◆(大園たつや議員) 日本共産党市議団の一人として個人質疑を行います。
 第116号議案 令和2年度鹿児島市一般会計補正予算(第8号)中、款衛生費、項保健衛生費、目予防費の新型コロナウイルスワクチン接種事業について、以下伺ってまいります。
 新型コロナウイルス感染症は、新規感染者数が全国で昨年12月31日に1日当たり4千人を超え、今月7日から10日は7千人を超えるなど、今年に入って急拡大しており、重症者数は今月18日まで17日間連続で前日を上回り、過去最多の1千人、1日当たりの死亡者数は100人、死者数は累積で4,700人を超え、医療提供体制が深刻な状況に直面しています。菅政権は緊急事態宣言を11都府県に拡大しましたが、各種世論調査でも「遅過ぎた」との回答が8割近くになっており、後手後手の対応となっていることは否めません。
 このような中、鹿児島県でも15日に塩田県知事が会見で県内の新型コロナウイルス感染症の状況について、現在の警戒基準はステージ2だが、ステージ3が近づいているとの認識を示され、本市でも予断を許さない状況が続いているということを改めて申し上げ、質問に入ります。
 まず、事業内容について伺います。
 質問の1点目、事業目的をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(椎木明彦君) お答えいたします。
 新型コロナウイルスワクチン接種事業につきましては、重症者等の発生をできる限り減らし感染症の蔓延防止を図るため、厚生労働大臣の指示の下、本市が実施主体となって予防接種を実施するものでございます。
 以上でございます。
   [大園たつや議員 登壇]

◆(大園たつや議員) 答弁いただきました。
 新型コロナウイルス感染症による重症者等の発生をできる限り減らしとのことですが、その根拠となるワクチンの課題については後ほど伺ってまいります。
 引き続き、質問の2点目、議案提案の時期について、まず、ワクチン承認前のこの時期に議案提案された理由。
 次に、県内自治体の動向をお示しください。
 また、本市にも市外から通勤される医療従事者や市民がいることから、県下一斉に接種事業が展開されるべきと考えますが、当局の認識とこれまで県とどのような協議が行われたのかお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(椎木明彦君) 本事業につきましては、本年2月下旬頃から開始する国のスケジュールが示され、速やかな体制整備を図る必要があることから、臨時議会に提出することとしたものでございます。
 また、県内自治体においても国のスケジュールを踏まえ取組を進められているようでございます。
 県との協議は行っていないところですが、県におきましては、国のスケジュールや指針に沿って着実に準備を進めたいとしており、市町村に対しても接種体制の確保について通知を出されていることから、各自治体においても取組が進められているものと考えております。
 以上でございます。
   [大園たつや議員 登壇]

◆(大園たつや議員) 答弁いただきました。
 当局としては各自治体で統一的に事業が実施される取組が進められているとの認識を示されました。改正予防接種法の附帯決議には、今回のワクチン接種は大規模に実施されることになるため、実施主体となる市町村長が円滑に接種事業を行えるようにワクチンの流通を含む接種体制の整備や実施方法の策定などについて国が積極的な支援を行うこととありますので、県下一斉に事業が展開されるよう県や国の適切な調整と援助を要請いたします。
 質問の3点目、事業費と内訳及び国の算定根拠をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(椎木明彦君) 事業費とその内訳につきましては、接種券等の印刷や委託医療機関への接種費用、コールセンター業務のほか、接種券等の郵送料など、総額33億9,900万8千円を計上しております。なお、国においては、ワクチン代を含めない接種委託費用について税抜き価格で1回当たり2,070円が示されております。
 以上でございます。
   [大園たつや議員 登壇]

◆(大園たつや議員) 答弁いただきました。
 接種費用に関しては、日本医師会を中心に政府与党に対してワクチン接種体制の構築のためには医療従事者や医療機関等の取りまとめ役としての地域医師会の役割が重要との指摘とともに、地域医師会には新たな業務負担、人的負担、物的負担が発生するとして適切な接種費用並びに手数料の設定を求めていた経過があります。今回の補正予算については補助内示見込みとなっており、国からの財源は地方自治体に下りてきていない現状であり、コロナ禍で対策を打ち、財政が厳しい自治体では具体化できないのではないかと懸念もされます。本市とされても国に一刻も早い財政措置を求めるよう要請いたします。
 質問の4点目、対象者等について伺います。
 まず、接種時期、対象者数、接種件数をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(椎木明彦君) 国によりますと、接種時期は本年2月下旬頃からを予定しており、本市の対象者数は60万1千人で、接種件数は120万2千件を見込んでおります。
 以上でございます。
   [大園たつや議員 登壇]

◆(大園たつや議員) 答弁いただきました。
 全市民を対象として人数を割り出し、その後、接種していくとのことです。
 そこで、対象者の範囲と接種順位について、現時点でどのように示されているのか伺います。
 次に、医療従事者の範囲について、現在想定されている医療従事者の範囲。
 医療機関に出入りする業者や清掃職員等、医療機関内で働く人全てを指すのか。
 先行して接種する医療従事者の希望者の取りまとめと接種方法をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(椎木明彦君) 医療従事者等の範囲につきましては、医療機関、薬局、自治体等で新型コロナウイルス感染症患者及びその疑い患者に頻繁に接する業務を行う医師、その他の職員や患者等を搬送する救急隊員等とされております。
 委託業者につきましても業務の特性として新型コロナウイルス感染症患者と頻繁に接する場合には、医療機関の判断により対象とできるとされております。
 医療従事者のうち大規模な医療機関の職員については、自らの施設で希望者の取りまとめと接種を行い、それ以外の医療機関については医療関係団体が取りまとめを行い、地域の医療機関で接種を受けることとされております。
 以上でございます。
   [大園たつや議員 登壇]

◆(大園たつや議員) 答弁いただきました。
 当局としては医療機関に出入りする業者や清掃職員等の委託業者と広い範囲で想定しており、対象者数にも含まれているものと理解しますが、各医療機関での判断によることから、広く案内して希望者が判断できるよう要請いたします。
 また、接種場所については、所属医療機関を想定されているようですが、ワクチンを接種できる体制や各医療機関に届け、保管することが可能なのかという懸念もありますので、具体化を急がれるよう要請いたします。
 次に、接種順位について伺います。
 現在、検討されている接種順位。
 基礎疾患等の有無の証明についての検討状況をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(椎木明彦君) 接種順位につきましては、重症化リスクの大きさ、医療提供体制の確保等を踏まえ、まずは医療従事者等、次に高齢者、次に高齢者以外の基礎疾患を有する者及び高齢者施設等の従事者、その後、それ以外の者とされております。
 基礎疾患等の有無の証明につきましては、証明書を求めない方向で検討されているところでございます。
 以上でございます。
   [大園たつや議員 登壇]

◆(大園たつや議員) 答弁いただきました。
 現在、大まかな接種順位が示されているようです。また、基礎疾患については14種類が国のほうで示されておりますが、当局としては証明書は求めない方針であるようでございます。厚労省の手引によると、今後の関係の審議会等における検討や科学的知見により見直されるとのことです。
 次に、厚労省が示す高齢者施設で従事する者は、高齢者等が入所、居住する社会福祉施設として、介護保険施設、居住系介護サービス、高齢者が入所、居住する障害者施設、救護施設等とありますが、居宅介護サービス従事者が含まれているのか、含まれていない場合、検討すべきと考えますが、認識をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(椎木明彦君) 居宅介護サービス事業者の接種順位については示されていないことから、今後、国へ確認してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
   [大園たつや議員 登壇]

◆(大園たつや議員) 答弁いただきました。
 ケアマネジャーを含む居宅介護サービス従事者については、高齢者の自宅に訪問することで感染拡大や濃厚接触者になるリスクがある職種であり、国でも自治体でも検討すべきと考えますので指摘しておきます。
 次に、児童やゼロ歳児、あるいは妊産婦についての接種の考え方と検討状況をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(椎木明彦君) 児童や妊産婦についての接種の考え方につきましては、国の審議会において検討が進められているものと考えております。
 以上でございます。
   [大園たつや議員 登壇]

◆(大園たつや議員) 答弁いただきました。
 本日の報道等によりますと、16歳以下は当面対象としない方針のようですが、妊婦を優先するかなどは今後の安全性や有効性の情報などを見ながら検討されるようです。
 次に、想定される住民票所在地以外に居住されている事例と取扱いについて、他自治体との実施時期のずれが生じる場合も含めてお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(椎木明彦君) 長期の入院や施設に入所している方など、やむを得ない事情により住民票所在地以外に居住されている場合には滞在先で接種を受けることができるとされておりますことから、実施時期が異なる場合もあるのではないかと考えております。
 以上でございます。
   [大園たつや議員 登壇]

◆(大園たつや議員) 答弁いただきました。
 原則、住民票所在地での接種ですが、やむを得ない事情があると市町村が認めた場合は接種を行うことができるようです。これまでの質疑を通して、対象者についてまだまだ不確定要素が多く、今後の検討や科学的な知見によって詳細を詰めていく段階ではありますが、改正予防接種法の附帯決議にある対象者の選定及び優先順位の決定に当たっては、科学的根拠に基づいて行うとともに、その理由を丁寧に国民に説明することが急がれるということを指摘いたします。
 質問の5点目、接種までの流れと接種場所の考え方について伺います。
 まず、事業スキームについてお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(椎木明彦君) 事業スキームでございますが、本市は対象者に対して接種券等を発行、送付し、接種を希望される方は委託医療機関等に予約後、接種券と本人確認書類等を持参し接種していただくことになります。
 以上でございます。
   [大園たつや議員 登壇]

◆(大園たつや議員) 答弁いただきました。
 予防接種法の改正では、新型コロナウイルスワクチンについて努力義務が課されていますが、接種を希望する者に対し予防接種を実施するということは改めて確認いたします。
 次に、検討されているワクチンについては超低温での保管が求められており、国は超低温の冷凍庫、いわゆるディープフリーザーについて、マイナス75度を3千台、マイナス20度を7,500台確保し、これを人口ごとに割り当てるとしていますが、本市に割り当てられるディープフリーザーの個数及び不足する場合の代替手段など、保管と流通の方法をお示しください。
 あわせて、接種場所の検討状況と感染拡大防止に配慮した会場選定の考え方をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(椎木明彦君) 国によりますと、本市に割り当てられるディープフリーザーは36台を予定しており、設置が完了するまでの間はドライアイスによる対応が示されております。また、ファイザー社のワクチンの流通につきましては、適切な温度管理の下、メーカーから医療機関等に直送されることとなっております。
 接種実施会場につきましては、新型コロナウイルスワクチンの冷蔵施設を有すること、時間ごとの予約枠の設定、被接種者の動線の検討等により感染防止対策が講じられていること、予防接種直後の即時性全身反応等の発生に対応するために必要な薬品及び用具等を備えておくなどの体制が求められており、現在、市医師会と連携を図りながら個別接種の委託医療機関の調整を行うとともに、集団的な接種会場の設置に向け検討を進めているところでございます。
 以上でございます。
   [大園たつや議員 登壇]

◆(大園たつや議員) 答弁いただきました。
 本市にはディープフリーザーが36台割り当てられることや一般のワクチンの流通と違い開発業者が接種会場に直送する仕組みであることが分かりました。接種会場については県医師会が調整中とのことですが、コロナ禍の下、集団接種会場についてはクラスター発生等のリスクが懸念されます。国の手引では、市町村は必要に応じて保健センター等を活用した医療機関以外での接種会場の確保を行うとなっていることから、感染予防に配慮した会場選定を要請いたします。
 次に、医療機関への入院や介護施設等へ入所している方への訪問等によるワクチン接種の検討状況をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(椎木明彦君) 接種日時点で施設等に入院または入所している方につきましては、施設等の医師によって接種を行うことが想定されております。
 以上でございます。
   [大園たつや議員 登壇]

◆(大園たつや議員) 答弁いただきました。
 入院、入所している方々はいずれも接種順位の高い方々になることから、具体的な検討を要請いたします。
 次に、2回目の接種の期間と2回目を必ず受けられる仕組み、例えば、予約制などの検討がなされているのかお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(椎木明彦君) 2回目の接種間隔と2回目を必ず受けられるようにする仕組みにつきましては、国の審議会において検討が進められているものと考えております。
 以上でございます。
   [大園たつや議員 登壇]

◆(大園たつや議員) 答弁いただきました。
 報道等によりますと、2回目の接種までの期間は3週間とのことですが、1回目を受けた市民が必ず接種できる仕組みとワクチンの供給、管理の体制が課題ということを指摘いたします。
 次に、コロナ禍で医療体制が逼迫する中、医師、看護師、保健師等をどのように確保するのか見解をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(椎木明彦君) 医師、看護師等の人材確保につきましては、現在、市医師会と連携を図りながら検討を進めているところでございます。
 以上でございます。
   [大園たつや議員 登壇]

◆(大園たつや議員) 体制についての答弁をいただきました。
 例えば、ファイザー社のワクチンの場合、195バイアル、975回接種分を最少単位として流通するため、ディープフリーザーから出して解凍し保冷ボックスに移した場合、保管期限である10日間で使い切らなければなりません。また、接種時には解凍し、生理食塩水で希釈し接種するとあり、1人当たりどれぐらいの時間を要するのかも分かりません。このような限られたワクチンを有効に活用するための体制は必須ですが、コロナ禍で医療体制が逼迫している時期であることを踏まえた対応を要請いたします。
 質問の6点目、改正予防接種法の附帯決議には、新型コロナウイルスワクチンには新しい技術を活用したワクチンが含まれることを踏まえ、接種に伴って健康被害が生じた場合の健康被害救済制度について広く周知を図るとともに、迅速、円滑な運用に努めるなど的確に対応することが示されていますが、接種を受けた後に副反応が起きた場合の健康被害救済制度について伺います。
 まず、根拠法と国、自治体の役割と今回、開発業者への損失補償は検討されているのかお示しください。
 次に、補償の要件と概要。
 あわせて、市民が申請する場合の流れと今回の周知方法をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(椎木明彦君) 予防接種健康被害救済制度では、予防接種法に基づき、国は、新型コロナウイルスワクチンの接種との因果関係に係る審査認定を行い、市町村は予防接種健康被害救済給付に関する相談や申請を受け付けることとなっております。また、国は、ワクチンの製造販売業者等と予防接種による健康被害に係る損害を賠償すること等により生じる損失を国が補償する契約を締結することができるとされております。
 接種による健康被害であると厚生労働大臣が認定した場合は、医療費や医療手当、障害年金、死亡一時金などの救済給付が受けられることとなっております。
 ワクチン接種に伴う副反応や健康被害が疑われる場合には、医療費・医療手当請求書などの必要書類を添付して本市に申請していただくことになります。また、予防接種健康被害救済制度につきましては、接種券送付時の案内や市ホームページへの掲載などにより周知・広報に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
   [大園たつや議員 登壇]

◆(大園たつや議員) 答弁いただきました。
 接種券とともに制度のお知らせが郵送され、当局としても周知に取り組まれるようです。市民としては副反応の内容が正確に周知されなければ判断ができず、接種に同意できません。附帯決議には副反応を疑う事象について広く相談窓口を設置し、国民に周知すること、また、海外における情報も含め、医療機関または製造販売業者等から迅速に情報を把握し、情報公開を徹底するとともに健康被害が拡大することのないよう的確に対応することが求められているということを申し上げておきます。
 次に、新型コロナウイルスワクチン実用化の見通しと課題について、以下伺ってまいります。
 質問の1点目、今回の事業の根拠となる予防接種法一部改正の内容をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(椎木明彦君) 予防接種法の一部改正の主な内容としましては、新型コロナウイルスワクチン接種を臨時接種に関する特例に位置づけ、厚生労働大臣の指示の下、市町村において予防接種を実施すること、また、国はワクチンの製造販売業者等と予防接種による健康被害に係る損害を賠償すること等により生じる損失を国が補償する契約を締結することができることでございます。
 以上でございます。
   [大園たつや議員 登壇]

◆(大園たつや議員) 答弁いただきました。
 ワクチンは健康を守る上で重要ですが、度々重篤な副反応が社会問題化してきました。新型コロナウイルスワクチンには極めて新しい技術が用いられているにもかかわらず、スピード承認によって有効性や安全性の確認をないがしろにしてはならないとの立場から、国会でも課題が論議されていますので、引き続き伺います。
 質問の2点目、国と基本合意及び契約を締結している開発業者のワクチンの特徴について、まず、種類について、これまでの実用例を含めて特徴をお示しください。
 次に、接種回数と効果の持続期間。
 保管温度。
 有効率について、発症予防、感染予防の観点からお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(椎木明彦君) ワクチンについては、現在、薬事承認申請中のファイザー社のワクチンのほか、アストラゼネカ社やモデルナ社の承認が想定されておりますが、ファイザー社及びモデルナ社のワクチンの種類はメッセンジャーRNAワクチン、アストラゼネカ社はウイルスベクターワクチンであり、日本において実用化されたものはなく、欧米など先進国を中心にワクチン接種が行われている状況でございます。
 国によりますと、接種回数はいずれも2回となっておりますが、効果の持続期間については、今後、国から示されるものと考えております。
 保管温度は、ファイザー社がマイナス75度前後、アストラゼネカ社が2度から8度まで、モデルナ社がマイナス20度前後とされております。
 ワクチンの有効率につきましては、今後、国から示されるものと考えております。
 以上でございます。
   [大園たつや議員 登壇]

◆(大園たつや議員) 答弁いただきました。
 今回のワクチンの一部はメッセンジャーRNAというウイルスが持つ遺伝情報そのものを使った新しい技術で、これまで国内での実用化例がないものです。ワクチン開発は通常5年から10年かかりますが、今回は1年足らずで治験に到達しているため、効果の持続期間や感染予防の有効率について検証が間に合っていないことが指摘されています。
 そこで、質問の3点目、国会審議等で指摘されているワクチン実用化に向けた課題について伺います。
 まず、特例承認や国内における第3相試験(検証的臨床試験)が行われていないことでの安全上の課題をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(椎木明彦君) ワクチンの安全上の課題につきましては、国によりますと、一部の海外開発のワクチンにおいて中間結果や結果の概要が公表された段階であり、有効性や安全性に関する結果の詳細については、今後さらなる情報が明らかになるのを待つ必要があるとされております。
 以上でございます。
   [大園たつや議員 登壇]

◆(大園たつや議員) 答弁いただきました。
 海外で開発されたワクチンについては、海外で承認されても免疫には人種差があり、過去、海外の承認薬を国内で使用し重大な副作用が起きたこともあります。そのために国内でも臨床試験が行われますが、大規模な第3相試験は時間がかかるため現在行われていない上、ワクチンの品質確認は書類審査のみ、国家検定も省略が検討されています。国会の参考人質問では第3相試験を実施することや、特例承認ではなくこれまで積み上げられてきたしっかりした基準、手順を踏んだ手続が必要だとの指摘がありました。
 次に、効果の持続期間や長期的副反応の検証についての課題をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(椎木明彦君) 効果の持続期間や長期的副反応については、その使用実績が乏しいことなどから、ワクチン接種に当たっては国内外の治験を踏まえ、慎重に行うこととされております。
 以上でございます。
   [大園たつや議員 登壇]

◆(大園たつや議員) 答弁いただきました。
 新型コロナウイルスは2回目の感染での重症化例があることから、ワクチン接種が逆に症状を悪化させることやSARSなど幾つかのコロナウイルスで報告されているADE(抗体依存性感染増強)と呼ばれる重篤な副反応も危惧されるほか、半年以上たってから副反応が現れることも考えられ、長期にわたって見ていく必要があります。
 次に、努力義務を課すことについての課題と附帯決議の内容をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(椎木明彦君) 予防接種の努力義務につきましては、有効性及び安全性に関する情報等を踏まえ、政令で適用しないことができることとされております。附帯決議の主な内容といたしましては、ワクチンの安全性及び有効性、接種した場合のリスクとベネフィット、その他接種に必要な情報を迅速かつ的確に公表し、接種の判断は自らの意思に委ねられるものであることを周知することなどでございます。
 以上でございます。
   [大園たつや議員 登壇]

◆(大園たつや議員) 答弁いただきました。
 国会の参考人からも、「有効性は高いが安全性はまだ担保されていない」、「極めて慎重に使わなければならない」、「接種を努力義務とすると倫理的にも問題になる」、「安全性のチェックとともに過剰な接種勧奨にならないようにするのも重要だ」などの指摘がありました。先ほど答弁いただいた附帯決議の1、「ワクチンの接種の判断が適切になされるよう、ワクチンの安全性及び有効性、接種した場合のリスクとベネフィットその他の接種の判断に必要な情報を迅速かつ的確に公表するとともに、接種するかしないかは国民自らの意思に委ねられるものであることを周知すること。」そして、2つ目、「ワクチンを接種していない者に対して、差別、いじめ、職場や学校等における不利益取扱い等は決して許されるものではないことを広報等により周知徹底するなど必要な対応を行うこと」が最も重要であると考えます。
 これまでの質疑を踏まえて、国の新型コロナウイルスワクチン実用化への対応についての市長の評価とワクチン接種について市民にどのようなメッセージを発するのか、市長の見解をお示しください。
 以上、答弁願います。
   [市長 下鶴隆央君 登壇]

◎市長(下鶴隆央君) 大園たつや議員にお答えいたします。
 現在、新型コロナウイルス感染症の全国的な拡大に歯止めがかからず、多くの方々が様々な不安を抱えておられる中、私は一日でも早く安心できる生活を取り戻せるよう感染拡大の防止と社会経済活動の両立を最優先かつ最重要課題として取り組んでいるところでございます。新型コロナウイルスワクチンは、生命、健康を損なうリスクの軽減や医療の負荷の軽減、さらには、社会経済の安定につながることが期待される一方、様々な副反応等のリスクを伴うものでありますことから、国においては慎重に審査していただくとともに、その内容を国民に十分情報提供していただきたいと考えております。私としましても、希望される方が安心して予防接種を受けられるよう相談体制の確保やワクチンの安全性と有効性の周知を行い、市民の命、暮らし、仕事を守るための取組をスピード感を持って全力で進めてまいりたいと考えております。
   [大園たつや議員 登壇]

◆(大園たつや議員) 答弁いただきました。
 市長とされましては、ワクチンについて希望される方が安心して受けられるようワクチンの安全性などの周知に取り組まれるとのことでした。市長におかれましては、予防接種法改正における国会での審議の経過と14項目もの附帯決議が付された意味を踏まえ、適切な対応がなされますよう強く要請をいたします。
 最後に、今回の議案提案はワクチンの承認前であり、安全性や対象者、接種順位等が不明確なまま、まだ国の財政措置が行われていない33億円という規模の予算の支出を図ることになります。新型コロナウイルスが世界の社会経済活動に大きな影響を与えている以上、迅速な対応も重要な要素であると考えますが、まさに市民の命と暮らしを守る安全性がないがしろにされてはならないことから、議会としても重い責任と判断が求められていることを申し上げ、以上で、私の個人質疑の全てを終わります。