◆(たてやま清隆議員) 日本共産党市議団の一人として個人質疑を行います。
ただいま臨時会に提出された第67号議案 職員の給与に関する条例及び鹿児島市一般職の任期付職員の採用等に関する条例一部改正の件及び第68号議案 特別職の職員の給与に関する条例等一部改正の件について、以下質問してまいります。
両議案の提案理由には、いずれも令和2年度の国家公務員の特別給に関する人事院勧告に伴い、地方自治体の職員及び特別職の期末手当の支給割合を改めるためと述べられています。
そこで、初めに、令和2年度の人事院勧告について質問します。
質問の1点目、勧告日と人事院勧告が例年に比べて遅れた理由をお示しください。
答弁願います。
◎総務局長(松枝岩根君) お答えいたします。
令和2年度の人事院勧告につきましては、国家公務員の特別給に関する勧告が10月7日に、月例給に関する報告が10月28日に出されたところでございます。また、例年に比べ人事院勧告が遅れた理由につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響によるとのことでございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
2019年の人事院勧告の発表は8月7日でしたので、今年は2か月遅れたことになります。その理由は、人事院勧告の基礎となる民間給与の実態調査が新型コロナウイルス感染症の影響のために遅れたことが主な原因だと理解いたしました。
次に、今回の人事院勧告の特別給に関する内容とその勧告理由をお示しください。
答弁願います。
◎総務局長(松枝岩根君) 特別給に関する人事院勧告の内容等につきましては、期末手当の支給割合を0.05月引き下げるもので、これは民間事業所における直近1年間のボーナスの支給割合が国家公務員の支給割合を下回ったことによるものでございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
現行の国家公務員の特別給を0.05か月分引き下げるマイナス勧告であります。その理由は、国家公務員の特別給(ボーナス)が民間企業のボーナスの支給割合を上回っているからとのことですが、民間労働者は、大企業の内部留保を賃上げやボーナスに回せと要求し闘っています。
去る10月30日、財務省が発表した2019年度の法人企業統計によると、資本金10億円以上の大企業の内部留保は459兆円であり、前年度から10兆円増えています。内部留保が最高額を更新するのは12年連続です。安倍政権が発足した2012年度と比較すると、経常利益が1.4倍、内部留保が1.38倍、配当金が1.64倍に増える一方、労働者の賃金は1.05倍と横ばいにとどまっています。機械や工場など有形固定資産も1.1倍しか伸びていません。大企業を優遇するアベノミクスの下で増えた利益が賃金にも設備投資にも回らず、配当金と内部留保に回ったことを示しています。このような莫大な内部留保があるにもかかわらず、新型コロナの影響を理由にして、大企業が賃上げや一時金に還元しない経営方針を今後も取り続け、かつ、人事院がこのような民間水準を追認していくならば、ますます地域経済がしぼんでいくことになり、負のスパイラルに陥ってしまうと言わざるを得ません。
次に、国家公務員の特別給は期末手当と勤勉手当の合計ですが、それぞれの支給割合について、平成22年度と今回の令和2年度の勧告の比較をお示しください。
答弁願います。
◎総務局長(松枝岩根君) 一般職の期末手当及び勤勉手当について、平成22年度と令和2年度の支給割合及びその増減について順次申し上げますと、期末手当、2.6月、2.55月、0.05月の減、勤勉手当、1.35月、1.9月、0.55月の増でございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
今回の0.05か月の引下げは10年ぶりの引下げであることが示されました。しかも、これまでの0.55か月の人事院勧告による引上げ分は全て勤勉手当に配分されてきたにもかかわらず、今回0.05か月分削減してきたのは期末手当の分です。業績等に応じて支給が変動する勤勉手当と異なり、期末手当は全ての公務員にひとしく支給される一時金です。今回の勧告に対して、一時金の生活給としての性格を薄め、成績主義を強化するものとの批判が労働団体から発表されているのは当然ではないでしょうか。
次に、今回の人事院勧告に対応するために、本市では臨時会を開会し議案が提出されていますが、全国の中核市、本県及び県内の他市ではどのような対応が行われるのでしょうか。
答弁願います。
◎総務局長(松枝岩根君) 人事院勧告に対する中核市等の対応でございますが、ほとんどの中核市において、本市と同様に人事院勧告の内容に準じた対応を行う予定であると伺っており、県及び県内市につきましても同様でございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
本市だけでなく全国の中核市や県内でも本市と同様の対応が行われる予定とのことですが、本臨時会に提出された2つの議案は、いずれも条例改正を行うための議案です。
そこで、今回の条例改正の内容と影響について、以下質問してまいります。
質問の1点目、条例改正に至るまでの経過と専決処分の取扱い及び議会の議決を要する理由についてお示しください。
答弁願います。
◎総務局長(松枝岩根君) これまでの経過につきましては、10月7日の人事院勧告の内容を踏まえ、職員団体と協議を行い、11月2日に合意したところでございます。また、国の通知において、期末手当の改定は手当の支給基準日までに対応するとともに、給与条例の改正は、議会で十分審議の上行い、専決処分によって行うことのないよう要請されたことを踏まえ、議案を提出したところでございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
ただいま示された国の通知とは、総務省発出の地方公務員の給与改定等に関する取扱いの文書だと思いますが、この文書には、地方公共団体における職員の給与改定の実施は、国における給与法の改正の措置を待って行うべきものとあります。しかし、国会で給与法の改正は現時点では行われていないようですが、問題はないのでしょうか。やはり12月1日の一時金の支給基準日に対応するための措置だということになりますが、本市が人事院勧告に準じて期末手当の支給割合を改める判断をしたために、今回、条例改正の議案が提出されたことになります。
そもそも地方公務員の給与改定に際して、なぜ、人事院勧告に従わなければならないのか、その理由をお示しください。
答弁願います。
◎総務局長(松枝岩根君) 地方公務員法におきましては、職員の給与は、国や他の地方公共団体、民間企業の給与を考慮して定めなければならないとする、いわゆる均衡の原則が定められており、このことを踏まえ、人事院勧告に準じた改定を行ってきているところでございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
確かに地方公務員法の中ではその原則がうたわれているわけですが、勧告に無条件に従わなければならないということではなくて、自治体の判断で一時金の引下げを見送ることも法的には可能であるということは指摘しておきたいと思います。
次に、今回の条例改正の内容と対象となる職をお示しください。
答弁願います。
◎総務局長(松枝岩根君) 今回の条例改正は、人事院勧告の内容に準じて期末手当の支給割合を改めるもので、対象は、本市の一般職員及び任期付職員のほか、市長、副市長、教育長、常勤の監査委員、公営企業の管理者及び議員でございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
本市においても、国の人事院勧告どおり期末手当を0.05か月分引き下げる内容であることが示されました。
次に、条例改正に伴う、ただいま答弁された対象となる方々への影響について、以下質問してまいります。
初めに、市長事務部局、教育委員会、消防局及び各企業の対象職員数とその影響額をお示しください。
答弁願います。
◎総務局長(松枝岩根君) 対象職員数と引下げに伴う影響額について、市長事務部局等は約3,600人、約6,500万円でございます。各企業はそれぞれの給与規程の中で職員の期末手当の支給割合を定めており、今後、規程の改正を行うことになりますが、各企業について私のほうで申し上げますと、市立病院が約940人、約1,600万円、交通局、約260人、約350万円、水道局、約380人、約670万円、船舶局、約120人、約220万円でございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
ただいま示された期末手当の引下げの対象となる職員数とその影響額を合わせると約5,300人、約9,340万円となり、1人平均約1万8千円の一時金の減額となるようです。先ほど国家公務員との均衡の原則に基づいて勧告に従う判断をしたと答弁をされましたが、国家公務員との比較で、地方公務員の給与水準を表すラスパイレス指数が本市の指数は99.3であると仄聞しております。均衡の原則に立たれるのであれば、既に本市職員の給与は国家公務員の給与水準を下回っているという事実を踏まえて判断されるべきであったということを指摘しておきたいと思います。
次に、市長、議員等の特別職の期末手当の支給割合については、国の指定職職員に準じて改めると提案されていますが、その対象者数と影響額をお示しください。
なお、今回の期末手当の支給割合の見直しに際して、鹿児島市特別職報酬等審議会は開催されたのか、その有無をお示しください。
以上、答弁願います。
◎総務局長(松枝岩根君) 特別職等の対象者数と引下げに伴う影響額は、市長や副市長などの特別職は8人、約40万円、議員は44人、約180万円でございます。
次に、特別職報酬等審議会は、期末手当を審議対象としていないことから開催していないところでございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
ただいま特別職の影響額を示していただきましたが、人事院勧告に基づく国の指定職職員に準じた改定を無条件に実施するのではなくて、特別職の期末手当の改定の場合も、鹿児島市特別職報酬等審議会で協議した上で提案すべきであったということを指摘しておきたいと思います。
次に、再任用職員、会計年度任用職員の対象者数と一時金の支給の現状と条例改正の影響の有無についてお示しください。
答弁願います。
◎総務局長(松枝岩根君) 再任用職員及び会計年度任用職員数は、令和2年4月1日現在で、それぞれ128人、2,318人でございます。再任用職員の期末・勤勉手当の支給割合は2.35月、会計年度任用職員の期末手当は、再任用職員に準じ、職種に応じて2.35月、または1.45月としております。また、人事院勧告において再任用職員の支給割合が据置きであったことから、再任用職員、会計年度任用職員ともに据置きとしたところでございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
再任用職員と会計年度任用職員の方々は、今回の条例改正の対象ではなく、期末手当は減額されないということを確認します。特に、会計年度任用職員の方々については、会計年度任用職員制度に移行する際、従前の処遇が後退するような不利益変更があってはならないと附帯条件をつけて議会で採択されていますので、ただいまの質疑で不利益変更はないと確認させていただきました。
次に、先ほど、今回の人事院勧告に対して、県及び他市町村においても本市と同様の対応が行われる予定との答弁が示されましたので、勧告による県内の公務員への影響について質問します。
1点目、県内在勤の国家公務員数。
2点目、県及び他市町村の公務員数について、それぞれお示しください。
答弁願います。
◎総務局長(松枝岩根君) 県内在勤の国家公務員数は、令和2年国家公務員給与等実態調査報告書によりますと、令和2年4月1日現在で3,158人となっております。
次に、県及び他市町村の公務員数につきましては、県によりますと、県が令和2年4月1日現在で2万4,759人、他市町村は平成31年4月1日現在で合計1万2,325人となっております。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
本市職員も含めて人事院勧告に基づき期末手当の減額の影響を受ける公務員が本県全体で約4万5,500人に上ることが明らかになりました。本県ではパートタイムを含む常用労働者は約80万人ですが、国及び地方の公務員がその中で約6%弱を占めていることになり、今回の期末手当の減額は本市のみならず県内全域の地域経済に影響を与えることになります。
そこで、今回の条例改正に伴う影響への見解について、以下質問いたします。
質問の1点目、新型コロナウイルス感染症対策や市民に対する各種支援制度の推進のために業務量は大幅に増加していると思われますが、今回の職員の一時金の削減は職員のモチベーションの低下を招くのではないか、見解をお示しください。
質問の2点目、人事院勧告に基づく国家公務員の給与決定は、労働者全体の1割を超える約770万人に影響を与えると労働団体が見解を表明していますが、本県及び本市においても公務員の一時金の引下げは他の労働者の一時金引下げにつながるのではないか、見解をお示しください。
質問の3点目、消費税の増税や新型コロナ危機の下で、消費が一層冷え込む中で、公務員の一時金の削減は地域経済に大きな影響を及ぼすのではないか、見解をお示しください。
以上、それぞれ答弁を願います。
◎総務局長(松枝岩根君) 今回の引下げに当たりましては、職員団体と交渉を行い、私どもの考え方も申し上げ、合意に至ったところでございます。
次に、今回の公務員の期末手当の引下げが民間給与にどのような影響を与えるかを推測することは難しいものと考えております。
また、地域経済に与える影響につきましても予測できないところでございますが、地方公務員法におきましては、先ほど申し上げました均衡の原則が定められておりますことから、今回も人事院勧告に準じた改定としたところでございます。
以上でございます。
[たてやま清隆議員 登壇]
◆(たてやま清隆議員) 答弁いただきました。
職員団体との合意が得られているので職員のモチベーションの低下はないとのことですが、交渉期限が迫る中で苦渋の判断ではなかったかと推察されます。特に、育児休業中の職員が89人、病気等で休職中の職員が24人と仄聞しておりますが、これらの職員には、勤勉手当は支給されず、期末手当のみの支給となり、しかも減額の対象となることから、負担軽減を求める要望が出されているようです。期末・勤勉手当以外の問題については、今後も引き続き、職員団体と誠意を持って協議されることを要請しておきたいと思います。
公務員の一時金引下げが他の労働者の一時金引下げにつながるかということについては難しいと、こういう答弁が示されましたが、人事院勧告に準拠して一時金を決定している事業所は実際にあります。新型コロナウイルス感染症対策の最前線で日夜奮闘している約17万人の医療労働者が加盟する日本医療労働組合連合会(日本医労連)の発表では、566組合のうち約38%、215組合が人勧に準拠して一時金が決定されているとのことであります。本市においてもその対象となる医療機関があり、そこで働く看護師等の一時金が減額されることになります。公務員の一時金の引下げが他の労働者の一時金の引下げにつながっていくことは明らかではないでしょうか。
公務員の一時金の削減が地域経済に与える影響については予測できないとのことでありましたが、今、新型コロナ感染への不安が続く中でも、国がGo To キャンペーン等を通じて消費の喚起を促しています。公務員の一時金の削減は公務員以外の労働者にも波及し、購買力の低下を招くことは避けられないのではないでしょうか。
コロナ禍で今落ち込んでいる地域経済を回復させるためには内需主導型の地域経済への転換が求められています。そのためには、地域社会への影響力を持つ公務員の賃金の水準を引き下げるのではなく、維持することが社会政策上、現在の経済情勢に適応した政策判断ではないかということを指摘して、私の個人質疑の全てを終わります。