◆(大園たつや議員) 日本共産党市議団を代表して、ただいま上程されました38件の議案のうち、第130号議案 職員の給与に関する条例及び鹿児島市一般職の任期付職員の採用等に関する条例一部改正の件、第133号議案 令和4年度鹿児島市一般会計予算、第136号議案 令和4年度鹿児島市地域下水道事業特別会計予算、第140号議案 令和4年度鹿児島市後期高齢者医療特別会計予算、第141号議案 令和4年度鹿児島市母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計予算、第142号議案 令和4年度鹿児島市病院事業特別会計予算、第143号議案 令和4年度鹿児島市交通事業特別会計予算、第144号議案 令和4年度鹿児島市水道事業特別会計予算、第146号議案 令和4年度鹿児島市公共下水道事業特別会計予算、第147号議案 令和4年度鹿児島市船舶事業特別会計予算、以上10件の議案について反対する立場から討論を行います。
 まず、第130号議案 職員の給与に関する条例及び鹿児島市一般職の任期付職員の採用等に関する条例一部改正の件については、一般職員の令和4年度の期末手当を0.15か月分引き下げるための条例改正案ですが、引下げの対象となる職員数とその減額の影響額は、市長事務部局では2,895人、2億5,100万4千円、教育委員会では326人、3,798万9千円、消防局では526人、5,327万円の合計3,747人、3億4,226万3千円の減となることから、反対する理由を申し上げます。
 1点目、人事院勧告に基づく当年分の期末手当の引下げを翌年分に事後的に行う事例は過去になく、3月末の退職者との不公平さを欠く等、不利益遡及に当たる異例の措置であること。
 2点目、本市の保育士、看護師など約700人の職員の期末手当を引き下げることは、保育士や看護師等のケア労働者の処遇改善を進める政府の経済政策と明らかに矛盾していること。
 3点目、地域社会に社会的影響力を与え、本県の常用労働者の8.7%を占め、4万人以上にも及ぶ公務員の賃下げはコロナ禍の下での域内の消費を冷え込ませ、地域経済の成長と分配の好循環を阻害すること。
 以上の理由から反対です。
 また、今回の期末手当の引下げは、同時に本市の公営企業の職員にも影響を及ぼすことから、第142号議案 令和4年度鹿児島市病院事業特別会計予算では、市立病院の看護師など980人、9,422万7,810円の減、第143号議案 令和4年度鹿児島市交通事業特別会計予算では、交通局の職員237人、1,797万5千円の減、第144号議案 令和4年度鹿児島市水道事業特別会計予算及び第146号議案 令和4年度鹿児島市公共下水道事業特別会計予算では、水道局の職員435人、3,866万3千円の減、第147号議案 令和4年度鹿児島市船舶事業特別会計予算では、船舶局の職員122人、1,173万4千円の減となり、本市職員全体では合計5,523人、5億486万2,810円の大幅な減額となることから、以上の議案についても反対です。
 次に、第133号議案 令和4年度鹿児島市一般会計予算については、下鶴市長が初めて手がけた第六次鹿児島市総合計画の初年度であり、新たな時代の扉を開く予算と位置づけられています。私どもとしても要望してきた新型コロナウイルス感染症対策の家賃支援金の継続やパートナーシップ宣誓制度のスタート、児童虐待を未然に防ぐ取組である親子見守り事業の継続など評価できる施策もあるものの、これまで問題点を指摘してきたテロ攻撃等を想定し国民を総動員する国民保護法制関連事業、情報が連携すればするほど漏えいした際の被害が甚大になる個人番号カード交付事業やコンビニ交付による証明書発行事業等、事業が終わらなければその効果を検証することもできない鴨池公園水泳プールにおけるPFI事業や新南部清掃工場バイオガス施設のDBO方式による運営などが依然として続けられていること。また、市民負担増やサービスの低下につながる事業が含まれていることから、以下特徴的な事業について反対する主な理由を申し上げます。
 まず、款土木費、項港湾費、目港湾費、鹿児島港港湾整備事業費負担金中、マリンポートかごしま、いわゆる人工島関連事業について申し上げます。
 1点目、令和4年度は人工島のクルーズ乗船客の二次交通対策等としてしゅんせつのための事業費3,300万円が計上されており、そのうち本市負担金は880万円、これまでの累計は41億円、財源は起債、いわゆる借金を約90%充てており、後年度の負担になること。
 2点目、今回の事業について、県は安全性確保の観点からのしゅんせつとして国の補助事業を採択されています。しかし、国際クルーズ拠点整備事業で本市も負担したしゅんせつは、これまで想定していない22万トン級のクルーズ船を着岸させるための改良だったこととは違い、既に利用されている区域に堆積した土砂をしゅんせつする維持管理であると考えます。県当局はこれまで維持管理のためのしゅんせつに市負担を求めたことはないとの考え方を示していることや本市はこれまでも人工島の維持管理費を支出したことはないという実態からも支出すべき負担金ではないと考えるとともに、今後、安全性の確保、利便性の向上などといった文言で維持管理費に負担金を支出する前例になるものであり、問題です。
 3点目、これまでの国際クルーズ拠点整備事業では、国、県、市の負担割合が決まっていましたが、今回活用する国の社会資本整備総合交付金は国の負担割合しか決まっておらず、その後、昨年9月の県と市の負担金協議において鹿児島県の港湾負担金の割合を確認して支出しています。県と市の負担金協議において今私どもが指摘している問題点に触れられていないだけではなく、国際クルーズ拠点整備事業よりも17ポイント負担割合の高い支出となっていることからも、これまで指摘してきたとおり形式的な協議となっていると言わざるを得ないこと。
 次に、款教育費、項教育総務費、目教育指導費、学校校務支援事業1億8,569万2千円については、PTAで雇用されていた学校事務補助員が給食費や就学援助費などの公金を取り扱っていたことから、今後、公務員に準ずる会計年度任用職員へ変更されるものであり、公金を取り扱う業務の性格や本市の責任を明確にする点は一定理解するものですが、以下、反対する理由を申し上げます。
 1点目、今回の変更に当たって現在1人当たり年額約210万円を本市がPTAに対して交付しているところ、1人当たり年額約175万円と年額約30万円の社会保険料で会計年度任用職員とされるとのことですが、事務補助員の中には給与の面で月額4万円、年間50万円も減少する方や雇用の面で無期雇用だった方もおられたと聞いています。教育委員会は不利益変更ではないとの見解を示していますが、そもそも事務補助員の基本的な給与は本市が交付金で支出しており、PTAは長年の勤務等に配慮して上乗せをしているに過ぎないことから、これまで公金を取り扱っていた業務内容も含めて公務員に準じた仕事だったと言わざるを得ず、雇用主が変わるから不利益変更ではないとの見解は認められないこと。
 2点目、学校事務補助員の皆さんへの説明や理解という点で経過を見てみますと、昨年11月に市PTA連合会とともに学校長とPTA会長に説明が行われ、事務補助員の皆さんへ直接の説明会を行ったのは今年に入ってからの2月5日です。説明会において事務補助員の皆さんから、「大幅な給与の削減で生活できなくなる」、「雇い止めも可能となる安定した仕事ではなくなる」、「教育委員会は事務補助員が果たしてきた業務や役割を理解していないのではないか」などの声が出されたことは、いかに理解を得るための時間がなく拙速な対応だったのかを示すものであり、問題です。
 3点目、私どもは令和元年の会計年度任用職員制度が導入される際、年間200万円以下の官製ワーキングプアを生み出すものであると問題点を指摘しましたが、市議会においても不利益変更しないよう求める要望事項を委員会として付したことから賛成したという経緯があります。私どもとしては、今回の変更はこの要望事項に反するものであり、不利益が生じたまま拙速に変更するものではなく、是正を強く要請する立場から反対です。
 款教育費、項保健体育費、令和4年度学校給食業務委託については、自校方式校における学校給食調理の業務委託について継続分と新たに2校増やすため債務負担行為を設定するということですが、以下、理由を申し上げます。
 1点目、質疑で明らかになったように正規職員の調理員はこの5年間で14人減る中で、教育委員会は退職者補充は行わず、会計年度任用職員と業務委託の方向で対応するという姿勢です。会計年度任用職員をはじめ業務委託については官製ワーキングプアの問題も指摘されていることから、退職者の補充を行い、直営を守ってこそ働く方々の安定した雇用につながること。
 2点目、業務委託は栄養士が委託先の労働者を指揮命令すれば偽装請負となり、全国でも労働局から指摘されている事例が発生していることから、業務委託は給食調理業務の実情にそぐわないと考えます。栄養教諭と調理員がしっかり連携を取り、安心安全な給食の提供と学校給食法でも定められている食育の推進に当たることができるよう民間委託のこれ以上の拡大はやめ、直営を守るべきと考えること。
 以上のような事業が含まれることから、第133号議案については反対です。
 次に、第136号議案 令和4年度鹿児島市地域下水道事業特別会計予算について申し上げます。
 牟礼岡及び松陽台の両地域下水道施設については令和2年度から包括的民間委託方式を導入していますが、同方式の導入目的の1つであるコストの縮減になっておらず、従前のとおり市直営による管理体制の強化を図るべきと考えることから、同議案については反対です。
 次に、第140号議案 令和4年度鹿児島市後期高齢者医療特別会計予算について申し上げます。
 1点目、後期高齢者医療制度は、75歳以上という疾病リスクの最も高い年齢層だけで別の新しい医療保険制度をつくるという世界に類を見ない医療であることから、制度を廃止し、元の老人保健制度に戻すべきであること。
 2点目、令和4年度は2年に一度の保険料改定の年となっていますが、均等割が1,800円の引上げで5万5,100円から5万6,900円に、所得割が10.38%から0.5ポイント増えて10.88%になり、平均的な夫婦のモデルケースで試算すると年間3,500円の負担増となること。
 3点目、加えて今年10月からは窓口負担が1割から2割負担へと改悪され配慮措置があるとはいえ、例えば、4千円の窓口負担だった方が7千円になり、保険料と合わせて二重の負担増となり、年金は減り、コロナ禍で生活が厳しい中で高齢者の生活を圧迫することは避けられないこと。
 以上の理由から、同議案については反対です。
 次に、第141号議案 令和4年度鹿児島市母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計予算について申し上げます。
 これまで一般会計において滞納の債権回収を民間会社に委託していたものを、3年度は弁護士法人に委託するために債務負担行為が設定されていましたが、4年度からいよいよ弁護士法人の業務委託が始まります。弁護士法人に委託した場合には成功報酬に基づき債権回収が行われることになりますが、コロナ禍で生活に影響が出ている中で滞納している市民に対して生活への配慮や福祉につなぐなどの対応が行われるか懸念が残ることから、同議案について反対いたします。
 次に、第143号議案 令和4年度鹿児島市交通事業特別会計予算については改めて理由を申し上げます。
 1点目、これまで市民サービスや運転手の処遇の低下につながる懸念があると指摘してきた管理の受委託が令和4年度に更新され、継続されること。
 2点目、令和4年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響での利用者の激減による抜本的な経営の見直しが行われる予定であり、22路線、838本のうち5路線51本が減便、職員も約70人を削減する方向性が含まれた予算であること。
 3点目、併せて交通局が民間へ移譲した3年間は可能な限り維持するとされた路線の大幅な減便が4月から実施されます。コロナ禍による影響は交通局を含めて自助努力の限界を超えており、特別な事情であることは理解しますが、結果として減便という対応ではなく本市も直接補助などの財政支援で市民の交通権を守る対応をすべきだったこと。
 以上の3点の理由から、第143号議案については反対です。
 以上、10件の議案について反対する理由を申し上げ、日本共産党市議団を代表しての討論を終わります。(拍手)