◆(園山えり議員) 日本共産党市議団の一人として個人質疑を行います。
 本年1月30日、安倍政権が2020年度政府予算案と併せ15か月予算として位置づけている2019年度補正予算が与党などの賛成多数により可決・成立いたしました。総額で4.5兆円近い大型補正予算は、昨年相次いだ自然災害の復旧・復興や米中貿易摩擦による世界経済の停滞、昨年10月からの消費税増税に対する経済対策などが中心ですが、国民の暮らしへの支援策はごく一部です。本来、補正予算は当初予算成立後に生じた緊急で必要な場合に限られているにもかかわらず、戦闘機や護衛艦の購入費用などを加えていることも問題だと考えます。このような国の補正予算が本市においてどのように現れているのか明らかにする立場から質疑してまいります。
 第97号議案 令和元年度鹿児島市一般会計補正予算(第5号)については、歳入歳出予算の総額にそれぞれ23億1,474万3千円を追加し、2,756億952万3千円とするものとなっていますが、以下伺ってまいります。
 まず、補正予算の特徴についての質問です。
 質問の1点目、国の補正予算の特徴と本市補正予算編成の考え方をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎企画財政局長(原亮司君) お答えいたします。
 国の補正予算は、安心と成長の未来を拓く総合経済対策として、防災・減災の推進や人材投資等に注力したもので、本市においてもこれらの財源を有効活用し、道路関連事業やICT環境整備事業などを計上しております。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]

◆(園山えり議員) 御答弁いただきました。
 本市としても国の補正予算を地域経済対策の一環として道路関連事業やICT環境整備事業などを計上したとのことです。
 質問の2点目、先ほどの答弁を踏まえて、地域経済対策の一環として繰越明許費の中で前倒し分の総額と過去3年間との比較及び平準化の効果をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎企画財政局長(原亮司君) 前倒しした事業費は54億円で、過去3年間の平均22億円と比較し増となっており、このことにより工事量の安定や適正な工期の設定が図られるものと考えております。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]

◆(園山えり議員) 御答弁いただきました。
 過去3年間の平均22億円の倍以上となる54億円が前倒し分として繰越明許費の設定がなされており、工事量はもとより、週休2日等を遵守するなど労働者の働き方に配慮した適正な工期の設定ができるなどの効果も示されました。
 質問の3点目、大型の補正予算の前倒しとなる事業の発注に当たっては、受注機会の増など地域経済活性化に寄与する発注などについての見解をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎企画財政局長(原亮司君) 発注に当たりましては、可能な限り分離分割を行い、受注機会の拡大を図るとともに地元企業を優先するなど、地域経済の活性化に資するよう努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]

◆(園山えり議員) 御答弁いただきました。
 国の補正予算の在り方としては、冒頭で申し上げたように問題ではないかと指摘いたしますが、消費税10%への増税で冷え込む地域経済対策としての側面を捉え、当局とされましても大型の補正予算を有効に活用していただきますよう要請いたします。
 次は、款民生費、項児童福祉費、目児童福祉総務費、幼児教育無償化事業費が大幅な減額補正となっていることから、その要因等について、以下伺ってまいります。
 質問の1点目、補正額と補正前の事業費に対する割合をお示しください。
 質問の2点目、大幅な減額となった要因を事業ごとにお示しください。あわせて、予算編成時どのような考え方での計上となったものかお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(中野和久君) お答えいたします。
 幼児教育無償化事業の減額補正額は2億5,154万7千円で、補正前の事業費に対する割合は55.8%となっております。
 次に、当初予算編成時におきましては今般の無償化の制度の詳細が国から示されていなかったことから、予算額に不足が生じないよう所要額を見込んだところでございますが、認可外保育施設等と幼稚園の預かり保育の利用に係る施設等利用給付に関しては、いずれも利用児童数が大きく下回る見込みであることや幼稚園の預かり保育については1人当たりの利用給付額が上限額の1万1,300円を下回る見込みであることなどが主な減額の要因でございます。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]

◆(園山えり議員) 御答弁いただきました。
 55.8%の大幅減額となった要因については、不足が生じないよう所要額を見込んだこと、認可外保育や預かり保育の事業で利用児童数が大幅に下回ったことが示されました。
 質問の3点目、先ほどの答弁でもあったとおり、当初予算時には国が制度の詳細を示していなかったことが問題であったわけですが、今回の減額補正から現在の保育ニーズの傾向が見えてくるものか、当局としてはどのような分析をされておられるものか見解をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎健康福祉局長(中野和久君) 今回の減額補正につきましては、先ほども申し上げましたように制度の詳細が示されない中、予算計上したことから、保育ニーズとの関係を分析することは困難でございますが、保育所等の入所申込み状況や無償化に係る給付状況につきましては、引き続き把握してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]

◆(園山えり議員) 御答弁いただきました。
 私どもとしても今後さらにニーズが増えるのではないかと考えておりますし、認可外保育の利用が大幅に下回ったことの一因には保育料を一旦立て替えて後で戻ってくる償還払いを採用しているために負担が大きく、利用控えがあったのではないかと考えるところです。当局におかれましては、答弁されたように今後もニーズの把握に努め、適切に対応されるよう強く要請いたします。
 次に、款土木費、項港湾費、目港湾費、鹿児島港港湾整備事業費負担金全体について、国直轄港湾改修事業費は1億2,185万円、県施行重要港湾改修事業費等は2,925万4千円、それぞれ減額補正となっているところですが、その中で人工島、いわゆるマリンポートかごしま関係補正予算について、以下伺ってまいります。
 質問の1点目、マリンポートかごしまについた国の補正予算の概要をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎建設局長(松窪正英君) お答えいたします。
 お尋ねの国の補正予算については、令和元年12月5日に閣議決定された安心と成長の未来を拓く総合経済対策において取り組むとされた施策のうち未来への投資と東京オリンピック・パラリンピック後も見据えた経済活力の維持・向上を柱に外国人観光客6千万人時代を見据えた基盤整備として必要な経費を計上したものでございます。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]

◆(園山えり議員) 御答弁いただきました。
 外国人観光客6千万人時代を見据えた基盤整備として計上されたとのことですが、国の補正予算が通信システムの基盤強化や道路・港湾等の物流ネットワークの整備など大型開発事業がめじろ押しで国民の暮らしを応援するものではないというところも特徴の1つです。
 質問の2点目、補正予算の内容について、以下伺います。
 まず、事業内容、事業費及び国、県、市それぞれの負担金の額、市の負担金の財源と要件、これまでの市債の累計、基盤整備を含むこれまでの事業費を国、県、市それぞれお示しください。
 以上、まとめて答弁願います。

◎建設局長(松窪正英君) 今回の補正予算は、鹿児島港国際クルーズ拠点整備事業の進捗を図るため国が施行する新たな岸壁の本体工と県が施行する歩行者用上屋の工事等を計上したものでございます。事業費は6億6,500万円、負担額はそれぞれ国4億715万円、県1億8,978万7,500円、市6,806万2,500円でございます。市の負担金の財源は当初予算分は90%、国の補正予算分は100%市債を充当しており、累計額はおよそ26億4千万円でございます。また、令和元年度までの事業費の累計はおよそ311億円で、内訳は、国89億円、県185億円、市37億円でございます。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]

◆(園山えり議員) 御答弁いただきました。
 2019年度当初予算に引き続き、この補正予算でも本市は6,806万2,500円を負担させられ、財源は100%市債という借金です。後年度負担は累積で26億4千万円に上ることを厳しく指摘いたします。
 質問の3点目、事業内容と負担金計上の在り方について、以下伺います。
 まず、国直轄事業について、当初予算での調査設計の費用や本体工のケーソンの数など詳細な内訳と施行期間をお示しください。
 次に、今回の補正予算の本体工におけるケーソンの数と総数に対する進捗率、施行期間をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎建設局長(松窪正英君) 当初予算には航路、泊地の土質調査、岸壁の実施設計、ケーソンの製作及び据付け等に必要な経費が計上されており、発注済み工事としては令和2年3月19日工期としてケーソン11函の製作、8月20日工期として7函の据付けがございます。
 なお、補正予算にはケーソンの数や施行期間等は示されておりません。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]

◆(園山えり議員) 御答弁いただきました。
 当初予算の事業内容で発注された分は8月が工期となっているようですが、まだ未発注の分も残されており、2020年度までに完了するのか見通せないにもかかわらず、今回の補正予算では約6億6,500万円計上しています。全体のケーソンの数や進捗率も分からないことは問題ではないでしょうか。
 次に、県施行事業について、歩行者用上屋は駐車場整備の一環か見解をお示しください。また、歩行者用上屋はどこから何メートルつくるのか、どのような構造なのか詳細な設計についてお示しください。
 以上、答弁願います。

◎建設局長(松窪正英君) 歩行者用上屋については、県によると、かごしまクルーズターミナルに隣接するタクシー駐車場において観光客の利便性向上のために整備するもので、鹿児島港国際クルーズ拠点整備事業における駐車場整備の一環であり、設計は今後行う予定とのことでございます。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]

◆(園山えり議員) 御答弁いただきました。
 大型船が着岸する岸壁からタクシー等の乗り場までの歩行者用上屋は位置からしても駐車場整備の一環とは言い難い上に、詳細な設計がないにもかかわらず、根拠のない4,500万円の補正予算が計上されています。
 質問の4点目、負担金協議における適切な負担金計上に対する市当局の基本的な考え方をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎建設局長(松窪正英君) 港湾整備事業費負担金については、受益者負担の考え方から、港湾法に基づく鹿児島県港湾管理条例や、地方財政法に基づき県が定める鹿児島県港湾関係事業に係る市町村負担金の運用などに基づき計上するものでございます。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]

◆(園山えり議員) 御答弁いただきました。
 私どもは法に基づく負担金の計上が問題であると指摘しているのではなく、事業の具体的な内容や工期や根拠が分からないにもかかわらず、国や県に言われるままに言い値で負担金を計上する当局の姿勢が問題ではないかと指摘しているのです。これまで人工島に係る港湾負担金は新年度予算で計上せず、年度間の実績を現地で資材などを確認した上で負担金を確定し、2月補正予算で計上していました。その教訓は何だったのかしっかり振り返っていただき、今後、負担金協議に当たられるよう強く要請をいたします。
 次に、款教育費、項教育総務費、目教育指導費、ICT環境整備事業費についての質問です。先ほどの質疑と重なる点もありますが、御了承いただけたらと思います。
 質問の1点目、事業の目的、概要、対象、台数など内容をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎教育長(杉元羊一君) お答えいたします。
 ICT環境整備事業は、国のGIGAスクール構想に基づき、高速大容量の通信ネットワークと児童生徒1人1台の端末の整備を行うもので、令和2年度は全小中学校の通信ネットワークと元年5月1日現在の小学校5、6年、中学校1年の児童生徒数の3分の2に当たる1万1,014台の端末の整備を行うこととしております。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]

◆(園山えり議員) 御答弁いただきました。
 今回、国のGIGAスクール構想に基づき、高速大容量通信ネットワークの整備と1万1,014台もの端末が配置されることになります。
 質問の2点目、GIGAスクール構想について、以下伺います。
 まず、構想について、これまで国でどのような検討が行われてきたのか経緯をお示しください。
 また、中央教育審議会の取りまとめの概要を併せてお示しください。
 以上、答弁願います。

◎教育長(杉元羊一君) 文部科学省においては、教育の情報化について、平成26年度から教育のIT化に向けた環境整備4か年計画、30年度からは教育のICT化に向けた環境整備5か年計画を実施しており、内閣においては令和元年12月にICT環境の整備促進を図るためにGIGAスクール構想が閣議決定されたところであります。
 なお、同年12月に示されました中央教育審議会分科会の論点取りまとめにおいて、新しい時代を見据えた学校教育の姿のイメージとして1人1台の端末や高速大容量通信ネットワークを整備することなどが示されたところでございます。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]

◆(園山えり議員) 御答弁いただきました。
 ICT教育でも学びへのモチベーションをどう引き出すのかという観点、豊かな学びを実現するためには教師の充実した指導やそのための条件整備が必要と考えますが、この論点取りまとめではそうした観点がないとの有識者の指摘もあります。
 次に、全国での実証の取組状況とその成果と課題をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎教育長(杉元羊一君) 国は、平成26年度に小学校4校、中学校3校を対象に1人1台のタブレット端末の活用効果の検証を行っております。その結果、児童生徒の学習意欲やプレゼンテーション力などが向上する一方で活用する目的を明確にする必要性が挙げられております。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]

◆(園山えり議員) 御答弁いただきました。
 活用する目的を明確にする必要性が課題として挙げられています。補正予算が示されたから整備ありきで進めるのではなく、これまでの本市でのICT教育の到達点や課題などを議論し、どのような教育課程、どのような場面で活用するのか教育委員会としての方針を明確にすることが求められているのではないでしょうか。
 質問の3点目、公教育への企業の参入や教育の画一化についての教育委員会としての見解をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎教育長(杉元羊一君) 情報教育を推進するために教職員研修など、学校等のニーズに応じた企業等との連携も必要であると考えております。また、教育活動においては体験活動等の充実を図るとともに、端末を活用することで一人一人の能力、適正等に応じた学習が提供できるよう努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]

◆(園山えり議員) 御答弁いただきました。
 教育現場のICT環境の整備自体は重要だと考えますが、教科の学習は全てパソコンやタブレットを使った先端技術で個別最適化すればいいとなれば問題です。御答弁されたように個々の子供に合った学習をきちんと保障することこそ大切なのではないでしょうか。
 質問の4点目、これまでの質疑を踏まえて、ICT教育に対する教育委員会としての基本的な考え方をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎教育長(杉元羊一君) 情報化やグローバル化などが急速に進展する未来を生きる子供たちにとって情報活用能力は重要な資質・能力の1つでありますことから、ICT環境を活用した教育活動の充実は必要であると考えているところでございます。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]

◆(園山えり議員) 御答弁いただきました。
 改めてこれまでの本市でのICT教育の到達点や課題などを議論し、どのような教育課程、どのような場面で活用するのか教育委員会としての方針を明確にした上で活用されるよう要請をいたします。
 次に、款教育費、項小・中学校費、目学校建設費のクーラー設置・更新事業について、以下伺ってまいります。
 まず、クーラー設置・更新事業の総額、設置・更新される学校数と教室数、今回の補正予算でのクーラー更新の進捗率をそれぞれお示しください。
 以上、答弁願います。

◎教育長(杉元羊一君) 事業費の総額は4億7,036万6千円でございます。学校数と教室数につきましては、小中学校合わせて17校、182教室でございます。平成12年度までに設置し、更新時期を迎えたクーラーのうち更新が完了する学校数の割合は、約60%となる予定でございます。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]

◆(園山えり議員) 御答弁いただきました。
 今回の補正予算で更新時期を迎えているクーラーのうち約60%の更新が完了することが分かりました。本市は全ての学校の普通教室にクーラーを設置していることから、年次的、計画的な更新が必要ですが、児童生徒が安心して学べる環境づくりに今後も努めていただきますよう要請いたします。
 次に、冒頭の質疑でも伺いましたが、地域経済の活性化に寄与するために発注方法に配慮する必要があると考えます。そこで、過去の発注方法と分割発注の考え方をお示しください。
 以上、答弁願います。

◎教育長(杉元羊一君) クーラーの設置・更新につきましては、これまで地域経済の活性化や雇用対策の観点から、可能な限り地元業者を優先し、学校ごとに発注しております。
 以上でございます。
   [園山えり議員 登壇]

◆(園山えり議員) 御答弁いただきました。
 教育委員会とされましては、これまでも可能な限り地元業者を優先し、学校ごとの発注に取り組んでおられることを確認いたします。
 引き続き、基本的な考え方に基づき取り組まれることを要請し、以上で、私の個人質疑の全てを終わります。