◆(園山えり議員) 日本共産党市議団の一人として個人質疑を行います。
時間の都合上、質問を一部割愛することを御了承願います。
二〇一一年、三・一一福島第一原発事故から間もなく六年、事故究明は全く進んでおらず、たまり続ける汚染水、メルトダウンした核燃料は、手をつけるめどさえ立っていません。いまだ八万人以上の原発被災者が避難生活を強いられており、事故の収束とはほど遠い状況です。福島原発事故から避難している子供たちへのいじめや偏見は、報道でも連日取り上げられるなど、極めて深刻な状況です。この現実に背を向け、安倍政権は、今なお原発再稼働を推し進めていますが、私は、原発ゼロ、今すぐ廃炉を求める立場から、以下質問をしてまいります。
三反園県知事が公約された鹿児島県原子力安全・避難計画等防災専門委員会が昨年十二月に設置されました。これまで鹿児島県には、佐賀県と並び福島県を除く全国の原発立地県のうち、原発の安全性や避難計画の検証などを専門家が議論する場がありませんでしたので、委員会が設置されたことは前進です。
質問の一点目、平成二十八年第四回定例会で、私は、委員会の設置についてどのような評価をしておられるのかをお尋ねしました。当局から、「知事が県民の安心安全の観点から、原発に対する不安感を払拭するために掲げられたものと考えている」と答弁されておりますので、そのことを踏まえ、これまで同委員会が二回開催され、本市も関係市町として傍聴している立場から、同委員会の議論をどのように評価されたものか当局の見解をお示しください。
質問の二点目、委員のうち二人が原発メーカーなどから寄附金を受け取っていたことが明らかになっています。このうち一人は九電と約六千万円の受託契約を結び、九電のグループ会社から約五百万円の寄附を受け取っていたことがわかりましたが、委員の公平性について当局の見解をお示しください。
質問の三点目、ことし二月十六日に委員会が県知事宛てに提出した川内原子力発電所に関する意見書は、原発の是非は検討対象外とし、現実に存在する原発のリスクと避難計画などのリスクを軽減する方策を検討対象とする立場が望ましいというものです。この意見書について当局の見解をお示しください。
質問の四点目、市民の傍聴について、定員は二十名、申し込み方法も県のホームページを通じて申し込むというもので、改善を求める声が相次いでいます。定員増や傍聴席の配置の改善、ネット配信してほしいという要望も寄せられています。これら市民の声を県に要請するべきと考えますが、当局の見解をお示しください。
以上、答弁願います。
◎市民局長(中薗正人君) お答えいたします。
設置後、これまで二回開催された県の原子力安全・避難計画等防災専門委員会では、九州電力による川内原発一号機の特別点検、定期点検の結果や県の原子力防災訓練などに対し質疑や意見が出され、技術的、専門的見地から意見・助言をいただくという委員会の設置目的に基づいた議論がなされたものと考えております。
県によりますと、委員は、原子力工学や環境放射線、放射線医療・看護、防災関係など、専門的見地から公平・公正に判断できる方を選んだと伺っております。
意見書につきましては、川内原発一号機は、特別点検の結果や熊本地震の影響はなかったことや、避難計画等の防災対策などについて各委員から専門的な立場で具体的な意見や助言が取りまとめられているものと考えております。
委員会の傍聴のあり方につきましては、県において判断されるものと考えております。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
設置目的に基づいた議論がなされ、人事についても公平・公正に判断されたとの当局の評価でしたが、私は原発の安全性についても住民目線に立った議論がなされていないこと、安全性を確認する委員会においては、その相手側から寄附や多額の研究費を受けていた人が公平・公正に判断ができるものか疑問が残るということを申し上げておきます。
また、県民の安心安全を検証するべき委員会が、みずからそのテーマを再稼働を前提とした原発や避難計画のリスクなどを検討対象に限定するという姿勢ですが、原発の是非も含め活発に議論される、県民にとって役立つ委員会にするべきです。
二月二十七日の第一回県議会定例会の我が党議員の質問で、市民の傍聴について、一回目の申し込みが二時間十三分、二回目が九時間二十九分で定員に達したことが明らかになりました。希望する市民がもっと傍聴できるよう県に求めるべきです。
質問の五点目、専門委員会の議論の内容、委員の公平性、委員会から提出された意見書や市民への公開を踏まえ、原発に対する不安感を払拭することになっていると当局は判断されておられるのでしょうか。見解をお示しください。
以上、答弁願います。
◎市民局長(中薗正人君) 委員会では、技術的、専門的な立場から一定の安全性の確認がなされ、その結果も広く報道等がされていることから、不安感の払拭にある程度の効果があったものと考えております。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
不安感の払拭にある程度の効果があったとの見解でしたが、原発から三十キロ圏内の当事者として、このような姿勢は極めて不十分ではないでしょうか。県民は専門委員会の活発な議論を望んでいます。本市としても、県民の安心安全の観点から、原発に対する不安感を払拭するものとなるよう改善するべき点や専門委員会の体制を充実する立場で県に要請していただくことを求めまして、この質問を終わります。
次に、新しい質問に入ります。
平成二十八年第四回定例会に引き続き、LGBT(性的少数者)への支援についてお伺いいたします。
LGBTは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとったものですが、性的少数者を総称してLGBTと呼ばれています。根強い差別や偏見が当事者を苦しめ、学校や職場でのいじめに悩み、自殺率が高いことも深刻な問題です。
私は、二月二十六日、本市のサンエールでの講演会に参加してまいりました。レインボーポート向日葵というLGBT当事者の自助グループが主催されたもので、医療支援を行っておられる泌尿器科の医師や専門家のお話を伺い、当事者を囲んで意見交流もしました。この様子は地元テレビでも報道されるなど、少しずつ関心が寄せられています。きょうは当事者の方と支援者の方が傍聴に来てくださっています。当事者の方々の思いを少しでも伝えられたらという思いで質問をいたします。
質問の一点目、平成二十九年度の国家公務員の人事管理運営方針に性的少数者への差別解消に向けた配慮規定が盛り込まれることについて報道がなされましたが、その内容と経緯、社会背景、見込まれる効果をお示しください。
以上、答弁願います。
◎市民局長(中薗正人君) 新聞報道によりますと、近年、LGBTへの差別をなくす取り組みが大手企業を中心に広がっていることから、政府は、国家公務員の人事管理の指針となる平成二十九年度の人事管理運営方針に性的少数者への差別解消に向けた配慮規定を盛り込む方針を固めたとのことでございます。この方針に、性的指向や性自認に関し不当な差別なく適切に行われるよう必要に応じて措置を講ずるなどの規定を設けることで、多様な人材を受け入れる姿勢を明確にし、職場としての魅力を高めたいとの考えがあるようでございます。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
人事に関して性的指向や性自認に不当な差別があってはならないということは当然のことながら、このような方針を踏まえ、本市もLGBT当事者が自分らしく働ける職場づくりや職員への啓発や教育につながる土台づくりにしていただきたい、そのことを申し上げておきます。
次に、私は、昨年の第四回定例会において、これまでの人権教育・啓発基本計画については、性同一性障害に限ったものである上、その他の人権問題として一くくりに位置づけられていることも指摘し、女性や子供、高齢者などと同じように位置づけるよう求めました。昨日の個人質疑で明らかになりましたように、計画の改訂は歓迎するものです。
質問の一点目、平成二十八年十二月の改訂に至った経緯をお示しください。
質問の二点目、十二月の改訂で新たに加わった性的少数者の現状と課題、施策の方向性の内容をお示しください。
質問の三点目、今回改訂されました人権教育・啓発基本計画に基づいた二十九年度予算案ではどのように具体化されているのかお示しください。
以上、答弁願います。
◎市民局長(中薗正人君) 人権教育・啓発基本計画の改訂に当たっては、各局長等で構成する人権教育・啓発推進本部会議や人権啓発に関する懇話会での意見、さらに、近年の社会情勢の変化や国の動き等を踏まえ、性的少数者を一つの人権課題として加えるなど、見直したものでございます。
現状と課題としては、性的少数者に対する人権問題が社会生活のさまざまな場面で発生していることから、性的少数者が安心して暮らせる、また、性的少数者に対する差別や偏見をなくしていくための取り組みを推進していくこととしております。また、施策の方向性といたしましては、性的少数者の人権についての教育・啓発の推進及び相談・支援体制の充実に努めることとしております。
基本計画に基づく性的少数者に対する二十九年度予算案として個別には計上していないところでございますが、人権啓発冊子等に人権課題の一つとして掲載し、市の施設や市民等に配布し、啓発を行うこととしております。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
計画が改訂されたにもかかわらず、二十九年度は予算の具体化がないのは残念です。
次に、昨年の第四回定例会以降の本市のLGBT支援の取り組み状況をお伺いいたします。
質問の一点目、当事者の方々が日ごろから入りにくいと感じておられるトイレや相談窓口のホームページについて改善状況をお示しください。
質問の二点目、職員への教育、啓発については、どのように取り組まれておられるのかをお示しください。
以上、答弁願います。
◎市民局長(中薗正人君) 私のほうで一括してお答えいたします。
各局が所管する施設の多目的トイレについて、わかりやすい表記や設置場所の周知及び当事者が施設を利用する場合の配慮をしていただくよう平成二十九年二月に文書で依頼をしたところでございます。また、性同一性障害に関するホームページにつきましては、本人や周囲の人が相談しやすいよう二十九年一月に改善したところでございます。
職員への教育、啓発についてでございますが、教育委員会においては、文部科学省の通知等を踏まえ教職員への研修等を行い、性的少数者に対する周知や理解を図ってきているところでございます。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
トイレの改善など、すぐに取り組みをなされた当局の皆さんの御努力に敬意を表します。
私は先日、大型ショッピングモールの多目的トイレに「みんなのトイレです」と書かれたレインボーフラッグのステッカーを目にしました。虹のマークは、LGBTに連帯する気持ちを表現したもので、私はこの取り組みを見て大変感動し、すぐにお店の方にお話を伺いました。担当の方によると、店長研修などでもLGBTを取り上げ、店内十三カ所ある多目的トイレの全てにこのステッカーを表示したとのことでした。当事者の方に伺うと、トイレの問題は深刻です。車椅子マークや障害者マークに限定された多目的トイレでは、その方々に遠慮し我慢しているという当事者が多いことに驚きます。企業の中にも地道な努力が始まっています。市の施設や庁内でもレインボーフラッグを表示するなど、さらなる改善に取り組んでいただきたいと要請いたします。
次に、LGBT支援に取り組む他都市の対策について伺います。
質問の一点目、大阪市淀川区のLGBT支援の内容と取り組みに至った経緯をお示しください。
質問の二点目、指宿市の取り組みと経緯をお示しください。
以上、答弁願います。
◎市民局長(中薗正人君) 大阪市淀川区では、平成二十五年九月にLGBT支援宣言を行い、それに基づき支援事業に取り組んでおり、その内容としては、当事者との意見交換会のほか、専門相談員による電話相談や講演会の開催などがあり、業務委託により運営されているようです。また、レインボー事業として職員による出前講座も実施されております。
次に、指宿市においては、二十六年一月に人権教育・啓発基本計画を策定し、その他の人権問題の一つとして性的少数者の人権を取り上げており、二十九年二月には性的少数者等を中心として活動するNPO法人の方を講師として招き、幼稚園、小学校、中学校の保護者等を対象とした人権教育講演会を実施したとのことでございます。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
淀川区では専門相談員による電話相談や当事者との意見交換会など積極的に取り組んでいること、指宿市でも当事者を講師として招き保護者に向けた講演会を開催していることがわかりました。
質問の三点目、このように積極的に取り組んでいる他都市の事例から得る教訓と本市の今後の取り組みをお示しください。
以上、答弁願います。
◎市民局長(中薗正人君) 他都市においては、人権啓発に係る基本計画等に基づき性的少数者に関するさまざまな事業を実施されており、今後の参考にしたいと考えております。本市としては、性的少数者に対して学校、職場、地域社会などの周囲の人々が理解を深めていただけるよう改訂した計画をわかりやすくまとめた人権啓発冊子やリーフレット等を作成し、市の関係施設や学校、企業等のほか、街頭啓発等で市民に配布するなど、人権教育・啓発に努めたいと考えております。また、人権相談等において性的少数者の人権問題の解決を図るため、相談者に対する助言や情報提供を行ってまいります。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
他都市の先進的な取り組みも参考にしたいということでしたので、早急な具体化を注視してまいりたいと思います。
この質問の最後に、市長にお伺いいたします。
本市としても計画を改訂され、性的少数者が盛り込まれました。実効ある取り組みを私たちは心から期待しています。市長の決意とLGBTの当事者の皆さんへの思いをお聞かせください。
以上、答弁願います。
[市長 森 博幸君 登壇]
◎市長(森博幸君) 園山えり議員にお答えをいたします。
本市では、平成十九年一月に人権教育・啓発基本計画を策定し、さまざまな人権課題に取り組んできておりますが、近年、社会情勢の変化や価値観の多様化等により性的少数者に係る人権問題が認識されるようになっており、平成二十八年十二月の基本計画の改訂では、性的少数者を新たに人権課題と位置づけ対応することとしたところでございます。性的少数者の方々につきましては、日常生活のさまざまな場面において精神的苦痛や不利益、差別を受けておられることもお聞きしておりますので、差別や偏見をなくしていくための理解促進や相談・支援等の取り組みを推進し、全ての人の人権が尊重される社会の実現に努めてまいりたいと考えております。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
市長の全ての人の人権が尊重される社会の実現に努めていきたいとの決意を確認いたしました。
冒頭紹介しましたレインボーポート向日葵の会長を務める正貴さんは、「知らないことが悪いことではなく、知る機会があれば差別や偏見の負の連鎖は減らしていける。これはLGBTに限らず、全てのマイノリティー、いわゆる少数者に通じることだ」と訴えています。性的少数者の人権問題は喫緊の課題として、その実態や当事者の意見にまず耳を傾けていただき、具体化を急いでいただきますよう強く要請いたしまして、この質問を終わります。
新しい質問に入ります。
給付型奨学金制度についてお伺いいたします。
理学療法士として市内の病院で働く二十五歳の女性は、四年間の専門学校を卒業後、約五百万円の奨学金の返済を抱えました。驚くことにそのうち百万円が利子だといいます。学生時代の奨学金は毎月八万円、地方から出てきたため、この八万円はひとり暮らしの家賃と生活費に消え、あとはアルバイトで賄いながら生活をしてきたそうです。世界一高い学費を一刻も早く引き下げると同時に、誰もが利用できる給付型奨学金制度の充実こそ急がれます。
そこで質問の一点目、国の給付型奨学金の目的と予算、概要と要件、新設に至った経緯をお示しください。
質問の二点目、見込まれる対象者は一学年当たりどのくらいになるのか、全国と本市の対象者をお示しください。
以上、答弁願います。
◎教育長(杉元羊一君) お答えいたします。
国の給付型奨学金制度につきましては、文部科学省の資料によりますと、経済的理由により大学等への進学を断念せざるを得ない生徒の進学を後押しすることを目的とし、平成二十九年度予算案には先行実施分の十五億円が計上されております。制度の概要につきましては、三十年度以降の本格実施分について申し上げますと、一定の学力・資質要件を満たす住民税非課税世帯の学生に月額二万円から四万円が支給されます。また、経緯としましては、二十八年六月の閣議決定で制度創設に向けた検討の方向性が示され、その後、文部科学省内において外部有識者を含めた検討チームがつくられ、検討が重ねられてきたものでございます。
対象者数の見込みにつきましては、国の試算によりますと、全国では一学年当たり約二万人で、本市の対象者数の推計は困難でございます。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
全国で対象者は二万人、本市の推計は困難だということでしたが、政府案では一つの高校に一人以上割り振るとしています。これでは少な過ぎると言わざるを得ません。
質問の三点目、新設される給付型奨学金制度の当局の評価。
質問の四点目、大変狭き門であるこの奨学金制度について対象者を拡大するよう求めるべきと考えますが、当局の見解をお示しください。
以上、答弁願います。
◎教育長(杉元羊一君) 奨学金制度につきましては、経済的に困難な状況にある学生の勉学の継続や生活を支える大切な制度であると考えております。
本制度につきましては、二十九年度から先行実施されるものであり、今後その状況を見守ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
見守っていくということでしたが、このままでは経済的に困難な学生が進学を断念せざるを得ない状況は抜本的に変わらないのではないでしょうか。国に制度を充実させる立場で拡大するよう要請するべきではないでしょうか。
次に、本市の奨学金制度の現状と今後の充実についてお伺いいたします。
質問の一点目、本市の高校生の貸与型奨学金の利用者数を二十九年度の見込み分も含めお示しください。
以上、答弁願います。
◎教育長(杉元羊一君) 本市の奨学金の貸与者数につきましては、二十八年度は奨学金と入学一時金を合わせて九十七人となっており、二十九年度につきましても同程度を見込んでおります。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
平成二十九年度も九十七人程度が見込まれているようです。少なくとも、この生徒たちが利用できる給付型奨学金制度が必要だと考えます。
国の制度は対象者が少ないことを踏まえ、より多くの学生の学びを保障するためにも本市独自の給付型奨学金制度を新設していただきたいと考えますが、当局の見解をお示しください。
以上、答弁願います。
◎教育長(杉元羊一君) 本市独自の給付型奨学金制度の創設につきましては、財源などの課題もあることから、引き続き各面から研究してまいりたいと考えております。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
昨年の第二回定例会から研究という答弁が続いております。本当に進学したくても高い学費に苦しみ、経済的に困難を抱える全ての学生が制度を利用できなければ意味がありません。わずかなパイを競い合って一部の学生しか利用できないのであれば、本当の給付型奨学金制度とは言えません。今こそ、独自の給付型奨学金制度を導入していただきたいと強く要請いたしまして、この質問を終わります。
空き家等対策については、割愛させていただきます。
新しい質問に入ります。
就学援助制度の入学準備金についてです。
二十九年度予算案におきまして、入学準備金の三月支給が実現することになります。本市の小中学生の四人に一人が就学援助制度を利用しており、その数は過去最高の水準です。本市でも子供の貧困が深刻化するもとで保護者の負担を軽くする三月支給の実現は心から歓迎するもので、その充実はますます重要になっていると思います。
制度の充実を求める立場から、以下質問いたします。
質問の一点目、三月支給を踏まえた平成二十九年度予算案の対象者数と予算額をお示しください。
質問の二点目、これまでも質疑を交わしてまいりましたが、改めて三月支給で期待される効果をお示しください。
質問の三点目、入学準備金の周知方法と申請手続、認定時期、支給時期はどうなるのかをお示しください。
以上、答弁願います。
◎教育長(杉元羊一君) 二十九年度の新入学児童生徒学用品費等に係る予算について対象者数と予算額を申し上げますと、二十九年度入学者分が、小学校一千四百七十九人、三千二十七万六千円、中学校一千三百五十二人、三千百八十四万円、三十年度入学者分が、小学校一千四百七十九人、三千二十七万六千円、中学校一千三百六十五人、三千二百十四万六千円でございます。
入学前に支給することで保護者の経済的負担の軽減が図られるものと考えております。
小学校入学予定者に対しましての周知方法ですが、就学時健康診断等の機会を利用した周知を予定しており、申請手続につきましては、現在、市民の利便性等を考慮しながら検討しているところでございます。認定時期は二月、支給時期は三月中旬を予定しております。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
入学前に支給することで保護者の経済的負担の軽減が図られるという効果を改めて確認いたしました。
申請手続については、利便性を考慮しながら検討されるとのことですが、そこで、運用方法を変更した大分県日田市の取り組みについてお伺いいたします。
質問の一点目、日田市の入学準備金の運用方法の変更内容を周知方法、申請手続、支給時期それぞれお示しください。また、変更による申請件数と利用者の割合の変化をお示しください。
質問の二点目、申請方法の改善による効果と保護者にどのようなメリットがあるのか当局の認識をお示しください。
以上、答弁願います。
◎教育長(杉元羊一君) 日田市の入学準備金につきましては、支給時期を七月から三月に変更したほか、周知及び申請方法につきましては、学校を通じて行っていたものを直接郵送による方法に変更したとのことでございます。また、申請者数につきましては、小学校で百十人が百九十人に、中学校で百三人が二百十八人になり、認定者の割合は、小学校で一六・五%が二六・六%に、中学校で一五・五%が三二・二%になったとのことでございます。
申請方法の変更により申請者数及び認定者の割合が増加しており、制度の利用率の向上が図られていると思われます。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
日田市は、入学準備金の申請手続を学校を通じて行っていたものを直接郵送する方法に変更したところ、申請件数が大幅にふえ、中学生においては認定者の割合が一五・五%から三二・二%へ倍増したことがわかりました。
質問の三点目、本市も日田市のように郵送で申請できるようにするなど運用方法の改善を図るべきではないでしょうか、当局の見解をお示しください。
以上、答弁願います。
◎教育長(杉元羊一君) 周知方法や申請手続につきましては、他都市の状況も調査してみたいと考えております。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
申請する際、郵送であれば人目に触れることがありませんので、これまで人目を気にして利用をためらっていた保護者も申請ができるようになるのではないでしょうか。来年の三月支給に向け、先進的な取り組みをしている他都市の事例をぜひ調査していただき、必要な新一年生に入学準備金が行き渡るよう申請手続の改善を要望いたします。
次に、平成二十九年一月三十日付の文部科学省からの「平成二十九年度要保護児童生徒援助費補助金の予算案について」との事務連絡で、入学準備金の予算単価が示されましたことから、以下お伺いいたします。
質問の一点目、通知内容と平成二十九年度予算案での本市の対応をお示しください、
以上、答弁願います。
◎教育長(杉元羊一君) 二十九年一月に文部科学省から要保護児童生徒援助費補助金の二十九年度予算案が示されております。このうち新入学児童生徒学用品費等の単価につきましては、二十八年度、二十九年度の額を順に申し上げますと、小学校、二万四百七十円、四万六百円、中学校、二万三千五百五十円、四万七千四百円となっております。本市はこれを就学援助事業の支給単価設定の参考としておりますが、今回示された二十九年度の額は予算案でもあり、本市の新年度予算は二十八年度の単価で計上しているところでございます。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
この通知では、要保護児童生徒の入学準備金の単価が小学生では二万四百七十円から四万六百円、中学生は二万三千五百五十円から四万七千四百円とそれぞれ倍増していますが、本市では二十九年度予算案には適用していないとのことでした。
そこで質問の二点目、九州県都で入学準備金の予算単価を既に倍増した自治体をお示しください。
以上、答弁願います。
◎教育長(杉元羊一君) 九州県都のうち二十九年度当初予算案で支給単価を文部科学省の示した案の額に変更した市は、福岡市、大分市の二市でございます。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
九州でも既に予算単価を倍増した自治体が福岡と大分の二市あることが明らかになりました。
最後に、本市でも予算単価を今すぐ二倍に引き上げるべきと考えますが、当局の見解をお示しください。
以上、答弁願います。
◎教育長(杉元羊一君) 単価の変更につきましては、今後対応を検討したいと考えております。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
二十九年度予算案の決定後に対応を検討するということですが、すぐにでも引き上げを実施するべきではないでしょうか。
私どもは、入学準備金の単価について、ランドセルだけでも三万円から五万円はかかる実態やそれに加え制服や体操服なども保護者の大きな負担となっていることを示し、現在の二万円ではその実態と大きく乖離していると指摘してまいりました。そのことを踏まえ、本市でも保護者の負担を少しでも減らすために今すぐ入学準備金を二倍に引き上げることを強く要請いたしまして、この質問を終わります。
最後の質問に入ります。
市営住宅についてお伺いいたします。
私どもは、ことしの一月から、市営住宅にお住まいの皆さんを対象に住環境の改善に取り組もうと実態アンケートに取り組んでまいりました。現在、二百五十世帯を超す方々から要望や相談が寄せられています。私も相談が寄せられた現場を見てまいりました。紫原住宅の五階にお住まいの三人の子育て中の若い御夫婦は、浴室にシャワーがないため浴槽いっぱいにお湯を張り、子供たちをお風呂に入れておられました。給湯器もないため特に冬場はお湯を沸かす時間がかかること、浴槽も五人家族にはとても小さく、最後は浴槽の底からお湯をすくって入浴しているなど御苦労を聞きました。
そこで、市営住宅の住環境の改善を求める立場から、以下伺ってまいります。
まず、市営住宅の平成二十九年度予算案についてです。
質問の一点目、建てかえや個別改善の内容をお示しください。
質問の二点目、建てかえや個別改善でのシャワー、換気扇、給湯器、エレベーターの設置の有無をお示しください。
以上、答弁願います。
◎建設局長(鮫島健二郎君) お答えいたします。
平成二十九年度は、大明丘住宅十五号棟、西伊敷住宅三十一号棟の建てかえと桜ケ丘住宅二十五、二十六号棟の個別改善を予定しております。
また、お触れの設備につきましては、建てかえでは全てを、個別改善では浴室換気扇を除き設置しております。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
建てかえでは、シャワー、換気扇、給湯器、エレベーターが設置されることを確認いたしましたが、個別改善では、浴室換気扇を設置しないことがわかりました。私どものもとには、換気扇がないことで「洗面台の板が湿気で腐食してきた」、「湿気でカビがすぐに生えて子供たちへの健康被害が心配」などの深刻な相談が寄せられています。住民の皆さんの実態を十分に把握していただき、建てかえと同様、個別改善の場合も換気扇を設置するべきではないでしょうか。要請をいたします。
質問の三点目、市営住宅の入居者のしおりに示されている市営住宅修繕等負担区分表には、修繕内容を入居者か市かどちらが負担するのかが定めてありますが、シャワー等の設置は入居者負担となっています。新しい住宅と同様に子育て世代や高齢者など希望があれば既存住宅にも市負担で設置するべきではないでしょうか、見解をお示しください。
以上、答弁願います。
◎建設局長(鮫島健二郎君) 二十八年度より、本市が設置した給湯設備の更新時にはシャワーを設置しているところでございます。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
二十八年度から給湯設備の更新時にシャワーを設置しているとのことですが、シャワー設置は大変待ち望まれていますので工事を速やかに行っていただくこと、とりわけ子育て世代や高齢者に配慮していただき、希望があれば、既存住宅でも独自に設置していただくよう要望いたします。
次に、市営住宅のバリアフリーの考え方と今後の展開についてお伺いいたします。
質問の一点目、鹿児島県の福祉のまちづくり条例等を踏まえた本市の市営住宅建設の基本的な考えをお示しください。
以上、答弁願います。
◎建設局長(鮫島健二郎君) 本市では、お触れの条例のほか、公営住宅の整備基準等を踏まえ、障害者などに配慮した住戸の整備を進めているところでございます。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
障害者に配慮した住戸の整備を進めているということでしたが、この間、私のもとに車椅子用住宅にお住まいの方からこのような相談がありました。「お風呂は健康な人でも入りにくい。ケアマネジャーが見に来られたが、余りの不便さにびっくりしていた」というものでした。私も現場を確認したところ、玄関から入ってすぐの和室、また、浴室の洗い場もそれぞれ床から五十センチほど高くなっており、そこに踏み台が置かれていました。健康な方でも入浴するたびにこの段差を上り下りすることは大変なことだと容易に想像がつきました。この相談者は、リウマチを患い、人工関節の手術もされておられます。入居した当時に比べると、障害の症状が重くなっており、段差のある和室には入れないとのこと。さらに、入浴もできなくなったということで、大変不便な暮らしを余儀なくされておられました。私は、車椅子用住宅について大きな疑問を抱きました。
そこでお伺いいたします。
質問の一点目、車椅子用住宅とはどのようなものかお示しください。
質問の二点目、新しい住宅と古い住宅での車椅子用住宅の構造の大きな違いとその要因は何かをお示しください。
以上、答弁願います。
◎建設局長(鮫島健二郎君) 車椅子用住宅は、車椅子使用者が生活しやすいように住戸内の流し台や浴室、トイレなどの仕様について一定の配慮をした住宅でございます。
また、十五年度までは、車椅子からの移動に配慮し、和室や浴室に段差を設けておりましたが、バリアフリー仕様のユニットバスの普及などに伴い、それ以降は段差のない住宅として整備しております。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
平成十六年度からは段差のない住宅として整備していることがわかりましたが、それまでの住宅は和室や浴室に段差があることがわかりました。
質問の三点目、車椅子用住宅において、段差のある住宅と段差のなくなったフルフラットの住宅とで建設された年代別の建設戸数をお示しください。
質問の四点目、車椅子用住宅にお住まいの世帯を対象に、平成十七年に当局がアンケート調査を実施されたとお聞きしましたが、その目的、内容、結果をお示しください。
以上、答弁願います。
◎建設局長(鮫島健二郎君) 当該住宅は、十五年度までに三十六戸、十六年度以降に九戸、合計四十五戸を建設しております。
また、アンケートは、車椅子用住宅の使い勝手などを把握するために満足度及び要望などを伺ったもので、おおむね半数以上が満足しているとの回答のほか、個別に改善要望も出されております。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
車椅子用住宅は現在四十五戸あり、その中で平成十五年度までに建築されたもの、すなわち相談があった住宅と同様、段差のある住宅がいまだに三十六戸あることがわかりました。アンケート結果については改善の要望が寄せられたということですが、その要望について当局はどのように応えてこられたのでしょうか。
質問の五点目、車椅子用住宅の個別改善のこれまでの対応と二十九年度予算の見込みをお示しください。
以上、答弁願います。
◎建設局長(鮫島健二郎君) これまで外部から住戸内へのスロープや車椅子に対応した流し台を設置するなどの改善を進めております。なお、二十九年度の予定はないところでございます。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
二十九年度は流し台を設置するなどの個別改善の予定はないとのことです。それでは、まだ改善されていない既存の車椅子用住宅に住んでおられる方々は、障害の悪化や高齢などで段差を解消してほしいと望んでいても、そのまま住み続けなければなりません。個別改善が見込めないというのであれば、住みかえなどで対応するべきと考えます。
質問の六点目、障害の悪化や高齢化などを特別な理由として住みかえはできないものか。過去の事例も含めお示しください。
質問の七点目、車椅子用住宅の今後の対応をお示しください。
以上、答弁願います。
◎建設局長(鮫島健二郎君) 車椅子用住宅間の住みかえは認めておらず、事例もございません。
また、既存の車椅子用住宅の改修は、施工上の制約も多いことなどから、これまで同様、建てかえなどに合わせて対応したいと考えております。
以上でございます。
[園山えり議員 登壇]
◆(園山えり議員) 答弁いただきました。
車椅子用住宅間の住みかえは認めておられないこと、過去の事例もないことが明らかになりました。さらに、既存の車椅子用住宅は、建てかえをするまでは改善がなされないということもわかりました。住みかえも認めない、建てかえまで改善も望めない、それでは入浴すらできなくなった入居者に引き続きこの暮らしを続けろということなのでしょうか。今、一般住宅でも建てかえや個別改善で段差の少ないものへとつくりかえられているように、車椅子用住宅のフルフラットへの一刻も早い改善と、すぐに改善ができないのであれば、まずは少なくとも住みかえができるよう配慮するべきではないでしょうか。
そのことを強く要請いたしまして、私の個人質疑の全てを終わります。
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