇五カ月分ふやすなどの内容となっていますが、以下、反対の理由を申し上げます。
一点目、今回の引き上げによる影響額は、市長、六万九千二百四十円、副市長、五万五千八百六十円、議長、四万七千四百六十円、議員、四万一千百六十円などとなっており、国の人事院勧告に基づく国の指定職職員に準ずるとの理由が示されていますが、中核市五十八市のうち、市長は十市、議員は九市が改定なしで据え置く判断をされていることからも本市が自動的に引き上げる義務はないこと。
二点目、今回の引き上げに当たっても鹿児島市特別職報酬等審議会は期末手当が対象外として開かれませんでした。しかし、他の中核市でも六市が期末手当を対象としていることから、本市でも検討すべきです。
三点目、本年十月の消費税増税によって市民生活が苦しいものになっているときに市民の理解が得られるのかという問いに対して、当局は、理解が得られるものでなければならないと答弁されていますが、自動的な引き上げでは市民の理解を得られないこと。
以上の理由から本議案には反対です。
なお、公営企業会計である第八五号議案 令和元年度鹿児島市病院事業特別会計補正予算(第一号)には病院事業管理者が約五万六千円、第八六号議案 令和元年度鹿児島市交通事業特別会計補正予算(第二号)、第八七号議案 令和元年度鹿児島市水道事業特別会計補正予算(第一号)、第八九号議案 令和元年度鹿児島市船舶事業特別会計補正予算(第一号)については、それぞれの事業管理者が約四万九千円と各公営企業管理者の影響額が含まれており、第八〇号議案と同様の理由で反対いたします。
次に、第八二号議案 令和元年度鹿児島市一般会計補正予算(第四号)につきましては、本年六月末の大雨災害による土砂崩れの復旧費一億五千九百五十万円などを含む四十億二千九百三十四万円を追加し、一般会計総額二千七百三十二億九千四百七十八万円とするものですが、以下、反対する理由を申し上げます。
まず、第八〇号議案で申し上げた特別職の期末手当引き上げの対象となる市長、副市長、議員、常勤の監査委員、教育長の影響額及び第七七号議案における指定管理業務の委託料に係る債務負担行為が含まれていること。
次に、款総務費、項戸籍住民基本台帳費、目戸籍住民基本台帳費、個人番号カード交付事業費一千五百七十六万八千円については、交付体制強化のため、特設会場を本庁と谷山支所に設け、それに係る人件費を計上したものですが、以下理由を申し上げます。
一点目、本年九月、国において、マイナンバーカード交付枚数(想定)・マイナンバーカードの健康保険証としての医療機関等の利用環境整備に係る全体スケジュールが決定されたことから、本市もマイナンバーカード交付円滑化計画を策定し、交付体制を強化するとのことですが、病院などでのカード利用は窓口対応を煩雑にし、職員の多忙化に拍車をかける上、患者にとってもメリットはありません。個人情報の流出など、カードを持ち歩くリスクのほうがかえって高まること。
二点目、国によるマイナンバーカードを活用した消費活性化策が令和二年度中から実施されるに当たり、カード交付に合わせてマイキーIDの設定支援を行うとのことですが、消費税一〇%への増税後のキャッシュレス決済のポイント還元が来年六月で終わるため、その後の消費活性化策に活用しようとのもくろみがあり、消費税増税の影響に対してさらに多額の税金を費やすとともに、国民から理解が得られていないマイナンバーカードを押しつけることは問題です。
三点目、本市交付円滑化計画によると、令和五年度末までに五十四万四千二百枚、九〇%を見込んでいますが、交付状況は本年十月末で七万四千三百二十一枚、一二・三%となっており、個人情報の漏えい等への懸念が払拭されていない上、多くの市民が必要性を感じていないにもかかわらず、普及ありきで公務員への取得勧奨を行うことによって、本年六月末では市職員の取得率一四・八五%だったものが四五・五%となっていることも問題です。制度存続の是非を含め抜本的に見直すことこそ求められていることを指摘いたします。
ただいま申し述べてきた事業を含む本議案については反対をいたします。
以上、八つの議案についての反対の理由を申し述べ、日本共産党市議団を代表しての反対討論を終わります。(拍手)
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