◆(大園たつや議員) 日本共産党市議団を代表して、ただいま上程されました30件の議案のうち、第13号議案 鹿児島市児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例一部改正の件、第14号議案 鹿児島市幼保連携型認定こども園の設備及び運営の基準に関する条例一部改正の件、第15号議案 鹿児島市家庭的保育事業等の設備及び運営の基準に関する条例一部改正の件、第16号議案 鹿児島市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営の基準に関する条例一部改正の件、第17号議案 鹿児島市認定こども園の認定の要件を定める条例一部改正の件、第20号議案 鹿児島市手数料条例一部改正の件、以上の6つの議案について反対の立場から討論を行います。
まず、第13号、第14号、第15号、第17号の各議案に共通する条例改正の内容は、本市の認可保育所127施設、幼保連携型認定こども園39施設、幼稚園型認定こども園15施設が対象となる、保育士の資格を有しない職員を配置する特例を導入するものであり、その目的は、保育士の定数を満たすことができず、受入れ児童数が定員を下回った76施設において、合わせて82人の保育士等を確保できなかったため、保育士を確保し待機児童を解消するとのことです。
また、第15号、第16号の両議案では、本市では実施されていない小規模保育事業A型または事業所内保育事業といった家庭的保育事業等の連携施設の条件緩和を行うものであり、一括して反対する理由を申し上げます。
反対する理由の1点目、配置特例の内容は、朝夕の児童数が少数の場合、最低基準の2人のうち1人は保育士の資格を有しない者を配置できる、また、保育士の代わりに小学校教諭や幼稚園教諭、養護教諭を活用できるようにする、さらに、加配人員に係る配置特例として、各時間帯において、保育士資格を有しない者が3分の1を超えてはならないとしており、いずれも保育士資格を有しない人を配置して保育体制を整備しようとしています。
朝夕の時間帯は児童数は少ないが、ゼロ歳児から5歳児までの混合保育となるため、けがや事故が起きやすく配慮が必要という地方からの意見が出されていることや国の保育事故調査でも、午睡中、食事中、プール遊び中の事故が多いと指摘されている中、このような時間帯でも保育士配置は3分の2でよいと基準を緩和することは、保育の質を確保できるのか懸念されること。
反対する理由の2点目、保育士の配置特例が実施された平成28年の厚生労働省の調査でも7割の自治体が配置特例の効果は把握していないと答えており、また、他都市と本市の保育士確保対策を比較すると、自治体独自補助による保育士の加配や処遇改善など、本市ではいまだ実施されていない保育士確保対策があることから、保育士資格を有しない職員の配置を拡大する基準の緩和ではなく、保育士の処遇改善を最優先にして保育士不足と待機児童の解消に取り組むべきであること。
反対する理由の3点目、第15号、第16号の両議案は、家庭的保育事業等の連携施設の条件緩和を行う条例改正を行うものですが、本市では定員5人以下の家庭的保育事業や小規模保育事業の家庭的保育事業等は実施されていないことから、本市に対象となる施設はありません。そもそも、これらの施設が全国で導入された目的は、待機児童の多いゼロ歳から2歳児の受皿としての役割でした。しかし、家庭的保育事業等の施設では、保育士資格を有しない人の配置が認められ、保育の質が問われていることから、令和元年度末を期限に、満3歳で卒園する時点で入所できる認可保育所等の連携施設をあらかじめ確保し、日頃から集団保育や代替保育の連携が行われることが求められていました。しかしながら、連携要件を全て満たしている家庭的保育事業等の施設は、平成30年4月1日現在で全体の46%にとどまっており、保育の質が確保されない状況が続いています。既に令和6年度まで経過措置は延長されており、今回の条例改正による条件緩和によって、さらに連携施設の確保が遅れることが懸念されること。
反対する理由の4点目、第15号、第16号議案における今回の条例改正では、市町村による利用調整において優先的な取扱いの措置を講じる、つまり、連携施設のない家庭的保育事業等の利用者に有利な加点を加える等の措置を講じることによって、保護者が希望する認可保育所等に入所できれば連携施設の確保は不要となることから、連携施設のない家庭的保育事業等が増えることが懸念されること。
以上、4点の理由から、第13号、第14号、第15号、第16号、第17号議案に反対します。
次に、第20号議案 鹿児島市手数料条例一部改正の件については、マイナンバーカードの申請の際、本人確認のために必要な通知カードがデジタル手続法に基づき廃止されるため、本市の通知カードの再交付手数料を廃止する条例改正です。
通知カードは、これまでマイナンバーカードを所持していない市民がマイナンバーの本人確認に必要な紙製のカードとして利用されていたものであり、紛失あるいは転居など変更がある際は更新が必要となり、役所窓口で再交付の手続が行われ、令和元年度3,600件交付されていますが、以下、反対の理由を申し上げます。
反対の理由の1点目、今回の条例改正により、通知カードの内容に変更がある場合は、今後は再交付を求めることができなくなり、また、マイナンバーカードの代わりに役所窓口で本人確認のために活用できていた利便性も損なわれることになり問題です。
反対の理由の2点目、通知カードの廃止の目的は、政府がマイナンバーカードの交付を拡大することが目的であることが明らかにされましたが、個人情報の漏えいを懸念して、マイナンバーカードをあえて保持しない市民に対して、通知カードを廃止し、マイナンバーカードの交付を促そうとすることは問題です。
反対の理由の3点目、市当局は、マイナンバーを利用する際、様々な暗証番号を設定して万全のセキュリティー体制を確立しているとこれまで説明してきましたが、通知カードの廃止を決めたデジタル手続法では、今後、暗証番号の入力を要しない方式が導入されようとしていることは、個人情報保護の後退につながり問題です。
反対の理由の4点目、平成28年1月から交付が開始されたマイナンバーカードは、4年経過しても普及率は低く、市民の理解は得られていない制度であり、廃止すべきです。普及が進まない理由は個人情報漏えいへの懸念です。国の個人情報保護委員会の報告でも、依然として地方自治体でもマイナンバー情報の漏えいが続いています。にもかかわらず、国は、健康保険や戸籍事務とマイナンバー制度を結びつけようとしており、市民にとってますます個人情報漏えいへの懸念は高まります。今回の通知カードの再交付手数料を廃止する条例改正は、このようなマイナンバー制度に対する市民の不安をさらに高めるものであり、問題です。
以上、6件の議案に反対する理由を申し上げ、日本共産党市議団を代表しての反対討論を終わります。(拍手)