◆(園山えり議員) 日本共産党市議団を代表して、ただいま上程されました新年度関係議案40議案のうち、7議案について反対の立場から討論を行います。
 まず、第112号議案 鹿児島市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営の基準に関する条例一部改正の件について申し上げます。
 条例改正の対象となる特定地域型保育事業である家庭的保育事業は、本市においては実施されておりませんが、同事業は保育士の資格を要しない人員体制で運営を行うことも可能としており、その保育の質を確保するために連携施設を確保しなければならないところですが、経過措置が令和6年度末まで10年間延長されることは、保育の質を確保する上で問題であり、第112号議案には反対です。
 次に、第113号議案 鹿児島市立いしき園設置条例廃止の件について申し上げます。
 救護施設及び養護老人ホームの民営化に伴い、いしき園は廃止され、それぞれ民間の社会福祉法人の下で運営されることになりますが、民営化に伴い救護施設と養護老人ホームの定数は現行の170人から110人になり、60人分、35%の定数が削減されることになります。このような大幅な定数削減は、今後、高齢化社会がますます進行し、低所得者や要介護者などの在宅での暮らしが困難な生活困窮者支援の必要性が高まる中で、市民福祉の後退につながることから問題であり、第113号議案に反対です。
 次に、第132号議案 令和2年度鹿児島市一般会計予算について申し上げます。
 昨年10月からの消費税10%への増税後、初めての新年度予算であり、増税に苦しむ市民生活や冷え込む地域経済に対して市民生活を守る防波堤の役割が求められています。その中で地域子育て支援センターの廃止・再配置問題については、存続を求める市民の声が広がり、センターを現状維持し、新規事業の取組などは評価できるものの、不要不急の事業や市民負担につながる事業が含まれていることから、以下反対する主な理由を申し上げます。
 まず、一般会計の歳入面においては、国の示す事業を民間委託しているかどうかによって地方特有の財源である地方交付税を増減させるトップランナー方式は、自治体に増減の詳細を示さないということも含め問題であること。
 次に、款総務費、項戸籍住民基本台帳費、目戸籍住民基本台帳費、コンビニ交付による証明発行事業1,030万8千円については、コンビニ交付による証明発行の際、マイナンバーカードを使用していることは、個人情報漏えいのリスクを高めることから問題です。
 個人番号カード交付事業5億2,303万6千円については、令和2年度に実施が予定されている消費活性化策の一環としてマイナンバーカードを活用したマイナポイントの取組に備え、マイキーIDの設定支援等が含まれる同予算は、個人情報漏えいのリスクを一層拡大させること。
 次に、款民生費、項高齢者福祉費、目高齢者福祉総務費、高齢者福祉センター等管理運営・施設整備事業費3億8,476万8千円について申し上げます。
 私どもは、高齢者福祉センターの浴室使用料が新設されてから利用者が激減していることは決算特別委員会等でも指摘してまいりました。平成30年度は前年度と比較して1万4,168人の減となり、センターの休止などで減少した分を加味しても使用料の有料化前の27年度の水準まで回復するには至っていない状況であることから、浴室使用料を元の無料に戻すべきであること。
 次に、款土木費、項港湾費、目港湾費、鹿児島港港湾整備事業費負担金中、人工島(マリンポートかごしま)関連予算について申し上げます。
 鹿児島港国際クルーズ拠点整備事業の一環として、国が岸壁の本体工など、県が駐車場整備を行う予定ということですが、令和2年度までの事業費の累計はおよそ344億円で、本市はそのうち40億円もの負担をしてきました。令和元年度は未執行の部分がありながら、2月補正予算では約6億円の追加、新年度はさらに32億円を超す事業費が計上されていますが、工期やケーソンの数などの工事の詳細が分からないまま、およそ3億円負担することは問題です。新型コロナウイルスの感染拡大でマリンポートの大型クルーズ船も20件以上のキャンセルが相次ぎ、本市の小売などにも大きな影響が出ています。感染防止に努め、影響を受ける市内中小企業への支援こそ必要と考えること。
 次に、款衛生費、項環境衛生費、目墓地斎場費、斎場管理運営事業2億3,679万5千円については、北部・南部の斎場の管理運営を指定管理者に委託するための初年度の予算ですが、第1に、公共性の高い斎場は、本来、非営利性の運営が求められますが、営利を目的とする民間企業に指定管理を委託することは問題であること。第2に、新年度予算は北部・南部斎場の運営事業費の平成30年度決算と比較しても当局が目的とする経費縮減の予算とは言えないこと。第3に、市民サービスの向上が目的にあり、その具体例として管内のWi-Fi設置などが示されていますが、直営であっても実現は可能であり、その必要性を当局も認めたことから、指定管理者制度を導入しなければならない理由にはならないこと。
 次に、款衛生費、項清掃費、目清掃工場費、新南部清掃工場(ごみ焼却施設・バイオガス施設)整備・運営事業106億7,464万4千円について、本予算は、DBO方式(公設民営方式)の事業であり、公設公営による場合と比較してどれくらいの経費縮減の効果があるのか。その効果の検証は、施設完成後の20年3か月後でなければ検証できないということ。
 次に、款衛生費、項清掃費、目し尿処理費、し尿収集及び処理業務等委託料5億3,461万2千円については、衛生処理センターの運営を直営から本市で初めての包括的民間委託方式により、第1に、下水道処理という極めて公共性の高い事業に利潤追求の原理が持ち込まれることは問題であること。第2に、経費縮減の効果が期待されるとのことですが、性能発注方式による常勤職員の減少は監視体制等の弱体化につながり、下水道処理に対する公的責任の後退を招くこと。
 次に、款教育費、項教育総務費、目事務局費、学校運営協議会設置事業費70万8千円については、公立学校に学校運営協議会、いわゆるコミュニティ・スクールを6校設置するための予算措置ですが、令和5年度までに全ての学校に設置することを前提にしていることは問題であり、教職員人事への関与や学校規模適正化の協議など、地域の実情に応じた慎重な対応が求められます。文部科学大臣は、法改正の際、地域の実情にかかわらず、一律に協議会を置くよう義務を課すものではないと答弁しているように本市の進め方は適切ではないこと。
 次に、款教育費、項保健体育費の債務負担行為、学校給食業務委託3,428万7千円については、学校給食の調理を民間委託するための債務負担行為の予算であり、本市で3校目となる学校を選定するものですが、第1に、給食の調理を民間委託することにより学校給食調理職員の方々は教育活動に直接関わることができなくなり、学校教育の後退につながること。第2に、4校ないし5校の中から3校目を選定するとのことですが、今後の本市の行政改革の進行に伴い、自校方式の学校給食に民間委託を導入する学校が拡大されていく可能性を否定できないこと。
 以上のような事業が含まれる第132号議案に反対いたします。
 次に、第135号議案 令和2年度鹿児島市地域下水道事業特別会計予算について申し上げます。
 衛生処理センターの包括民間委託方式と一体に取り組まれる同特別会計予算では、これまで両施設には定期的に職員の巡回による点検等が行われていましたが、性能発注方式の導入によって巡回活動を業者に求めないこととなるのは、市民サービスの低下であり、また、予算額についても直営の場合の予算と比較しても必ずしも経費縮減の効果があるとは言えないことから、第135号議案には反対いたします。
 次に、第138号議案 令和2年度鹿児島市介護保険特別会計予算について申し上げます。
 消費税増税に伴い、所得段階1から3の介護保険料の軽減措置が実施される一方、介護サービスを利用する際の被保険者の負担増も実施されることになります。その内容は、令和2年7月までの3か年の時限措置として、介護サービスを長期に利用している方に配慮して同じ世帯の全ての65歳以上の利用者負担割合が1割の世帯は年間44万6,400円の上限が設けられ、実質月額3万7,200円を上限とし、年間を通しての負担額が増えないように対応されていました。
 今回、この時限措置が解除され、本年8月から、これまで年間を通して介護サービスを利用している方の負担上限額が年間44万6,400円から53万2,800円、およそ2割もの大幅な負担増になることが推定されることから、第138号議案に反対いたします。
 次に、第139号議案 令和2年度鹿児島市後期高齢者医療特別会計予算について申し上げます。
 75歳以上の高齢者の医療費の増加に伴い、これまで2年ごとに保険料率を改定してきた同制度は、令和2年度から3年度までの保険料率を改定しますが、その改定の影響額は、保険料率の改定及び保険料軽減特例の見直しにより推計で合計6億2,500万円の負担増となり、これを推計の被保険者数7万6,804人で割ると、年間1人当たり平均で約8千円の負担増となります。医療費の増加に伴い、自動的に保険料率の改定を行い、負担増という痛みを高齢者に押しつける同制度は認められないことから、第139号議案に反対します。
 次に、第142号議案 令和2年度鹿児島市交通事業特別会計予算について申し上げます。
 1点目、これまで20路線が管理の受委託として委託運行されておりましたが、新年度は15路線で管理の受委託が行われるとのことですが、私どもは市民サービスや雇用環境の低下、桜島爆発対策で陸路避難が想定される中で、直営でなくてよいのかという点を一貫して指摘し、直営に戻すことを求めるものです。また、これまで管理の受委託をしていた20路線のうち一部直営に戻すものの、民間に移譲される路線があり、今後その路線が維持される保証はなく、住民サービスが切り捨てられる懸念があること。
 2点目、同特別会計予算には一般会計からの繰入金として経営安定化補助金3億円が提案されていますが、私どもは土壌汚染対策の影響が出た時点で市長部局に同補助金を要請し、説明会などをして住民合意を図りながら収支均衡を目指すこともできたのではないかと考えます。路線移譲に至る一連の流れは移譲ありきの進め方であり、公共交通としての責任が果たされておらず、市民の移動権を守るという立場に立っていないことは問題であること。移譲先のバス会社は多くの減便や路線廃止を推し進めており、原則3年間の路線維持と言いながらも減便や路線廃止の懸念が払拭できないことからも第142号議案については反対です。
 以上、7件の議案に反対する主な理由を申し上げ、日本共産党市議団を代表する討論を終わります。(拍手)