◆(大園たつや議員) 日本共産党市議団を代表して、ただいま上程された63件の議案のうち、第137号議案 鹿児島市指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例一部改正の件、第138号議案 鹿児島市特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例一部改正の件、第139号議案 鹿児島市指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例一部改正の件、第140号議案 鹿児島市指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例一部改正の件、第141号議案 鹿児島市指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例一部改正の件、第142号議案 鹿児島市介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例一部改正の件、第143号議案 鹿児島市指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例一部改正の件、第144号議案 鹿児島市指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例一部改正の件、第147号議案 鹿児島市介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例一部改正の件、第148号議案 鹿児島市介護保険条例一部改正の件、第162号議案 鹿児島市中央卸売市場業務条例一部改正の件、第183号議案 令和3年度鹿児島市一般会計予算、第189号議案 令和3年度鹿児島市介護保険特別会計予算、第190号議案 令和3年度鹿児島市後期高齢者医療特別会計予算、第192号議案 令和3年度鹿児島市病院事業特別会計予算、第193号議案 令和3年度鹿児島市交通事業特別会計予算、以上16件の議案に反対する立場から討論を行います。
 まず、第137号、第138号、第139号、第140号、第141号、第142号、第143号、第144号、第147号の9つの議案は介護保険等に係る省令の一部改正に伴う条例改正ですが、一括して理由を申し上げます。
 これまで個室ユニット型の介護施設は1ユニットの定員をおおむね10人以下と定められているものを原則としておおむね10人以下とし、15人を超えないものと基準を緩和することから、介護職員の負担増が懸念されます。
 また、夜勤体制の見直しについて、現行では3ユニット3人体制であるのに対して、同一階に隣接している場合、安全対策を行った上で3ユニット2人体制を例外的に認める改正であり、夜勤帯の職員の負担増が懸念されます。
 以上、今回の9件の条例改正には職員の負担増やケアの質の低下を招くおそれのある内容が含まれていることから反対です。
 次に、第148号議案 鹿児島市介護保険条例一部改正の件、第189号議案 令和3年度鹿児島市介護保険特別会計予算について、一括して理由を申し上げます。
 3年ごとに改定される介護保険料に伴う条例改正ですが、基準額である所得第5段階が現行のまま据え置かれ、改定後の所得第8段階で現行より6千円引き下げられているのは評価しますが、所得第9段階では1人当たり9千円引き上げられ、3,130人の被保険者が影響を受けます。しかし、令和5年度末で約21億円の基金残高が見込まれている中で、介護保険料の引上げを回避することは可能であり、市民に負担増を求めたことは問題です。
 また、介護サービスについても施設入所者の食費負担が月額2万2千円の増となり、約1,200人への影響が見込まれ、ショートステイの利用者も1日当たり最大650円の負担増となる見込みであり、このような市民への新たな負担増が含まれる第189号議案にも反対いたします。
 次に、第162号議案 鹿児島市中央卸売市場業務条例一部改正の件について申し上げます。
 1点目、魚類市場再整備計画の市債分74億円を51年間で業者等から回収する計画であり、卸売場や仲卸売場の使用料は最終4倍となること。
 2点目、コロナ禍の下で市場の取扱量も減少しています。理解を得たとはいえ、業者からも厳しいとの声が上がっていること。
 3点目、令和7年度までは据置き、その後段階的に値上げをする予定ですが、値上げ直前の経済状況を踏まえて協議をすることを確認したものの、今回の議決で10年先までの値上げの上限を担保してしまうこと。
 以上の理由から、本議案については反対です。
 次に、第183号議案 令和3年度鹿児島市一般会計予算について申し上げます。
 令和3年度予算案は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が予断を許さない状況の下、大きな財源不足が見込まれるところですが、こども医療費助成事業の拡充、児童虐待防止対策における子ども見守り強化事業、パートナーシップ宣誓制度の提案、おくやみコーナーの設置など、私どもも求めてきたものが具体化されていることは評価できるものの、これまでも問題点を指摘してきた緊急事態に行政職員や国民を総動員する国民保護法制関連事業、情報をひもづけすればするほど情報漏えいしたときに被害が甚大となるマイナンバーカードに係るコンビニ交付による証明書発行事業及び個人番号カード交付事業、浴場使用料を元の無料に戻すよう求めてきた高齢者福祉センター等管理運営事業、10年経過しても事業効果であるVFM(バリュー・フォー・マネー)が検証できないPFI方式である新鴨池公園水泳プール整備・運営事業と、それ以上の20年もの期間の運営を委託するDBO方式の新南部清掃工場(バイオガス施設・高効率発電施設)整備・運営事業、自校方式への民間委託について新たに3校目となる桜丘中学校に導入されることになる学校給食業務委託事業など、市民の福祉の増進につながらない事業が依然として続けられていることは問題です。
 以上のことを指摘した上で、特徴的な主な事業について、以下反対の理由を申し上げます。
 まず、款民生費、項児童福祉費、目母子福祉費、母子父子寡婦福祉資金償還対策事業費960万9千円中、鹿児島市母子父子寡婦福祉資金貸付金償還金未収金回収業務委託並びに款教育費、項教育総務費、目事務局費、奨学資金返還対策事業費92万6千円について一括して申し上げます。
 1点目、奨学資金や母子寡婦福祉資金の滞納の債権回収を弁護士法人等に委託する予算が計上されていますが、現行においては滞納している市民の相談に応じながら、支払い困難な場合は返還を延期するなどの福祉的な対応が行われています。しかし、弁護士法人等に委託した場合、成功報酬に基づく債権回収が行われることから、これまでのような対応が行われるのか懸念されること。
 2点目、奨学資金返還対策事業費については、滞納者の中で最長20年の返済期限を過ぎた方がどれくらいか、また、どのような滞納者を対象にして債権回収が行われるのか現段階で当局の方針が不明確であることが委員会質疑で明らかになったこと。
 次に、款土木費、項港湾費、目港湾費、鹿児島港港湾整備事業費負担金中、マリンポートかごしま、いわゆる人工島関連事業費について申し上げます。
 1点目、令和3年度の事業費としては総額20億4,200万円で、国が岸壁の建設を含む12億3,628万4千円、県が駐車場の舗装を含む5億9,208万7千円、両事業に対する市の負担金が2億1,362万9千円となっています。コロナ禍の下、見通しの立っていない不要不急のクルーズ船拠点整備事業に負担をさせられている上、財源は起債での借金であり、後年度の負担となること。
 2点目、県施行の駐車場整備については、2年度当初予算4,800万円、国の第3次補正予算を受けた2月の補正予算7,800万円を2年度中には手をつけずに繰り越し、3年度当初予算でさらに1億5千万円を計上、本来3か年で計画された事業を3年度のみで執行する予定であり、その結果、事業費ベースでは128%となる一方で、駐車場の舗装の進捗はほぼゼロ%です。このような事業の在り方に対して内容を精査した上で中止を求め、コロナ対策の財源に充てるべきであること。
 3点目、本会議の質疑では、県当局は事業費について繰越明許の設定をしているにもかかわらず、市当局は負担金について繰越明許の設定をせず、年度内に言われるがままに前払いしていることが明らかになりました。これは、年度内の事業の実施状況を確認した上で、年度末の補正予算で負担金を計上していたこれまでの本市の基本姿勢から後退していると言わざるを得ないこと。
 次に、歳入における款地方交付税、項地方交付税、目地方交付税について申し上げます。
 1点目、歳入一括の地方交付税については、国が示すトップランナー方式によって減少の影響が含まれているにもかかわらず、これまでと同様に国が積算根拠を示していないこと。
 2点目、本市においては同方式の対象となる16業務のうち14業務について民間委託が実施されていますが、公共性の高い分野に国が民間委託を進めることを目的として地方交付税の増減を決めるトップランナー方式については廃止すべきと考えること。
 以上のような事業を含むことから、第183号議案に反対いたします。
 次に、第190号議案 令和3年度鹿児島市後期高齢者医療特別会計予算について申し上げます。
 1点目、平成20年度の制度創設以来、所得の少ない方の均等割を9割軽減する措置が続けられてきましたが、この間、この軽減措置が段階的に解消され、令和3年度から7割軽減に引き下げる改定が行われます。その結果、本市においても約1万9,200人の被保険者が年額4,200円の負担増の影響を受けることは問題です。
 2点目、政府は令和4年度に向け窓口負担を現行の1割から2割にすることを閣議決定しており、本市でも1万5,793人、20.3%の後期高齢者の方が対象となることが本会議での質疑で明らかになりました。国は現役世代の負担軽減のためと主張しますが、老人医療に対する国庫補助はかつて45%でしたが、現在は約33%に引き下げてきたことが根本原因であり、医療費の増加に伴い負担増を高齢者に押しつける内容となっていること。
 以上の理由から本議案に反対いたします。
 次に、第192号議案 令和3年度鹿児島市病院事業特別会計予算について申し上げます。
 まず、個人番号カードによる資格審査のためのカードリーダーが稼働することになります。
 1点目に、そもそも個人番号カードに様々な情報が集約されることは個人情報が漏えいした際の被害が甚大になること。セキュリティーを万全にしたとしても人為的な漏えいは防ぐことができないこと。
 2点目、設置場所などはまだ検討中のようですが、昨年12月議会で質疑したように、こども医療費や重度心身障害者の医療費助成制度の対象者はカードリーダーに個人番号カードを通した後、受付で受給者証を提示することになり、設置場所によっては利便性が下がることになること。
 次に、3年度は給食調理業務の委託について企画提案方式による募集が行われます。
 1点目、食は医療の一環であり、病院内部での連携が必要にもかかわらず、業務委託によって管理栄養士を通してしか意思疎通ができないこと。
 2点目、現在の委託業者も当初は病院内の構造の把握や配膳について慣れない部分があったとの答弁がありましたが、委託業者が更新されることによって、これまでの経験が引き継がれない可能性があること。
 以上の理由から本議案に反対いたします。
 次に、第193号議案 令和3年度鹿児島市交通事業特別会計予算について申し上げます。
 1点目、3年度は新たに4路線を民間に移譲することによって、運転士は7人、走行距離数は43万7,112キロ、収益は約1億3千万円の減となりますが、可能な限り路線を維持するとした3年間以降の保証はないこと。
 2点目、管理の受委託についてはこれまでも申し上げてきたとおり、市民サービスや運転士の処遇が低下することや災害時の対応について懸念があること。
 交通局のコロナ禍の下での経営について大変厳しいものがあることは理解しますが、利益を追求する一方で、公共の福祉の増進を掲げた公営企業として直営に戻すべきという観点から反対いたします。
 以上の理由から本議案については反対をいたします。
 以上、16件の議案に反対する理由を申し述べ、日本共産党市議団を代表する討論を終わります。(拍手)