◆(園山えり議員) 日本共産党市議団の一人として個人質疑を行います。
 まず、最初の質問は、川内原発についてお聞きします。
 私は、日本共産党が発行する「しんぶん赤旗」の鹿児島県の記者として、この間、九電や県知事、立地自治体の議会などを取材してまいりました。また、福島原発事故後、毎週金曜日に、原発を廃炉にしようと県内各地の人たち、官邸前で行動する人たちと連帯し、行動にも参加してまいりました。
 二〇一四年十一月に急遽開かれたわずか三日間の鹿児島県議会の臨時会では、多くの県民が議場の内外に傍聴に詰めかけ、反対の声を上げましたが、再稼働に突き進む県議は誰一人として賛成討論もせず、数の力で再稼働に同意しました。知事は、「やむを得ない、もし福島みたいなことが起きても、もう命の問題なんか発生しない」と発言し、県内外から大きな批判の声が上がりました。
 そして、九電は、昨年八月に川内原発一号機、十月に二号機を再稼働し、今も全国で唯一動いているのが川内原発です。九電は、重大な事故が起きた際に拠点となる免震重要棟の建設計画を再稼働した直後の十二月に撤回しました。免震棟は、福島原発事故で大変重要な役割を果たしたと言われています。地域住民や周辺自治体には免震棟を建設すると説明し、原子力規制委員会に許可されておきながら、住民を欺く九電の姿勢を許すことはできません。今回の熊本地震で原発周辺の薩摩川内市の高江では、震度四から五弱という大きな揺れを観測しています。
 私ども日本共産党は、熊本地震の本震が起きた四月十六日に、県知事と九州電力に緊急の申し入れをし、川内原発は今すぐストップし、直ちに点検すること、余震が続く中での再稼働はしないこと、そのまま廃炉をと求めました。
 そこで、市長の政治姿勢についてお聞きします。
 質問の一点目、熊本地震で原発周辺が震度四から震度五弱に見舞われ、大きな余震が続く中、原発の即時停止、点検、廃炉を求めるべきと考えますが、市長の見解を求めます。
 質問の二点目、原発から三十キロ圏内に入る自治体で六十万市民の命を預かる市長として、これまでの県の原発政策についてどのような評価をしておられるのか。また、県知事候補に求める政策をお示しください。
 以上、答弁願います。
   [市長 森 博幸君 登壇]
◎市長(森博幸君) 園山えり議員にお答えをいたします。
 今回の熊本地震における川内原発への影響につきまして、原子力規制委員会は、観測された最大の揺れが原子炉を自動停止させる設定値に比べて小さいものであることから、現状において停止する必要はないとの見解を示しているところでございます。今後とも、同委員会には引き続き、地震による影響を厳しく監視し、適切に指導していただきたいと考えております。
 私は、これまでも申し上げてきましたとおり、原発は住民の安全性を確保することが最優先されるべきであると考えておりまして、今後の県政を担っていただく方においても、県民の安心安全を守るための対策を推進していただきたいと考えております。
   [園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
 本市においては、三十キロ圏内に郡山が入りますが、一たび原発事故が起きれば、放射性物質が広範囲に拡散し、三十キロ圏内にとどまることはあり得ません。福島の被害状況を見れば明らかです。
 私は、昨年五月に福島県の双葉町、大熊町、楢葉町などに視察に伺いました。汚染された土が仮置き場になった田んぼや畑に山積みにされ、国道沿いの帰還困難区域は人の出入りができないように蛇腹式の柵が張りめぐらされていました。
 いわき市の仮設住宅で避難生活を送られている住民の方々にお話を伺いましたが、私が鹿児島から来ましたと話すと、「川内原発を再稼働するなら、避難計画ではなく移住計画が必要ですよ」と言われました。今もふるさとに帰れずに、多くの方々が避難生活、移住生活を強いられています。それくらい取り返しのつかない事態になるということです。
 今回は、緊急停止するほどの揺れではなく、原発を停止させることはないとの認識でしたが、東日本大震災も熊本地震も誰が予測できたでしょうか。そのとき稼働していたために、今でも事故を収束することができない福島原発の現状があります。住民の不安に応え、原発は今すぐ停止し、少なくとも余震が続いている間は運転を再開しないよう要請するべきだと強く申し上げます。
 市長には、六十万市民の命を守るために、知事候補に川内原発を直ちにとめるよう求めていただきたい。そのことを強く要請いたしまして、この質問を終わります。
 新しい質問に入ります。
 女性の働く環境についてです。
 ことしの二月、保育園に落ちた保護者が、「見事に保育園落ちた。一億総活躍社会ではないのか。私、活躍できないじゃないか」と書き込んだブログが大きな社会問題となりました。職場復帰できない不安や怒りを表現した率直な気持ちだと私は思います。
 さらに、年収二百万円以下のワーキングプア、最近では年収が百十四万円以下の貧困女子と呼ばれる若い単身女性が深刻な問題となり、貧困と格差は広がるばかりです。職場での妊娠や出産、育児休業を理由に精神的、肉体的な嫌がらせを受けたり、退職や降格などを迫られるマタニティハラスメント、いわゆるマタハラや職場での暴言や無視などのいじめ、いわゆるパワハラも大きな社会問題と発展しています。私も働く女性として、一人一人の女性が安心して働き続けられるよう環境の整備を求める立場で、以下質問してまいります。
 質問の一点目、ことし二月、国連女子差別撤廃委員会は、女子差別撤廃条約に基づき、日本政府の女性差別解決の取り組みについて検討を行い、日本についての総括所見として評価と勧告をまとめています。
 そこでお聞きいたします。
 日本においての総括所見の主な勧告の内容をお示しください。
 以上、答弁願います。
◎市民局長(中薗正人君) お答えいたします。
 勧告の主な内容は、女性の婚姻最低年齢の引き上げや婚姻前の氏の保持、男女の伝統的役割を強化する社会的規範を変えること、DVなど女性に対する暴力対策の強化、男女の賃金格差の縮小や職場におけるセクハラの抑止などでございます。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
 日本は、男女で大きく広がっている賃金格差、女性の管理職への登用、マタハラやセクハラ、非正規雇用などの雇用の平等、暴力や貧困の解決などに努力するよう国連から繰り返し勧告されています。これが安倍政権がうたう「すべての女性が輝く社会」の実態なのではないでしょうか。
 質問の二点目、働いている女性の環境の実態をお聞きします。
 女性の就業率と労働者の中で派遣やパートなど非正規雇用で働く女性の割合。
 男女別の平均年収と年収二百万円以下の労働者、ワーキングプアの人数とその中で女性が占める割合をお示しください。
 また、労働局などに寄せられたマタハラやパワハラの相談件数をお示しください。
 以上、答弁願います。
◎産業局長(山下正昭君) お答えいたします。
 国の労働力調査によりますと、平成二十七年度の女性の就業率は四八・〇%、女性労働者の非正規雇用の割合は五六・三%となっております。
 次に、国の民間給与実態統計調査によりますと、平成二十六年分の平均給与は、男性五百十四万四千円、女性二百七十二万二千円、年間給与が二百万円以下の人数は、男性三百一万三千人、女性八百三十七万八千人で女性の割合は七三・五%となっております。
 また、国によりますと、平成二十七年度のマタニティハラスメント及びパワーハラスメントの相談件数は、それぞれ四千二百六十九件、六万六千五百六十六件となっております。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
 女性の収入は男性のわずか半分にしか満たず、ワーキングプアの実に七割以上を女性が占め、不安定雇用や賃金格差が深刻です。マタハラやパワハラについては、お示しいただいた相談件数は過去最高に上っていることを指摘させていただきます。結婚や出産などで離職に追い込まれる労働環境の悪化は看過できません。
 質問の三点目、女性が安心して働くことができる子育て環境についてお聞きします。
 本市が行った直近の男女共同参画に関する市民意識調査で、女性が働きにくいと思う主な理由は何でしょうか。上位の理由とそれぞれの割合をお示しください。
 以上、答弁願います。
◎市民局長(中薗正人君) 平成二十七年九月に実施した市民意識調査中、女性が働きにくいと思う理由についてですが、三つまで回答いただいた中で、「女性が働きやすい労働条件・環境が整っていない」が六一・五%、「育児施設・サービスが十分でない」が四九・六%、「働く場が限られている」が二六・九%となっております。
   [園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
 育児施設・サービスが十分でないとの理由は五割に上ることが示されました。私のもとにも若いお母さんから、就職試験で最終面接までいったのに、子供を保育所に預けることができずに落ちたという深刻な相談が寄せられました。
 本市においては、保育所等整備計画に現在取り組まれているということですが、まず、直近の保育所の待機児童数とこの計画がつくられる前の平成二十六年の待機児童数を比較し、その数をお示しください。
 また、待機児童がふえるその主な要因とこれまでの対策と課題をどう捉えておられるのかお示しください。
 以上、答弁願います。
◎健康福祉局長(上之園彰君) お答えいたします。
 保育所等における待機児童数は、本年四月一日現在百五十一人で、二十六年同期と比べ百四人の増となっております。
 主な要因としましては、女性の社会進出などに伴う保育需要の高まりのほか、特定の保育所等への利用の集中や保育士の不足等により、利用定員を超えた受け入れなどが困難になっていることが考えられるところでございます。
 また、これまでこうした課題の解消に向け、新設保育所の整備や幼保連携型認定こども園の創設等による定員拡大に努めるとともに、保育士の安定的な確保対策など、ハード・ソフト両面から積極的に待機児童対策に取り組んでいるところでございます。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
 計画前と比較し、計画に取り組んできた現在、待機児童が百四人ふえたことが明らかになりました。保育所を整備し新たな定員がふえれば、働くことを諦めていた、もしくはためらっていたお母さんたちが、私も預けて働きに出ようとなるのではないでしょうか。
 それでは、本市の保育所等整備計画上での平成二十九年度以降の整備数をお答えください。
 以上、答弁願います。
◎健康福祉局長(上之園彰君) 保育所等の整備計画につきましては、国の待機児童解消加速化プランに合わせて、計画を前倒しして二十八年度までの整備目標値を定め、保育需要の多い地域を重点に整備を進めているところでございます。
 二十九年度以降の整備につきましては、待機児童の状況等を踏まえる中で、必要に応じて整備計画の見直しなどを検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
 二十七年度から三十一年度までの本市の保育所整備計画は、前倒しされているとはいえ、計画を見ますと、平成二十九年度以降の整備数は明らかにされていません。安心の子育て環境をつくる上で基盤とも言える保育所の増設が緊急の課題であることは明らかです。産休や育休から安心して職場復帰でき、お母さんが保活に奔走することなく保育所に預けられるよう、直ちに計画の見直しを検討していただき、待機児童解消に取り組んでいただくよう強く要請いたします。
 女性の働く環境について質問の四点目、本市の職員についてお尋ねいたします。
 女性職員の数と管理職に当たる課長級以上の女性の割合をお示しください。
 また、女性管理職の登用について、本市の基本的な考え方とこれまでの取り組みをお示しください。
 以上、答弁願います。
◎総務局長(松永範芳君) お答えいたします。
 市長事務部局等、教育委員会、消防局及び四企業を含めた本市の女性職員数を一括して申し上げますと、本年四月一日現在、一千七百七十八人で、主幹以上の管理職に占める割合は一〇・一%でございます。
 管理職登用に当たっては、性別にとらわれることなく、能力や人格、識見など各面から総合的に判断してきているところであり、これまで職責に応じた各種研修を実施するなど、職務能力の向上を図ってきたところでございます。
 また、今般、いわゆる女性活躍推進法が施行されたことに伴い、市長事務部局等の管理職に占める女性の割合を平成三十二年度までに一八%とする数値目標を定めたところであり、能力主義や適材適所を基本としつつ、これまで以上に女性職員の積極的な登用を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
 本市の管理職の割合は一〇%にすぎないことがわかりました。私も独自に政務調査課を通じて調査を行ったところ、中核市の中には、豊中市の二七%を初め、本市の倍に当たる二〇%を超える自治体が六つあることがわかりました。また、本市は、回答のあった四十六の中核市中二十五番目でした。今回、目標を設置されるということです。ぜひ全力で取り組んでいただきたいと考えます。
 次に、本市の男女共同参画に関する市民意識調査について、政策の企画や方針決定の過程に女性が進出していない理由で最も回答が多かったものをお答えください。
 また、そのことに対し、当局が改善に必要だと考える課題をお示しください。
 以上、答弁願います。
◎総務局長(松永範芳君) 女性職員が今後さらにその能力を発揮し、活躍していくためには、さまざまな研修の充実等により、職員自身が知識を高め経験を積むとともに、より働きやすい環境となるようワークライフバランスの実現に向けた一層の取り組みが必要となるものと考えております。
 以上でございます。
◎市民局長(中薗正人君) おただしの項目で最も多かった回答は、「男性中心の組織運営」で六二・七%となっております。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
 男性中心の組織運営という回答が一番多かったということです。本市もはっとさせられたのではないでしょうか。ぜひ、この声を真摯に受けとめ、当局はその改善の先頭に立っていただきたいと強く要請いたします。
 この質問の最後に、本市の第二次鹿児島市男女共同参画計画は、今年度見直しが図られるようですが、女性の働く環境や子育て支援などの課題を早急に解決する具体的な施策を講じるべきだと考えるものですが、当局の見解をお示しください。
 以上、答弁願います。
◎市民局長(中薗正人君) 第二次鹿児島市男女共同参画計画の見直しにつきましては、国の第四次男女共同参画基本計画や市民意識調査、市民の皆様の御意見を踏まえるとともに、二十七年に制定された女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の内容を盛り込んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
 男女差別、不安定雇用や低賃金、妊娠や出産による解雇や離職、保育所不足など、女性が安心して社会で働き続けることを阻んでいる幾つもの課題を解決することは急務だと思います。女性の活躍の場を保障するためにも、計画の見直しをしていただき、具体的な施策を講じていただきますよう強く要請し、この質問を終わります。
 新しい質問に入ります。
 大学を卒業後、借りた奨学金が返せなくなり、自己破産に追い込まれる、低所得のため奨学金の返済に立ち行かなくなった女性が性風俗で働きながら奨学金への返済に充てているなど大変衝撃的なニュースが飛び交い、利用者たちを苦しめる奨学金制度が大きな社会問題となっています。
 学生の学ぶ環境を整えることは緊急の課題です。また、深刻になっている貧困の連鎖を断ち切ることにもつながる奨学金制度の充実を求める立場から、以下質問を行います。
 質問の一点目、奨学金制度について、本市の基本的な考え方と利用者を取り巻く環境についての認識をお聞かせください。
 以上、答弁願います。
◎教育長(杉元羊一君) お答えします。
 奨学金制度につきましては、経済的に困難な状況にある学生等の勉学の継続や生活を支える大切な制度であると認識しております。近年、滞納者数及び滞納額は増加傾向にあり、利用者の収入減や借入金があり余裕がないなどの声も聞かれ、返還に苦慮している実態があることを認識しているところでございます。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
 お示しいただいたように、奨学金制度は、学ぶ意欲があり、学力や能力を備えているにもかかわらず、経済的な理由により修学困難である学生に対し、学費や生活費の援助をするというのが本来の目的であるはずです。ところがその実態は、当局も認識されているとおり、返還に大変苦慮している利用者が多いことが実態です。
 日本学生支援機構では、その七割が有利子の奨学金です。本来、無利子で運営されなければならない奨学金が、多い人で年利三%の利子までついて、もはや教育ローンと化しています。
 例えば、奨学生の平均額三百万円を借りたとして、八十五万円もの利子がのしかかってきます。滞納すると五%の延滞金が発生し、滞納が三カ月間続けばブラックリストに載せられてしまいます。
 私自身も学生のころ、毎月六万円の奨学金とアルバイトで学生生活を送りました。大学を卒業してから約三百万円の返済に追われ、全て返済し終えたのは昨年のことです。十六年間奨学金の返済に追われたわけですが、四月の市議選で、私は、学びたいと願う全ての学生さんが安心して勉強に励むことができるよう、返す必要のない給付型奨学金の創設をと訴えてまいりました。
 先進国で日本ほどの高学費・低補助という国はほかにありません。政府は、これらの問題は据え置いたまま、利用者を苦しめる有利子奨学金の拡大路線に走り、若者たちにさらなる借金を背負わせているのです。
 質問の二点目、利用者の実態はどうなっているか伺ってまいります。
 まず、全国の奨学金制度を利用している学生は何人で、その割合はどれくらいに上るのかお示しください。
 また、日本学生支援機構の利用者数と奨学金を滞納している人数と滞納額をお示しください。
 以上、答弁願います。
◎教育長(杉元羊一君) 平成二十五年度の奨学事業に関する実態調査と学校基本調査により、奨学金制度を利用する学生数、全学生数に対するその割合を順に申し上げますと、大学生、約百十万九千人、四三・三%、大学院生、約十万人、三九・一%、短大生、約六万六千人、四七・六%となっております。
 次に、平成二十六年度末の同機構の奨学金の利用者数及び三カ月以上の滞納者数、滞納額を順に申し上げますと、約百三十三万六千人、約十七万三千人、約二千四百九十一億円となっております。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
 半数近い大変多くの学生が奨学金制度を利用していることが明らかになりました。ところが、滞納者は十七万人に上っています。
 私はこれまで、卒業してから低所得で返済に苦しむ若い人たちの声をたくさん聞いてまいりました。市内の飲食店で働く三十代の女性は、高校、大学ともに奨学金を借りました。兄弟が多かったので全員が高校生から奨学金に頼らざるを得ない状況でした。正社員、その後、アルバイトなどの不安定雇用となりながら、月に約二万円を返済してきたと言いますが、彼女は、「返し始めたら後に引けない、病気にもなれない、四十近くまで返し続けなければならないのか、これでは貯金もできない」と話しています。四十代の男性は、子育て中ですが、二十五年前に借りた奨学金返済に追われています。有利子奨学金だったため、利子分と滞納した際の延滞金も上乗せされているということです。あと五年もしたら子供は高校生です。親子二代で奨学金に頼ることになりそうだと嘆いていました。
 質問の三点目、鹿児島県と本市の奨学金制度の現状についてお尋ねいたします。
 本年度から始まった県の奨学金返済支援制度はどのようなものか概要をお示しください。
 また、本市の奨学金制度の対象や貸与額などの要件を改めてお示しください。経済的な理由で返済が困難な場合、救済措置はあるのか。利用者数と滞納額をお示しください。
 そして、当局が認識しておられる今後の課題や問題点をお示しください。
 以上、答弁願います。
◎教育長(杉元羊一君) 県の奨学金返還支援制度につきましては、日本学生支援機構の無利子奨学金等を借りた者が大学等を卒業後に県内で就業した場合、借り受けた奨学金の返還を支援するもので、大学入学予定者や大学卒業予定者など県全体で毎年百人が募集されることとなっております。
 次に、本市の奨学金制度につきましては、市内に居住する高校生等を対象に、所属する世帯が一定の所得要件を満たす場合、月額で公立一万八千円、私立三万円を貸与しております。また、大学在学中や疾病等で返還が困難となったときに返還を猶予する制度などがございます。
 次に、平成二十六年度の貸与者数は百十五人となっております。また、これまでの滞納額は二十六年度末で七千九百五十六万三千円でございます。
 次に、今後の課題としましては、広報等に努めながら事業を推進するとともに、滞納額が年々増加してきていることから、返還能力がある人からは着実に回収を行い、基金の減少を防ぐなど安定的な運営を維持していくことでございます。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
 県の返済支援制度は、県内で働き、正規雇用であることなど条件つきのもので給付型とは言えないものです。本市の制度は、貸与型で対象が高校生に限定され、大学生などの学生向けの奨学金制度はまだ整備されていないということでした。また、返済について、収入が少ない人には返還期間を猶予する制度があるということでしたが、経済的に困難な利用者には返済額を減免するなどの救済措置も今後必要だということを指摘させていただきます。
 質問の四点目、県も本市もまだまだ十分な奨学金制度と言えないと考えますが、それでは、他都市の取り組みはどうなっているのか伺ってまいります。
 まず、中核市で給付型奨学金に取り組んでいる自治体数と具体例。
 そして、県内で給付型奨学金に取り組んでいる自治体と具体例。
 また、中核市で大学生までを対象にしている自治体数をそれぞれお示しください。
 以上、答弁願います。
◎教育長(杉元羊一君) 他都市の状況を現時点で把握しているところで申し上げますと、給付型奨学金制度を設けている中核市は、郡山市や豊田市など十三の市で、その内容としましては、所得や成績等の要件を満たす場合に、高校生で月額五千円から一万円程度、大学生で月額八千円から四万円程度の給付を行っているなどでございます。
 また、県内においては、指宿市と薩摩川内市の二市が実施しており、その内容としましては、高校生を対象に所得要件等を満たす場合に、月額で指宿市が五千円、薩摩川内市が一万円の給付を行っているところでございます。
 次に、大学生を対象とする奨学金制度を設けている中核市は、宇都宮市、松山市など二十一の市でございます。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
 十三の中核市で給付型の奨学金制度に取り組んでいること、県内では薩摩川内市や指宿市が独自の給付型に取り組んでいること、また、貸与型、給付型合わせ、大学生までを対象に取り組んでいる中核市は二十一あることがわかりました。他都市でも独自の予算を組んで給付型や大学生までを対象とした奨学金に取り組んでいます。
 この質問の最後に、私は、高校や大学などに通う全ての学生が経済的な理由で学ぶことを諦めないように、本市の現行制度の対象をまずは大学生まで引き上げることや市独自の給付型奨学金制度に今こそ取り組むべきと考えますが、考えをお示しください。
 以上、答弁願います。
◎教育長(杉元羊一君) 大学生を対象とした奨学金制度につきましては、国において無利子奨学金の貸与人数の増など制度拡充に取り組んでいるほか、本市でも県が所管する奨学金返還支援基金への出捐を予定しており、新たな制度創設は考えていないところでございます。
 また、給付型奨学金制度につきましては、財源などの課題もあり、現在、各面から研究しているところでございます。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
 憲法では教育を受ける権利を保障しています。教育基本法には、「国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。」と明記されています。
 安倍政権は、野党の追及に押されて給付型奨学金の創設を検討すると表明しましたが、財源がないとして具体的な時期は明らかにせず、奨学金返済に苦しむ若者やお金の心配なく安心して学びたいと願う学生に背を向ける姿勢です。社会人としてのスタートが、借金地獄のスタートとなってしまう貸与型奨学金から一刻も早く給付型とするべきです。今こそ市独自の返す必要のない高校生、大学生など学生向けの給付型奨学金を創設していただくよう当局に強く要請し、この質問を終わります。
 最後の質問に入ります。
 三年前に発生した唐湊の火災現場について、地域住民の方々から御相談を受けましたので、本市の早急な対応を求める立場から、以下伺ってまいります。
 この現場は、火災が起きてから三年もの間、柱や家財道具などが手つかずのまま放置され、近隣住民の方々が大変困っておられるものです。
 質問の一点目、火災が発生してからのこの間の経緯をお示しください。また、当局が把握している現場の実態や周辺住民への被害、解体されず放置されたままになっている理由をお示しください。
 以上、答弁願います。
◎建設局長(鮫島健二郎君) お答えいたします。
 当該空き家については、平成二十五年二月末に火災により全焼し、所有者による解体がなされないまま放置されている状況であり、外壁落下などの保安上の問題や害虫の発生、草木の繁茂などの衛生上の問題が発生しているところでございます。放置については、経済的な理由によるものではないかと考えております。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
 火災が起きてから解体されないまま放置されてきたとの状況をお示しいただきました。所有者の経済的な理由で解体ができないということも示されました。私も現場に何度も足を運び、当局とも解決に向けて相談してまいりました。住民の方々は、自分たちにできることはないかと近隣住民や町内会などとも協力し、関係する担当課に改善のために申し入れや要望もしてこられました。この現場は車も入ることができないほど狭い路地で、住宅が密集しており、ネズミやシロアリなどの害虫が発生し、住み着いた野良猫のふん尿被害、生い茂った草木が道にはみ出し、とりわけ雨上がりなどには特有の悪臭がするなど、衛生的にも深刻な影響を及ぼしています。隣に住む方からは、シロアリ被害が及び業者によるシロアリ駆除を二回もせざるを得ない状況だったという話もお聞きしています。かろうじて立っている壁や柱は、今にも隣の家に崩れそうな状況でしたが、つい先日、外壁が崩れてきたということで、一刻も早い解決が求められています。
 熊本地震が起きたことしの四月、鹿児島でも大きな揺れに見舞われましたが、住民の皆さんは、「崩れてくるのではないか不安だった」、「梅雨の大雨も台風もますます心配だ」という不安をお持ちです。
 質問の二点目、火災で焼失しているとはいえ、空き家を適正に管理していく上でどのような対策や解決法があるのかをお聞きいたします。
 まず、空家対策特別措置法及び本市の空き家等の適正管理に関する条例の概要と法律及び条例に基づく本市におけるこれまでの具体的な対応をお示しください。
 以上、答弁願います。
◎建設局長(鮫島健二郎君) 私のほうで一括して答弁させていただきます。
 空家法では、管理不全な空き家等に対する指導の実施などが規定されており、条例では、管理不全な住家等や空き地に対する指導などの実施のほか、所有者不明の空き家等に対し、本市が飛散防止ネットの設置などを行う応急危険回避措置などが規定されております。
 空き家等への指導については、二十七年度末で空き家等と住家等について四百四十六件の指導などを行い、解体や応急対応などにより二百一件が改善されており、また、空き地については四百六十一件の指導などを行い、樹木の撤去などにより三百六件が改善されております。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
 空き家については、四百四十六件中二百一件が指導の結果、改善が図られたということでしたが、半数以上は改善が図られていないということです。
 では、空家対策特別措置法における特定空き家等の定義と当該物件はこれに当たるのか。当該物件への適用とどのような対応を行ってきたのかをお示しください。
 以上、答弁願います。
◎建設局長(鮫島健二郎君) 特定空き家等は、倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態や著しく衛生上有害となるおそれのある状態の空き家等と定義されており、当該空き家については、特定空き家等と判断して指導を行っているところでございます。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
 当該物件は、保安上危険で衛生上も有害となるおそれがあるということで、特定空き家と位置づけ、助言・指導されてきたということでした。これまでも当局と地域住民を含めて相談してまいりましたが、所有者が明らかになっているといっても、なかなか改善が見られない状況に不安が広がっています。
 質問の三点目、当該物件に対する一刻も早い対応についてお聞きします。
 まず、市として、住民の安心安全を守る立場から応急的な何か手だてや対策はとれないのでしょうか。まず、条例に基づく応急危険回避措置の要件とこれまでの実績、具体例をお示しください。
 また、倒壊の危険性や衛生上も深刻な被害が出ていますので、防護ネットを張ることや草木の刈り取り、ごみの片づけなど、緊急対策として応急危険回避措置を行うべきと考えますが、見解をお示しください。
 以上、答弁願います。
◎建設局長(鮫島健二郎君) 応急危険回避措置については、空き家等の所有者などが不明で、道路や公園などの公共の場に及ぼす危険性が高い場合に最低限の措置が行えることとなっております。実績は二十七年度に、公道への倒壊を防ぐために大型土のうを設置した事例が一件ございます。
 当該空き家については所有者が判明しており、応急危険回避措置の対象とならないところですが、所有者から改善の意思が示されていることから、現在、解体に向けて協議を進めているところでございます。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
 所有者が明らかな場合、応急危険回避措置の対象とならないとのことでした。住民の方々はこの三年間、不安な思いを抱えながら毎日暮らしてきました。今後、所有者の改善が見られない場合には緊急の応急措置を検討すべきではないでしょうか。所有者からの改善の意思が今はあるとのことですので、住民の被害状況や要望をしっかり伝えていただき、解決を図っていただきたいと思います。
 最後に、近隣住民の安心安全を守るためにも、早急な解体撤去を願う住民の声に耳を傾けていただき、当局としても最善を尽くしていただきますよう改めて強く要望いたします。
 次の質問は割愛させていただきます。
 以上で、私の個人質疑の全てを終了いたします。