◆(園山えり議員) 日本共産党市議団を代表いたしまして、ただいま上程されました議案28件のうち、第19号議案 鹿児島市手数料条例一部改正の件、第30号議案 鹿児島市税条例一部改正の件、第31号議案 専決処分の承認を求める件、第34号議案 令和3年度鹿児島市一般会計補正予算(第4号)、以上4つの議案について反対する立場から討論を行います。
初めに、第19号議案 鹿児島市手数料条例一部改正の件ですが、今回の条例改正は、個人番号カード、いわゆるマイナンバーカードを再交付する際の手数料の額を地方公共団体情報システム機構が定めることになり、本市手数料条例におけるマイナンバーカードの再交付手数料の規定を廃止するというものです。再交付の実績は、平成28年度は30枚で令和2年度の572枚と比較いたしましてもその数は20倍近くに増えており、それに伴う事務も多くなってきているものと考えますが、今回の条例改正により再交付手数料の徴収事務については引き続き本市が行うものの、手数料は機構が定めることから、仮に機構が手数料の引上げをした場合、条例改正として議会に提案されることがなくなり、問題点を明らかにすることなく、市民の負担増になりかねません。また、市民から徴収した手数料についても歳入歳出外現金として保管し、同機構へ納入するということからも議会としてのチェックができなくなるという点から反対いたします。
次に、第30号議案 鹿児島市税条例一部改正の件中、セルフメディケーション税制については、以下の理由から反対いたします。
セルフメディケーション税制とは、医療用医薬品から転用され、医師の処方箋が不要となる特定の一般用医薬品(OTC医薬品)を市民が購入した場合、その一定の費用について令和4年度課税まで所得控除を受けられる特例措置です。国の令和3年度税制大綱に基づき医療費の適正化にも資するという観点から適用期限が5年間延長されるため、市税条例を同様に改正するものですが、次のような反対の理由を申し上げます。
第1の理由は、セルフメディケーション税制のさらなる延長は、市民の自己判断で同税制の対象となるOTC医薬品を購入し服用を続けることになり、その結果、必要な受診の遅れや副作用、症状の悪化につながるリスクが高まることが懸念され、問題であると考えます。6月1日現在、既に対象となるOTC医薬品が2,456品目あるとのことですが、平成27年4月、消費者庁が発表したOTC医薬品の副作用は1,225例に上り、そのうち死に至った症例が15例、後遺症が残った症例が15例あると示されています。また、平成26年の医師会の調査でも48%の医師がOTC医薬品を原因とする副作用が発生した患者を診察したことがあると回答しています。今回の条例改正は、安全性が懸念されるOTC医薬品のさらなる拡大を促進するものであり反対です。
第2の理由は、今回の条例改正が市民の命と健康を守るという観点からではなく、医療費の適正化、つまり保険医療費の削減という経済最優先の観点から提起されており、問題であると考えます。現在、同税制を新たに適用するOTC医薬品の検討を進めているセルフメディケーション推進に関する有識者検討会では、座長自らが医療費の削減効果の高いと見込まれるものを限定して効果を検証し、薬効をある程度絞って拡大していくと発言するなど、今回の条例改正が医療費の削減効果が高い観点から提起されており、安全性最優先の立場ではないことから反対です。
第3の理由は、WHOは、セルフメディケーションの理念を自分の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすると定義しており、この理念を具現化する一環として、税を申告する際は、健康診断を受けていることを証明する書類を添付するなど、健康増進の取組を要件としていました。しかし、財務省は、同税制の利用者が全国で3万人と少ないという現状を打開するために、税申告の際の簡素化を図るため、書類添付を不要とする措置を講じようとしています。このような措置は、セルフメディケーションの理念そのものの形骸化につながるものであり、問題であると考えます。
以上の理由から反対をいたします。
次に、第31号議案 専決処分の承認を求める件、令和3年度鹿児島市一般会計補正予算(第2号)のうち、まず、款衛生費、項保健衛生費、目予防費、感染症予防啓発事業費402万円について申し上げます。
この事業は、感染予防のための啓発用ポスターを3万枚作成し、事業所に配布するというものですが、県は、今年5月に入り、新規感染者数の急拡大を受け感染拡大警報を発令し、本市としても各事業所への早急な注意喚起が必要であったということは理解するところではありますが、専決処分という緊急性を伴う事業でありながら、ポスターの活用については、事業者へ発送してからも事業者任せとなっており、現在、ポスターの貼り出し状況は把握しておられないことや事業者からの意見聴取などの検証はこれからとなっており、どれくらいの効果があったものか分からないことは問題です。私どもとしましては、軽々に専決処分をするものではないと考えるものですが、他会派からの、本市財政に与える影響が大変危惧される中、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し専決処分したことには問題を提起せざるを得ないという指摘も踏まえ、財政状況からも専決処分の在り方については検討が必要だったのではないでしょうか。感染拡大警報は6月20日に解除されましたが、本市が感染拡大警報の中で、緊急性を持ってポスター活用の推進やどこに貼り出され、どのような効果が得られているのかを積極的に把握する取組が必要であったと考えることから承認することができません。
次に、款商工費、項商工費、目商工業振興費、新型コロナウイルス感染症対策時短要請協力金事業費3億2,753万8千円について、以下、理由を申し上げます。
まず、今回の新型コロナウイルス感染症対策時短要請協力金事業は、鹿児島県が5月7日に発令した感染拡大警報に基づき、10日から始まった飲食業等営業時短要請の延長分、5月24日から6月6日までの時短要請協力金の一部を負担することを専決処分したものです。私どもは、時短要請協力金そのものについては、感染拡大を抑止するために時短営業に協力していただいた事業者への補償であり、事業内容に異を唱えるものではありませんが、今回の専決処分の背景や手法について承認することができません。
理由の1点目、時短要請協力金については、この間、事業規模に合わせて制度変更になったことや国が新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の協力要請推進枠の創設により、財源の8割、地方公共団体が2割を負担するなど大きな事業スキームの変更が見られます。このような中で、鹿児島県は既に5月10日から23日までの協力金を国と県で負担して支出していますが、今回からこの負担割合については、国8割、県1割、市1割に変更したため、本市補正予算に計上することになりました。さらに、再延長への対応で、本市は交付金を全て使い果たしてしまい危機的状況です。今後、独自の支援策を積極的に実施できなくなるのではという懸念が残ります。本市も感染拡大の防止について一定の役割があることは理解いたしますが、感染拡大警報を発令するのは県の権限であることや福岡県など自治体に負担を求めない地方公共団体もあることから問題です。
理由の2点目、県と市の負担割合の協議に当たっては、5月20日の感染拡大警報延長発表の前日、19日に知事と市長の意見交換会が行われていますが、先ほど述べたように、福岡県など自治体に負担を求めない地方公共団体があることやそもそも県の臨時交付金がどのような状況にあるのか把握せずに、1日足らずの意見交換会で決定するのは拙速ではなかったでしょうか。他の会派からも指摘があったように、県は専決処分でも本市としては議案として提出し、議会において客観的な審議を経た上で議決し、財源組替えという手法もあったのではないかと考えることから、当局が答弁されました申請開始日に間に合わせるために議会を招集する時間的余裕がなかったとの理由は当てはまらないと指摘いたします。
理由の3点目、専決処分をすれば議会が議決したのと全く同じ法律効果が発生するため、議会としてもその慎重な運用を見守らなければなりません。それが急を要する新型コロナウイルス感染症対策であっても軽々に専決処分してはならないと考えます。事業スキームや財源負担が大きく変更されている場合は、議会の客観的な審査を経て議決することが行政にとっても市民にとっても責任ある対応と言えるのではないでしょうか。当局におかれましては、議会の審議に付すありとあらゆる努力を講じるべきと考えます。
以上、3点の理由から本事業については承認することができません。
加えて、第34号議案 令和3年度鹿児島市一般会計補正予算(第4号)中の新型コロナウイルス感染症対策時短要請協力金事業についても県と市における協議も不十分であり、本市の負担割合が継続されていることから反対いたします。
以上、4件の議案に反対する理由を申し上げ、日本共産党市議団を代表しての反対討論を終わります。(拍手)
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