◆(園山えり議員) 日本共産党市議団を代表いたしまして、ただいま上程されました30議案のうち、第78号議案 鹿児島市個人情報の保護に関する法律施行条例制定の件について、第80号議案 特別職の職員の給与に関する条例等一部改正の件について、第83号議案 令和4年度鹿児島市一般会計補正予算(第8号)、第86号議案 令和4年度鹿児島市交通事業特別会計補正予算(第3号)、第87号議案 令和4年度鹿児島市水道事業特別会計補正予算(第2号)、第89号議案 令和4年度鹿児島市船舶事業特別会計補正予算(第3号)、以上6議案について反対の立場から討論を行います。
 初めに、第78号議案 鹿児島市個人情報の保護に関する法律施行条例制定の件についてです。
 同条例制定は、令和5年4月から本市の個人情報の取扱いに係る基本的事項について、国の個人情報保護法が直接適用されることにより、本市の個人情報保護条例が廃止されるとともに個人情報保護審議会への諮問事項が変更されるため、新たな条例制定が行われるものですが、次のような理由から反対いたします。
 第1の理由は、今回の条例制定に当たり事前にパブリックコメントが実施されておらず、市民の意見が反映されていないからです。当局から実施しなかった理由として、本市の現行の個人情報保護制度の枠組みに大きな変更はないとの理由が示されましたが、本市の個人情報保護条例を廃止し、国の法律に一元化されることによって、市民の個人情報を今後国がどのように取り扱うことになるのかを説明する責務が本市にはあります。他都市においてもパブリックコメントを実施している自治体があることから、本市においてもパブリックコメントを実施し、市民への説明責任を果たすべきであったと考えること。
 第2の理由は、今回の条例制定によって、本市の個人情報保護審議会に対して要配慮個人情報及び個人情報の収集、目的外使用、外部提供等の可否を求める諮問事項がなくなり、同審議会の権限が縮小されることは本市の個人情報保護の後退につながるからです。当局は今後、個人情報に関する案件について、審議会に報告し意見を聞くとの見解を表明していますが、同審議会では審議会の権限の縮小は地方自治の拡大という観点から問題であるとの意見が出されていることから、同審議会の諮問事項を変更し、法的権限を縮小することは本市の個人情報保護の後退につながると考えます。
 第3の理由は、本市の個人情報保護条例が廃止され国の法律に一元化されることによって、今後は、外部の電子計算機との情報連携、オンライン結合を通じて市民の個人情報を匿名加工情報として民間等に提供し利活用できるようになるからです。下鶴市長は、市民の個人情報を匿名加工情報として今後、民間等に提供するのかのこの質問に対して、「個人情報の保護にも十分意を用いてまいりたい」と答弁されるのみで明言を避けられました。本市が保有する個人情報は、市民が申請届出に伴い提出した介護、子育て、教育、健康など、本市が公権力を行使して取得した多岐にわたる住民サービスに係る膨大な情報です。これらの情報を企業のビジネスのために提供していくことにつながる条例制定であること。
 第4の理由は、個人情報保護審議会の権限の縮小や役割が極めて限定されることです。例えば、今回、本会議でもただしましたが、自衛隊募集のために本市は18歳と22歳のおよそ1万2千人の若者の名簿を本人の同意なく渡すことについて当局は、法令に基づく名簿提供だから目的外使用には当たらない、本人への事前の同意も必要ないとの見解でしたが、自衛隊法等に名簿提供ができるという明確な規定はありません。また、防衛省や総務省からの通知はあくまでも解釈に過ぎないことから、福岡県小郡市のように審議会の答申を受けて名簿提供から閲覧対応に戻した自治体もあります。若者の個人情報の保護を慎重に考えるならば、自治体の判断で諮問することは可能だったわけですから、まずは同審議会に名簿提供の可否の判断を求めるべきであったと考えますが、個人情報保護法に一元化されれば諮問事項からも除外され諮問することができなくなり、審議会の権限が極めて縮小されてしまうこと。
 以上、4つの理由を申し上げ、第78号議案に反対いたします。
 次に、第80号議案 特別職の職員の給与に関する条例等一部改正の件については、令和4年人事院勧告を受け、市長、副市長、教育長、公営企業管理者、議員等の特別職の期末手当の支給割合を国の指定職職員に準じて、4年度12月期は0.05月、5年度以降は6月期及び12月期を0.025月引き上げるための条例改正議案であり、その12月期の期末手当の引上げ分が含まれております第83号議案、第86号議案、第87号議案、第89号議案について一括して反対する理由を申し上げます。
 なお、第85号議案 令和4年度鹿児島市病院事業特別会計補正予算(第1号)については、管理者の期末手当の引上げは現年度予算で対応されるため反対はいたしませんが、条例改正が実施されれば管理者への追加支給が行われるため問題であることは指摘いたします。
 まず、第1の理由は、条例改正により12月期の期末手当の引上げの対象となった特別職は市長や議員など53人であり、その引上げ分の総額は約230万円ですが、特別職の期末手当の引上げは国の指定職職員に準じて自動的に執行するのではなく、他都市でも実施されているように本市の特別職報酬等審議会に諮問し、市民への説明責任を果たすことが市民に開かれた市政であると考えること。
 第2の理由は、特別職の12月期の期末手当の引上げが実施される一方、市長部局等、各公営企業に在職する2,177人の会計年度任用職員の皆さんの期末手当は引き上げられることなく現行水準のまま据え置かれました。物価高騰の影響は会計年度任用職員の方々もひとしく受けていることから、私どもは会計年度任用職員の期末手当も引き上げる措置を講じるべきであったと考えること。
 以上、6つの議案に対する反対の理由を申し上げ、皆様の御賛同をお願いいたしまして、日本共産党市議団を代表しての討論を終わります。(拍手)