◆(たてやま清隆議員) 日本共産党市議団を代表して、決算議案十五件中第二八号議案 平成二十八年度鹿児島市一般会計歳入歳出決算、第三四号議案 平成二十八年度鹿児島市介護保険特別会計歳入歳出決算、第三五号議案 平成二十八年度鹿児島市後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算、第三七号議案 平成二十八年度鹿児島市病院事業特別会計決算について議会の認定を求める件、第三八号議案 平成二十八年度鹿児島市交通事業剰余金処分についての議会の議決及び平成二十八年度鹿児島市交通事業特別会計決算についての議会の認定を求める件、第三九号議案 平成二十八年度鹿児島市水道事業剰余金処分についての議会の議決及び平成二十八年度鹿児島市水道事業特別会計決算についての議会の認定を求める件、第四二号議案 平成二十八年度鹿児島市船舶事業特別会計決算について議会の認定を求める件の七件の議案についての認定及び議決に反対する立場から討論を行います。
まず、第二八号議案 平成二十八年度鹿児島市一般会計歳入歳出決算につきましては、こども医療費助成事業の中学校卒業までの拡充や保育園、幼稚園保育料の多子世帯への負担軽減、未婚のひとり親家庭に対するみなし寡婦(夫)控除の適用実施、マリンポートかごしま、いわゆる人工島建設事業の負担金が計上されなかったことなど、評価できる部分もありますが、決算を通じて市民負担増やサービスの低下につながっている事業が含まれることから認めることができません。
以下、理由を申し上げます。
まず、これまでも問題点を指摘してきた社会保障・税番号制度にかかわる款総務費、項総務管理費、目一般管理費の社会保障・税番号制度システム構築事業、項住民基本台帳費、目住民基本台帳費の住民基本台帳ネットワークシステム運用経費、コンビニ交付による証明発行事業、個人番号カード交付事業及び緊急事態に市民と行政を総動員する項総務管理費、目交通防災費の国民保護法制関連事業、地対財特法失効後も続けられている目人権啓発費の同和対策助成事業、PFIの検証や技術の確立がされていない中、DBO方式で進められている款衛生費、項清掃費、目清掃工場費の南部清掃工場ごみ焼却施設・バイオガス施設整備事業、委託によって本来の学校給食のあり方が問われている款教育費、項保健体育費、目保健体育指導費の学校給食業務委託事業、事業終了までバリュー・フォー・マネーを検証できない目体育施設費の新鴨池公園水泳プール整備・運営事業が依然として続けられており、認めることができません。
次に、平成二十八年度の特徴的な要素を申し上げます。
議員、市長、副市長などの特別職の報酬について、その活動に市民からも厳しい目が向けられているもとで期末手当が人事院勧告そのままに、特別職報酬等審議会を開かずに一・六五カ月分から一・七五カ月分に引き上げられたこと。また、各公営企業管理者の報酬についても期末手当の引き上げが行われており、その影響が含まれる第三七号議案、第三八号議案、第三九号議案、第四二号議案の公営企業決算についても認定及び議決に反対です。
款総務費、項総務管理費、目一般管理費の行政不服審査制度四万一千八百五十円については、行政不服審査法の全部改正によって異議申し立てを廃止し、審査請求に一元化した新しい制度ですが、一点目、二十八年度は三件の不服審査請求が出たものの、二件は市民みずからが取り下げをされており、審査会を六回開催する見込みだったものが一回しか開かれなかったことからも、市民の権利救済の拡充や公平・公正な審査につながっているとは言いがたく、当局としては理由なども調査し、ハードルが高くなることなく公平・公正な制度とするために一層の努力が必要であること。
二点目、行政不服審査会については、市行政を含む不服審査にもかかわらず、委員は、市の職員、市長の任命であることから、市民の立場に立った公平性を確保できるのかが疑問であること。
次に、款民生費、項高齢者福祉費、目高齢者福祉総務費の高齢者福祉センター等管理運営・施設整備事業二億七千二百十三万九千九百二十九円並びに款衛生費、項保健衛生費、目健康保健総務費の健康増進施設管理運営事業におけるさくらじま白浜温泉センター、マリンピア喜入、スパランド裸・楽・良、款商工費、項商工費、目観光費の桜島マグマ温泉、款教育費、項保健体育費、目体育施設費の松元平野岡体育館での浴室使用料の新設、引き上げの影響について、以下申し上げます。
一点目、高齢者福祉センターにおいては、平成二十七年度と比較して利用者が十三万二千二百五十四人減少し、そのうち十一万八千二百八十六人は浴室の利用者でした。これは当局が想定する一割の減少をはるかに超える三割の減少となっており、市民の理解を得たとは到底言いがたいこと。
二点目、今後、高齢化社会を迎えるとともに、国保や介護等でも医療費やサービスの抑制のために元気な高齢者には元気で過ごしていただく予防や健康づくりが課題となっているにもかかわらず、浴室使用料等の新設、値上げによってサービスを抑制することは、高齢者福祉センターの設置条例などの目的を損なっていること。
三点目、今回の浴室使用料の新設や値上げは、センター等の維持管理費に充てるということでしたが、平成五年から設置された高齢者福祉施設管理基金は、毎年一億円を取り崩してセンターの維持管理に充てられています。残高は約五十九億円であり、あと五十九年は支出することのできる財源があり、財源を市民に求める理由にはなりません。
以上のことからも、一刻も早くもとの無料に戻すことが求められていることから認めることができません。
款農林水産業費、項農業費、目農業委員会費一億九千四百三十三万三千七百三十三円については、農業委員会の公選制を廃止して市長の任命制にする新制度のもとでそのあり方が大きく転換することになりましたので、認められない理由を以下申し上げます。
一点目、本市の農業委員会は、これまでも計画と目標に即して農地法等に基づく現地調査や農地パトロール等を着実に取り組んでこられました。農業委員が公選制のもとで農業者から選ばれた代表として信任を得ているからこそ、農地の利用調整に関与し、農地を守る視点に立った業務を進めてくることができたと思いますが、二十八年度、公選制が廃止されたことは、農業委員会の活動を正当に評価している改正とは言えないこと。
二点目、農業委員会の定数は四十一人から十九人と半減し、振興部会、農地部会を一元化、これまで担ってきた農地パトロールや流動化対策は、農地利用最適化推進委員十八人が中心に行うことになりました。しかしながら、その報酬は半減し、実績報酬は全体で年間二十七万三千円となっており、不公平感は否めません。また、定数も国の基準は百ヘクタールに一人であり、本市は大きく下回っています。業務の分離や定数削減ではなく、今こそ体制の強化が求められていること。歳入一括の地方交付税について、平成二十八年度は国が示すトップランナー方式の影響による減少が含まれていることから認めることができません。
以下、理由を申し上げます。
一点目、トップランナー方式とは、国が定めた十六業務について業務委託の達成状況で地方交付税が増減する仕組みであり、財政調整や財源補完の機能を逆手にとって自治体の業務委託を促すことになることから、地方固有の財源になじまない制度であること。
二点目、国・県がその積算根拠を示さないことから、当局も影響があると認識しながらも額はわからないとのことですが、決して少なくない影響を受けています。必要な財源の確保のためにも透明性を高めることはもちろんのことですが、同方式について国に対して地方から廃止を求めるべきです。
以上のような事業が含まれていることから、本議案について認めることはできません。
次に、第三四号議案 平成二十八年度鹿児島市介護保険特別会計歳入歳出決算については認めることができません。
以下、理由を申し上げます。
一点目、平成二十七年八月から始まった利用者負担二割の対象者数は、二十八年度二千二百三十四人でしたが、年間を通じての運用がなされた二十八年度決算において、ケアマネジャーなどからサービス控えをされる方もいるとの声があったように負担増とサービス低下につながっていること。
二点目、介護保険施設における食事や部屋代を軽減する補足給付の見直しによって負担増となった方は一千七百四十二人であり、ユニット型個室利用で二万二千五百円もの負担増の実態があること。
三点目、特養ホームの入所基準が要介護三以上になったことによって一人の方が施設退所を余儀なくされており、このことは特養ホーム在宅待機者の真の解消にはつながらないこと。
四点目、二十九年度から実施される鹿児島市介護予防・日常生活支援総合事業は、要支援一・二と認定された高齢者への訪問や通所などの保険給付を人員、サービス内容、利用料など全て市町村任せのサービスに置きかえるものであり、市町村の財政によっては質が現行の水準を担保されないなど、問題がある事業の事業者の選定など準備が行われていること。
以上の理由から、本議案について認めることができません。
次に、第三五号議案 平成二十八年度鹿児島市後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算についても認めることができません。
後期高齢者医療制度については、七十五歳以上を別建ての保険制度に入れて際限ない負担増を課す世界に類を見ない制度として一刻も早く廃止すべきという立場であることから、以下理由を申し上げます。
一点目、平成二十八年度は保険料の改定によって所得割が九・三二%から九・九七%に引き上げられ、影響額は一億九千百二十万円となっており、高齢者の負担増につながっていること。
二点目、保険料の滞納は二十七年度に比べて減少していますが、資格証明書こそ発行していないものの、預金の差し押さえ等の実績もあり、高齢者に厳しい制度であることが改めて確認されたこと。
以上の理由から、本議案について認めることはできません。
次に、第三七号議案 平成二十八年度鹿児島市病院事業特別会計決算について議会の認定を求める件については、冒頭申し上げた企業管理者の報酬の値上げに加えて次の理由から認めることはできません。
以下、申し上げます。
一点目、昨年七月から実施された初診時選定療養費三千二百四十円については、約五百九十四万円の収入となっていますが、紹介状を持たずに来院する初診患者から、現在の市立病院の規模では徴収義務がないにもかかわらず徴収を設定したことは問題であること。
二点目、初診時選定療養費を徴収している全国中核市の二十七の市立病院の中で市立病院は十一番目の高さであり、所得の少ない来院者にとっては重い負担であり、受療権の侵害につながる懸念があること。
三点目、初診時選定療養費を徴収することで紹介率や逆紹介率を上げるということは、DPC病院Ⅱ群や地域医療支援病院を目指すための要件に過ぎず、必ずしも医療連携や機能分化が推進されているとは言えません。重要なことは、患者の理解と協力、医療機関相互の信頼に基づく医療連携の確立が不可欠であること。
以上の理由から、本議案について認めることはできません。
次に、第三八号議案 平成二十八年度鹿児島市交通事業剰余金処分についての議会の議決及び平成二十八年度鹿児島市交通事業特別会計決算についての議会の認定を求める件については、冒頭申し上げた企業管理者の報酬の値上げに加えて、平成二十四年度から導入された管理の受委託について、バス路線の減便などで市民サービスの低下や労働者の労働強化につながることが懸念されることを指摘いたしましたが、平成二十八年度も実施され、かつ二十九年度以降の五年間の債務負担行為が設定されていることから、認定及び議決することに反対です。
以上の決算関係七議案について反対の理由を申し上げ、日本共産党市議団を代表する討論を終わります。(拍手)
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