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たてやま清隆・討論 令和5年第3回定例会(9月) 09月15日-06号

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P.244 ◆質問 (たてやま清隆議員)
◆(たてやま清隆議員) 日本共産党市議団を代表して、決算議案を除く、ただいま上程されました11議案のうち、第28号議案 鹿児島市立喜入園条例廃止の件、第29号議案 財産処分の件、第37号議案 令和5年度鹿児島市一般会計補正予算第4号中、款財産収入、項財産売払収入、目不動産売払収入2億3,622万1千円、以上の3議案は、いずれも養護老人ホーム鹿児島市立喜入園の廃止による民間事業者への売却に伴う議案であり、反対する立場から討論を行います。
 これまで本市には市直営の養護老人ホームが2施設ありましたが、令和2年3月末をもって閉園したいしき園に続き、養護老人ホーム市立喜入園条例の廃止によって市直営の養護老人ホームがなくなり、来年度から本市は民間の事業者だけに依存することになります。当局は本会議で「民設民営方式にすることによって特にデメリットはない」と答弁されましたが、果たしてそうだと断定できるでしょうか。
 以下、3つの議案について一括して反対する3つの理由を申し上げます。
 まず、第1の理由を申し上げます。
 戦後の団塊世代が後期高齢者を迎える高齢化社会を目前にして養護老人ホーム等の高齢者福祉施設の充実が一層求められている今日の情勢の下で、養護老人ホームの措置権者でもある本市が施設の運営から撤退し、民間の事業者だけに依存していくことは介護福祉施設の充実や介護福祉サービスの維持と向上及び介護福祉労働者の労働条件改善を図る上で地方公共団体が果たしている積極的な役割を放棄することになります。したがって、本市自らが施設を維持することによって民間施設の質的な向上にも寄与すると考えることから、反対いたします。
 次に、第2の理由を申し上げます。
 令和6年度から始まる養護老人ホームの第9期鹿児島市高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画における目標量の設定に関して、本会議で市立喜入園の廃止に伴う民営化の影響についてただしましたところ、当局から現時点で民営化の影響はないとの答弁でしたが、果たしてそうだと断定できるでしょうか。第8期計画で定めた養護老人ホームの令和5年度の目標は、3施設、定員170人でしたが、県社会福祉事業団が経営する定員60人の谷山の慈眼寺寿光園が令和5年3月末をもって閉園しました。そのため、現在の本市の養護老人ホームは既に2施設、定員110人となっています。慈眼寺寿光園は閉園の理由について、建物の老朽化の進行や居室が狭く良質なサービスが提供できない、新たな入居者が見込めないからと本市に説明していますが、第8期計画を策定する際、慈眼寺寿光園の閉園を本市は想定していなかったと思います。全国老人福祉施設協議会が実施した養護老人ホームの令和3年度収支状況等調査結果では、51.6%の施設が赤字経営であると発表しており、経営困難な民間事業者の現状が明らかにされています。したがって、喜入園を廃止し、今後、2つの民間事業者に依存していくことによって、第9期計画では養護老人ホームの定員削減の方針が打ち出され、また、慈眼寺寿光園と同様に、将来経営が維持できない事態が生じることも懸念されることから、反対いたします。
 次に、第3の理由を申し上げます。
 本会議において、民設民営方式のメリットとして、より効率的な施設運営や入所者へのサービス向上が期待できると答弁されましたが、民間事業者が喜入園の入所者の定員を維持し、現在の職員体制を本当に継承していけるのかが問われています。
 喜入園は定員50人に対して直近の入所者は31人ですが、職員は定員に基づいて配置されています。施設長をはじめ、常勤職員は11人、そのほかに会計年度任用職員の支援員5人、調理員10人、夜間介護5人、合計31人が勤務しています。しかし、喜入園を廃止し売却するに当たり、本市と後継事業者との間で締結された基本協定の中で入所者の定員や職員体制の維持について確認は行われていません。本会議では後継事業者の今後3年間の事業計画においては入所者の増が見込まれるとの答弁が示されましたが、民間事業者にとって、入所者を確保し定員を充足させることは重要な課題であります。しかし、全国老人福祉施設協議会の令和3年3月の調査報告によると、37%の施設が定員を充足できない状況が続き、施設運営に支障、影響を来していると回答しています。その主な要因は、52%の民間事業者が「養護老人ホームの措置が適切に運用されていると思わないから」と回答し、その理由として、「措置入所の対象者の範囲が厳しく制限されているため」が44.4%と最も高く、次いで、「行政担当者が措置の必要な高齢者を把握していないため」が41.4%であり、その結果、38.1%の措置者、希望者がいないと言われるためとする理由につながっていると同協議会は分析しています。つまり、自治体当局による措置控え、すなわち養護老人ホームへの入所が適切と考えられる高齢者であっても、自治体の財政負担となる措置費より国・県負担のある他制度を利用した居宅等への紹介が優先され、施設の機能が十分に活用されないまま空床が放置された状態について問題が指摘されています。
 本会議では、「定員が充足されていないのは財政負担との関連ではなく新たな入所がある一方、長期入院や介護度の進行による他施設への転園などの退所があるため」と答弁されましたが、全国老施協の調査では、本市の65歳以上人口に占める養護老人ホーム入所者の措置率は、令和4年度、0.57パーミルであり、県平均の3.36、全国市町村平均の1.57をいずれも下回っていることから、民間事業者と当局との間には措置の在り方をめぐって認識の隔たりがあります。したがって、養護老人ホームの措置権者としての責務を本市が果たさなければ、喜入園の事業を継承する民間事業者が入所者の定員や職員の削減を余儀なくされることによって入所者へのサービスの低下を招く懸念があることから、反対いたします。
 以上、第28号議案、第29号議案、第37号議案は、低所得で、かつ様々な生活課題を抱える高齢者の生活支援施設として、養護老人ホームが果たすべき生活困窮高齢者の最後のセーフティーネットの役割を質・量ともに後退させる懸念があることから、反対を表明しますとともに、皆様の御賛同をお願いして、日本共産党市議団を代表しての討論を終わります。(拍手)

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